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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

侵蝕される家庭 〜古屋家の場合〜 2 寝室の灯り

2011年05月30日(Mon) 18:27:28

前作はこちらです↓
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ああっ・・・うぅん・・・っ
今夜もかすかに響く、うめき声に。
灯りを消した勉強部屋のなか、洋祐は悶々とした昂ぶりを覚えていた。
ふつうであれば耳にとまるほどではない、そのかすかな声色に。
洋祐の鼓膜は、獣のように敏感な反応を示してしまう。
ギシ・・・
ひっそりと開いた部屋のドアがきしむ音に、洋祐はちょっとだけ首をすくめたが。
そのまま足音をひたひたと、忍ばせて、夫婦の寝室への足取りをはやめた。

あの記憶以来。
父と母とがともにする、夜の夫婦だけの刻 というものが。
洋祐の念頭から、去らなくなっている。
あの晩、雄と牝とになりかわっていた、父と母。
ふだん優しい父が、おだやかであればあるほど、
ふだんしっかり者の母が、気位が高ければ高いほど。
その光景は、洋祐の脳裏に色濃く灼きつけられていった。
たった一滴の毒液が、角砂糖を侵食するように。

夫婦の寝室のふすまが細めに開かれたのにも、気がつかずに。
ひたすらまぐわいつづける、ふたつの影。
カーテンから洩れる外の灯りが、母の白い裸体を、まだらもように浮き立たせていた。
あの晩の、カンテラほどの照度は、むろんなかったが。
うごめくもの音。
気丈な母がわれにもなくためらう気配。
腰の下に吶喊を受けた証しとして洩らされる、すすり泣くようなうめき。
それらすべてが、洋祐をたまらないほどの昂ぶりに、引きずり込んでいった。
母を雄々しく踏みにじっている父に、ひどくジリジリとしたものを覚えながら。
同性としての共感を、禁じることができなかった。

ふだんは大人しく、部屋の隅っこで新聞を読んでいるだけの父さんが。
母さんのことをあんなふうに、強圧的に抑えつけて。
手慣れたレイパーのように、冷静に。相手の動きを観察しながら。
逃げ場のない情欲のるつぼに、母さんをつき落していく。
父さんは母さんを、あんなふうに奴隷みたいにしちゃうことができるんだ。
自分ができないことを、父がしている。
これは嫉妬?羨望?それとも・・・共感?

洋祐の気づかないところに、もうひとりの”訪客”がいたのを、彼は気づかない。
その“訪客”は、闇を背後に音もなく洋祐の後ろに回り込むと。
声をたてずに、口を半開きにしてほくそ笑んだ。
赤黒い唇の両端から、チカリとかすかに閃くのは。
人間離れした、鋭利な牙―――
良識的な市民の家庭が、またひとつ。
崩壊の途へと、導かれようとしている。
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