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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

お見合い写真

2011年05月30日(Mon) 20:01:28

ほら、お見合い写真だよ。ただし相手は、男の子だけどね。
イタズラッぽく笑う貴志が差し出したのは、二葉の写真。
そこに写っている少年は、白無地の壁を背景に、見慣れた登校のときの服装で、佇んでいる。
横縞もようのTシャツに、デニムの半ズボン。
ひざ下までぴっちりと引き伸ばされた白のハイソックスには、こげ茶と黄色のラインが鮮やかに走っている。
あいつもこういうハイソックス、履くような年頃になったんだよな。
写真を受け取った相手を、苦笑いを浮かべて窺う男には、息子を気遣う父親らしい翳りを帯びていた。

お前、よく中学の時に、俺の脚を噛んだっけ。
おかげで試合に出れなかったときも、あったっけ。
冷やかすような貴志の囁きに。
あれはお前まで、熱中したからだろう。
吸血鬼は気まずそうに、早口な小声で応じた。
貴志は追い打ちをかけるように、また言った。
いつもたいがい、ラインの入ったハイソックスのときだったよな。
でも弁償したぞ。
写真を食い入るように見つめる男は、声の主のほうなどもう見向きもしない。
よほど気に入ったらしい反応に、貴志は不可思議な満足を、覚えていた。
血に飢えた吸血鬼に、息子を紹介するというまがまがしい行為 にもかかわらず。
このお姿のまま、来てもらえるのだな?
念を押す口調に熱がこもるのに苦笑しながら、家内にそうさせるからとだけ、貴志はこたえた。

貴志の妻もまた、幼馴染であるこの悪友の牙にかかっていた。
夫の生まれ故郷に、十年ぶりに移り住んでから。
もののひと月と経たないうちに、まず夫がかつての幼馴染に生き血を吸い尽くされて。
そのあとすぐに、やはり同じように、妻である彼女までもが首すじを噛まれてしまうと。
貴志が墓場から戻ってくるほんの数日のあいだに、
我が身に迫ってくる夫の仇敵がむき出しにしてくる欲情に、あられもないうめき声で、応えるようになっていた。

きみと奥方の生き血がブレンドされた血液が、この子の体内をめぐっている ということだな?
男は値踏みをするようにまじまじと写真を見つめ、よかろう、とみじかく応えた。
よろしく頼むぜ?見合いの席に、親は同伴しないからね。
お見合い。
吸血鬼が密かに棲まうこの街で、ひそかにそう、呼ばれている。
彼らの支持者の年若い子女が、初めて吸血体験をすることを。
ふつうのおうちだって、娘の写真をよその男に見せて、一人前の女にしてもらうだろう?
たまたま相手が吸血鬼だから、それがセックスではなくて。
両性どちらも対象にした吸血行為だというだけのことさ。
夫の言い草に、妻は決して反対しないだろう。
明日、息子の生き血を愉しむことになる男に。
夕べもどこかのホテルの一室で、組み敷かれていたくらいだから。

オジさん、吸血鬼なんだって?
約束どおりの時間に、物怖じせずに現れたその少年は。
写真どおりのいでたちだった。
あのこげ茶と黄色のラインの入ったハイソックスを履いてきたことが、吸血鬼をいたく悦ばせていた。
すまないね。ちょっと痛いけど・・・ガマンできるかな?
男はにんまりと笑みを浮かべると、
少年の背後に回って、Tシャツの両肩を、ぎゅっと抑えつけていた。
青と白の横縞もようが、そこだけくしゃっと折れ曲がる。

首すじから、噛むんだよね・・・?
さすがに少年の声はちょっぴり、震えを帯びていて。
半袖のTシャツごしに伝わってくるかすかなためらいが、吸血鬼の欲情に火をつけた。
赤黒くふくれた唇が、少年の首すじをヒルのように這いまわり、
口許からかすかにむき出された鋭利な牙が、チカリと鈍く輝いた。
痺れるような痛みが肩先を走るのを、少年は感じた。

ちゅう、ちゅう、ちゅう、ちゅう・・・
Tシャツの横縞もように、バラ色の飛沫を撥ねかせながら。
貪欲な吸血の音に、聞き入るように。
表情を消した少年は、虚ろな目をしたまま、吸血に応じていった。
パパやママの生き血を飲んでいる男が、いまボクの血まで欲しがっている。
血を与えることで初めて、オトナ扱いしてもらえるんだ。
せいぜい吸わせてあげなくちゃ・・・
うら若い血管にしみ込んだ毒液が、少年の無垢な理性を、妖しく歪めていった。
仰向けに押し倒された上から、覆いかぶさる吸血鬼に。
ライン入りのハイソックスの脚を、もじもじさせながら。
時おりなにか囁いてくる彼に、いやいやをしたり。頷いてみせたり。
なんどもなんども、しつように。
女の子に迫らせる接吻のように重ねてくる、好色な唇を。
少年はピチピチとした無垢な皮膚に、受け止めてゆく。


数刻ののち―――
少年はけだるげに、ずり落ちたハイソックスをひざ小僧の下まで、引きあげてゆく。
こげ茶と黄色のラインを赤黒く横切る、不規則な水玉もよう。
首すじだけじゃ、ないんだね。
感情の消えた声色が、かれの理性がまだ元通りになっていないことを告げていた。
ボクのハイソックス、おいしかった?
ああ、とても気に入った。また履いてきてくれるだろうね?
うーん、噛み破られちゃうのは、嫌だけど・・・
でも、綺麗な血の色、だろう・・・?
背後から少年の肩を抱いた吸血鬼は、稚なさの残る耳もとに、生臭い息をふきかけてきた。
少年はくすぐったそうにふふふ・・・と笑い、悪くないね、とだけ応えた。

男は卑猥な掌で、ハイソックスのふくらはぎに触れてくる。
細い指がなぞるようにたんねんに、しなやかなナイロン生地をもてあそびながら。
敏感になってしまった皮膚に、じわりじわりと妖しく淫らな情念を染み込ませてくるのを。
少年はけだるげに、受け止めている。
ボク、どうなるの・・・?
きみのパパにしたことを、きみにもしてみただけのことさ。
そうなんだね。
じゃあ、もっと・・・
ハイソックスに紅いシミ、つけてみてくれない?
夜道は真っ暗だから、だれにも気づかれないし。
うちに戻ったら、パパヤママに自慢できるから・・・ね。
夜明けまでには、血を吸い尽くされて、空っぽにされちゃうかもしれない。
そんな予感さえ、よぎるのに。
血を吸われる歓びに目ざめた少年は、いけない欲情を迫らせてくる吸血鬼あいてに、
虚ろに笑いながら、ふたたび応じ始めていった。
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