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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

「お先に失礼します」

2011年01月26日(Wed) 05:20:45

そのおさげ髪の少女は、いつもセーラー服を着て。
下校途中に待ち合わせたお母さんに、付き添われていた。
病院の待合室みたいに、招び入れられた応接間。
いつもボクよりも先に、ふたりはお屋敷に来ていて。
いつもボクよりもひとつ前に、名前を呼ばれて。
「お先に失礼します」
おさげ髪を揺らして、ボクに会釈をして、部屋を出ていった。

十分、二十分・・・
少女の持ち時間は、最長で一時間。
そのあいだボクは、所在なげに。
半ズボンの下に履いてきたハイソックスを、しきりに引っ張り上げていた。
いつも一時間ちかく経ってから、ふったび姿を現した母娘は。
スカートの下、白い脛を淡く滲ませた薄手のストッキングを。
みるかげもなく、噛み破られていた。
きっと泣いたであろう目じりにだけ、狼藉の名残りを滲ませて。
少女はいつももの静かに、
「お待たせしました」
おさげ髪を揺らして、丁寧に会釈を投げてきた。

「お腹、減らしているのかなぁ」
いつになく顔蒼ざめさせた少女に、つい洩らしてしまったひと言に。
「だいじょうぶですよ」
少女は親しげな笑みで、応えてくれた。
思わず見おろした少女の脚は。
黒のストッキングを、派手に伝線させていて。
思わず
「がんばったんですね」
声を洩らしてしまうと。
「羞ずかしいです」
弾んだ笑顔が、かえってきた。

付き添いの母親が、あらわれなくなって。
おさげ髪の少女は、ボクのことを待合室で待っていてくれるようになって。
ふたり、手をつないで、家路をたどるようになっていた。
喰い剥かれたハイソックスと、ストッキングの足許を。
さいしょのうちは、お互い視ないようにしていたけれど。
そのうち気心が知れてくると。
「派手にシミつけられちゃったね」
少女は面白そうに、ボクの足許に視線を這わせて、
「あたしも、こんなにされちゃった~」
じわりとした伝線をスカートの奥まで走らせたストッキングの脚を、
おどけながら、見せびらかすようになっていた。

それからなん年、経ったのだろう?
「お先にどうぞ」
「では、行って参ります」
あのときとおなじように、礼儀正しくお辞儀をするのは。
初々しいおさげ髪とは別種の艶を放つようになった、大人びた黒髪。
わたしの苗字を名乗るようになった、かつての少女は。
落ち着き払った態度で、待合室のドアを閉める。
「やぁ、派手に破かれたもんだね」
「あなたこそ、真っ赤っ赤にされてしまいましたね」
穏やかにほほ笑み合う、大人の夫婦を。
満たされたものの視線が、鍵穴ごしに覗いている。
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久しぶりの、セーラー服。

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