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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

家族を取り替え合う。

2011年01月11日(Tue) 05:56:12

手はじめはやっぱり、家族がいいんだろうな・・・?
あたりはいちめんの、闇。
墓場から起きあがったばかりの身体には。
あちこちに泥が、付着していたけれど。
ふだん生活しているときとおなじ服装に。
すこしは気分が落ち着くのだった。

”回収”された彼らは、いったん街はずれの洋館に、収容されて。
そこでいままで着なれた自分たちの服を、手渡された。
其処で初めて襲われたときに。
相手の老婆や男衆にせしめられた服だった。
十代の少年は、半ズボンにハイソックスの脚を、寒そうにさらしていたし。
三十すぎの勤め人ふうの男は、スラックスのすそから覗く足首を、ストッキング地のハイソックスを滲ませる。

いきなり夜の街に、放り出されて。
さあ、好きなように血を吸ってこい。
そんなふうに、いわれても。
さほどの能力が身についたとも思えない手足を、夜風にさらしてしまうと。
ただ、途方に暮れるばかりだった。

ともかくも、宿る居場所を見つけなければならなかった。
手はじめはやっぱり、家族かな・・・
だれかがぼそりと、そういうと。
そうだな。それしかないだろうな。
留守だったら、どうしよう?
とりあえず、寝場所はできるんじゃないかな。
入れてもらえなかったら・・・?
怯えた声の、少年に。
もういちど、ここに集まるんだ。三時に。
それより遅いと、夜が明ける・・・
年配の男性が、少年の怯えを救うように、そう呟いた。

三時にはだいぶ、時間があった。
だれもが顔をそろえていた。
おぉ~、痛え・・・
三十男のサラリーマンは、妻に張られた平手打ちに、頬を抑えていたし。
半ズボンの少年も、なにもいわずにうなだれていた。
吸血鬼と知って家に入れてくれたという家族は、どうやら皆無のようだった。

相手を取り替え合おう。
もう時間がないから、それしかないよ・・・
成功しても失敗しても、いちど堕ち逢うことを提案した年配男性も。
自信なげな、弱々しい声だった。
だれもが不承不承・・・といった面もちで。
男の手に握られたくじを、引いていく。

母さんと姉さんは、任せろよ。
三十男に肩をぽんと叩かれた少年は、不承不承に頷いていた。
そういう三十男もまた、
奥さんまだ、二十代だったよね?わたしじゃ不本意だろうけど。
年配男性に、そう言われると、
ちょっぴり悔しげに顔をしかめて、それでも丁寧に頭を下げる。
娘はきみの同級生だ。あまり乱暴は、しないでくれよ。
親子ほどの年かっこうの少年をふり返る彼も、父親の顔に戻っていた。

たった二時間か三時間のあいだに、
家族が相手だととても思いつかないような悪知恵で。
三人が三人とも、手ぶらでもとの場所に戻る羽目からは、みごとなまでに免れていた。

父がよく、OKしましたね。
姉さんのこと抱きたかったんだよ。あのひとは。
だから妥協が成立したんだ―――
自慢げに語る三十男は、ちょっぴり悔しげに年配男性をふり返る。

若い奥さんの血は、格別だね。
きょうも私のために、着飾って待っていてくれているのだよ。
そんなふうに、言われてしまったから。

若代ちゃん、制服着て待っててくれるって。
若い男の子の目には、見なれたはずの制服姿さえ、魅惑的に映るらしい。
娘をよろしくな。
お父さんは残り惜しげに、自宅の方角へと立ち去ってゆく少年を見送った。

いなくなったはずの人たちが。
ひっそりとした帰宅を果たしたのは、それから一週間ほど経ってからのことだった。

あとがき
どうにも今朝は、なま煮えでしょうか・・・? (^^ゞ
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連れだって歩く、脚、脚、脚・・・

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