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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

生垣から覗く。

2011年01月18日(Tue) 06:14:54

タツヤと奈美が、公園を横切ってゆこうとすると。
ベンチの傍らの樹の陰から、小さな人影がふたりの行く先をさえぎった。
お姉ちゃん、喉渇いちゃった。
えー!?

ふさふさとした栗色の髪を揺らして、奈美が両方の掌を自分の口にあてがった。
えっ?どういうこと・・・?
戸惑うタツヤに、奈美は言いにくそうにして。
ごめんタツヤ・・・あたしこの子の奴隷なの・・・
羞ずかしそうに俯く奈美に、すり寄った少年は。
奈美のせいふくのスカートのすそを慣れ慣れしく引っ張って、
公園の片隅の植え込みへと連れ込もうとする。
おいっ!何するんだ!?
声を尖らせたタツヤは、不意に怒声の勢いをしぼませる。

別人のように険しくなった少年の目もとから、蒼白い光が放射されたような気がする。
そうするとタツヤの気分もふしぎと鎮まって、
むしろ少年に協力しなければならないような気になって、仕方がなくなっていた。
お兄ちゃんもいっしょに来るでしょ?
ボクに血を吸われたら、お姉ちゃんへろへろになっちゃうから。
帰り道はちゃんと。守ってあげるんだよ。彼氏なんだもんね?

数分後。
圧しつけられた唇の下。
真っ白なハイソックスに、赤黒いシミが広がった。
ハイソックスのリブを、ねじ曲げながら。
年端のいかぬ少年とは思えないくらい欲深な唇は、
姉より年上の少女の生き血を、強引にむさぼりはじめる。
きゃー。痛ーいっ!
両手で口をふさぎながら黄色い声をあげる奈美を、
後ろに回ったタツヤは背中をさすりながら、けんめいになだめにかかっていた。

公園の出口のまえ。
ふたりの行く先に、年配男の影が立ちはだかると。
ナオキと優子は一瞬、足をすくませた。
優子はくるりとまわれ右をすると、大きな瞳ではっきりと、恋人を見あげた。
長い黒髪を、制服の肩先に揺らしながら。
ナオキくん、ゴメン。きょうは小父さまに血を吸っていただくお約束になっているの。
いつものハキハキとした口調でやられると、ナオキは気おされたように黙ってしまった。
恋人に不服がないのを確かめると。
優子は制服のスカートのすそに、手を添えて、
貴人にかしずく侍女のように、軽く膝を落として男に一礼した。
おわったら、いつものとこで待ってるわ。
ああ・・・いつものとこね・・・
取り残された青年はいつまでも、立ち去るふたりの後ろ姿を見つめている。
男の腕は慣れ慣れしく、彼の許婚者の肩を抱いていた。

タツヤ~?ごめーん。きょうはユウくんに血をあげなくちゃいけないから。バイバイッ!
鞄を持って駈けだそうとする奈美を、つかまえて。
どうしたの?
びっくりしたような上目遣いに、まぶたの上からキスをして。
鞄、持ってってやるよ。
タツヤは強引に、奈美の鞄を奪い取った。
ウン。お願いねっ。
奈美は思い切りよく手を振って。
さ、行こ。
と少年に声をかけると、上背のない少年と背丈を合わせるように、
かがみ込むようにして手をつないだ。
きょうのハイソックスは薄いやつだから、手加減してね。
そんな囁きが、洩れて来る。
ひと足さきに、奈美のうちへ寄って。
ハイソックスの履き替え持ってきてやらなくちゃな。
タツヤは独りつぶやくと、まわれ右をしていった。

ど~ぞ、召し上がれっ。
しっかり者の優子に、ひざ小僧を抑えられて。
きゃ~っ、だめッ!
奈美はけらけらと笑いながら、はしゃいでいる。
ベンチに腰掛ける少女たちのまえ。
吸血鬼の親子は、獲物を取り替え合って。
黒のストッキングの足許に、思い思いに唇を吸いつけていった。

すぐ後ろの、生け垣には。
彼女たちの許婚者が、ひそんでいて。
いけすかないよなぁ・・・
けしからんよねぇ・・・
口々に、呟き合いながら。
それでも恋人たちの”受難”から、視線をはずせないでいた。
スラックスの下から覗く、足首は。
お互い申し合わせたように、ストッキング地の靴下に透けていた。

紳士ものだよ、いちおうは。
母親たちにする、けんめいな言い訳に。
どちらの母親も苦笑するばかりだった。
お互い首すじにこさえた傷口から、微妙に視線をそらし合う関係。
父親が母親に許した関係を、いま結婚を控えたクラスメイトにも認めようとしていることを。
自分の恋人の相手だと名乗る男に魅入られたあのときから、
ひどく名誉なことのように、思い込まされてしまっている。
相手の強引さが、どうして快感につながるのだろう?

ストッキングのよさって、履いてみないとわからないんだね。
ナオキがタツヤに囁きかける。
おまえ・・・?
ふり返る親友に。
ウン、きょうのやつ。ほんとうは優子のやつなんだ。
太ももまでしっかりと包み込んでくる柔らかな束縛感が、
敏感になってしまった青年の皮膚に、じんわりとしみ込んでいた。


あとがき
先日描いたばかりの「女学生ふたり 父子ふたり」に、拍手を頂戴しました。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2393.html
いささかなま煮えかなあと思っていたものに拍手をいただけるのって、むしょうに嬉しいものですね。
彼氏のまえで、年端もいかない男の子の奴隷になったと告げる女学生。
そこを描いてみたくなったので・・・
でもやっぱり、なま煮えですかね・・・?
(^^ゞ
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