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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

吸血鬼、おっさんにからまれる。

2011年05月08日(Sun) 07:51:44

吸血鬼に襲われる人間は、支配されたり怯えたりするものなのに。
どういうわけか、あべこべに。
人間に叱りつけられちゃっている吸血鬼を見るはめになった。
街の居酒屋で知り合ったその吸血鬼は、
夜の雑踏の中では目だち過ぎる、黒いマントを羽織っていて。
四十がらみのおっさんといっしょに、酒を飲んでいた。

さすがに黒マントにいきなり声をかけるのはためらわれたけれど、
わたしと隣り合わせになっていたのは、おっさんのほうだった。
彼がちょっと席をはずした合い間に、向こうの方から声かけてきた。
知っているか?あいつ本物の吸血鬼なんだぜ?って。
ああ、知っていますよ。
この街に吸血鬼が棲まっていることは。
街の住人なら、だれでもしっている。
そして、吸血鬼と住人たちとが、じつはかなり仲良く暮らしていることも。

だいたいねぇ、あんたらけしからんよ。
酔っ払ってくると、もう人間も吸血鬼も、あったものじゃない。
からんでいるのは、おっさんのほうだった。
結婚前の娘はまだわかるよ?ちゃんと責任取ればいい話なんだから。
あんたら人妻にまで、手を出すだろう?
処女の生き血だけじゃ、満足できないのかねー。まったく。
どちらかというと吸血鬼のほうが、旗色が悪そうだ。
ま 日ごろ人の生き血を吸って生きている連中だから、負い目があるのは仕方がないか。

おっさんの相手をしている吸血鬼も、おっさんとほぼ同年配のようだった。
吸血鬼に齢があるのかどうか・・・よくわからないけれど。
がらっぱちなおっさんとは不釣り合いな初老の紳士で、おっさんの剣幕に困惑したようで、
それでも穏やかな笑みを絶やさないのは、基本的にふたりが親しい間柄だからなのだろう。
人の血を吸うことで、人を支配しようとするのが、映画で見た吸血鬼。
でもこの老紳士のばあい、それを負い目と感じるような人の好さが、はしばしに観て取れた。
だからこそおっさんも、かえって歯に衣着せぬ言い方をするのだろう。
このひと、「人妻の生き血を吸うとはけしからん」っていいながら。
その「人妻」って、どうやらじぶんの奥さんのことみたいだから。

んで、明日は学校かね?
ああ・・・相手が、つごうがつかないのでね。。。
なじみの女性が、身体の調子が悪かったり、なにか抜けられない用事をかかえていたりすると。
どうやら彼らは礼儀正しくも、遠慮するらしい。
たまには夫婦の夜を・・・みたいな言い分でも、夫婦のほうを優先する手合いもいるらしい。
それでよく滅ぼされなかったね といいたいくらいに人の好いのが多いらしいけれど。
だからこそ、人間社会にとけ込んでもいるのだろう。
で、学校でなにするんだね?
たたみかけるような質問攻めは、どうやらわたしにも話を聞かせたいという魂胆のようだった。
・・・相手にあぶれた吸血鬼はね。あんたもよく知っているはずなんだが。
いちいち口にすることを、ちょっと厭うような顔をしながら。
こいつ、わざといわせたいんだな?と、どうやら相手の気分を読みとったらしい黒衣の彼は。
座り直して、すこし前かがみになって。いかにもそれらしい態度を作りながら。語るのだった。

相手にあぶれた吸血鬼はね。
あの女学校に入り込むんだ。もちろん生徒のいる時間にね。
そこでは処女の生き血を、たっぷり愉しめることになっているからね。
毎日お当番と称する女子生徒たちが、奥まった校舎にある、開かずの教室に呼び集められて。
制服姿のまま、乙女たちはわれとわが身をめぐる血潮を、飢えた唇にゆだねるのさ。
このあいだは、処女がほとんどいなくてね。閉口したよ。
だから明日は、校長が。
担任の女教師を介して、処女ばかりを択んで、集めてくれることになっているんだ。

ああ、芝居っ気たっぷりな、その態度。
おっさんの反応に火をつけたのは、いうまでもない。
こーのー!娘たちをたぶらかしおって!!
時代遅れのシルクハットのうえから、げんこつでぼかん!と、なぐられてしまっていた。
けったくそ悪い。処女じゃないの、どうのって。半分以上はお前らが穴をあけているんじゃないか。
結納をすませた娘を、花婿になる男子に連れて来させて。
邸の奥で、晴れ着姿を押し倒しているって、あれほんとうか?
つくづくお前ら、許せんなー。

さいごに頭のうえから、お酒をふりかけられて。
ほうほうのていで、酒場から姿を消した吸血鬼。
あー、すっきりした。
おっさんはさいごの一杯を、ゆうゆうと注文する。
今夜はおれのおごりだからな。感謝しろよな。
恩着がましくうそぶくあたりは、おっさんも案外と、お人が好いようだ。
じぶんの女房を喰っちゃっている男に、酒までおごっちゃうんだから。
騒々しく、荒れちまって、すいませんね。若先生。
あした女学校に行って、生徒集めて血を吸うんだって言っていたでしょう?あいつ。
じつはね。
明日の当番の生徒のなかに、うちの娘がいるんですヨ。
たまにはちょっと、言ってやらなくちゃね。
おっさんはいかにもせいせいした、って、照れ笑いを浮かべている。

なに、うちの女房このごろ調子わるくてね。
だれかさんに、かわいがられ過ぎちまって。
ま・・・来るのがおさまりゃ、どうってことなくなるんですけどね。
うちの娘は、高校三年でね。母親似なんですよ。
お袋の血を吸えないときにはいつも、女学校通いしているらしいんですよ。
ま、本気でうちの娘に惚れているらしいから。
いずれうちの婿に迎えてやるつもりでは、いるんですがねぇ。
娘さんの話になると。ちょっとお酒に、涙が交じってきたようだ。

独りで黙っているのは、このさいフェアじゃないな。。。
そう思ったわたし、思い切って、口をひらいていた。
そうですか。わたしの彼女あの学校に勤めているんですよ。
人のはなしになると、おっさんはすこし、活気を取り戻す。
先生なんですかー。そいつはインテリですね。
あっ、もしかして、B組の担任?なんてこた、ないですね?えっ、そうなんですか。奇遇だなぁ。
そんなありきたりの会話のなかで、お互いの立場を確かめあって。
そうなんですか、先生も処女の生き血を、吸われちまうんですね。
生徒の手引きするだけじゃ、フェアじゃないですもんね。
お手本を見せているんですねぇ・・・
そのうち晴れ着を着て、ふたりで邸まで来いって誘われませんか?
くれぐれも、誘いに乗っちゃ、いけませんよぉ。

ああ、今夜は残る酒になりそうだ。


あとがき
>明日の当番の生徒のなかに、うちの娘がいるんですヨ。
>わたしの彼女あの学校に勤めているんですよ。
この二行描きたくて、なん十行も浪費を・・・ ^^;
いつものことですが。 (-_-;)

このごろしばらく日をおいて描くことが多いんですが、
やっぱり毎日描いていたときのほうが、さらさらと描けるものですねぇ。
以上、不出来なお話のイイワケです。 (^^ゞ
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