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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

妻への付け文

2011年06月01日(Wed) 07:39:23

ちょっと・・・相談なんだけど。^^;
赴任してきたばかりの同僚の伸藤は、いかにも困惑した顔つきだった。
ははぁ、来たな?
姉原は腹のなかでそう思いながら、ここじゃできない相談みたいだね、と呟くと、
伸藤は、相手の察しのよさにホッとした表情をした。
姉原が指定したのは、村で数軒しかない居酒屋のひとつだった。

喧騒にまぎれてしまうと、しかも酔っぱらいばかりの中というのは、
意外に密談に適しているらしい。
胸がつかえて口にできなかった告白を、伸藤はいともすらすらと・・・というほどでもないが、
意味の通じないくらいしどろもどろ というわけではなく、語り始めた。
さいしょに見せられた紙切れには、さしもの姉原もどきりとした。
紙切れには、下手くそななぐり下記で、こう書かれていた。

あんたの女房が気になってしようがない。
金曜の夜、女房に都会のスーツを着せて、村はずれの納屋に来てくれ。
できたらだんなのまえで、佳奈子のこぎれいな服を、わらまみれにしてやりたい。

礼儀もへったくれもない文章だったが、
金釘流のなぐり書きの下手さかげんは、ちょっと笑ってしまうほどだった。
おいおい、笑いごとじゃないんだよ、こっちは・・・
困惑するばかりの伸藤をまえに、姉原はようやく笑いをおさめると、
おもむろに同僚の脇に近寄って、耳たぶに触れるばかりに唇を近寄せた。

これね。じつはこの土地の習俗なんだ。
気に入った人妻ができたらね。
ふつうなら、だんなのいないところで言い寄るだろう?
ところがここでは、だんなに無断でコトに及ぶというのは、ご法度で。
人妻への付け文は、だんなにすることになっているんだ。

え?
伸藤は信じられない、という顔つきで、姉原をみる。
ふたりは同期で、都会のオフィスにいるときにはずいぶんとばかもやったし、
社内結婚同士なので、お互いの妻のこともよく知っていた。
三年後輩の新入社員に手をだした伸藤は、同期のみんなから、それは嬉しげに小突かれていたっけ。
結婚して二年経ったから、いまは24になるはずだった。
良家の出でいかにも洗練されたファッションと、ファッションセンスに見合った整った目鼻だちを、姉原はひそかに思い浮かべる。

さきにだんなに空いたいって、言ってるんだろ?
あってみろよ。
ここの連中はしょうしょう飾り気がなさ過ぎるところがあるけれど、
根は悪いやつらじゃない。
だんなと話をつけてくる とか、から元気を出して会いに来るだろうが、
意外なくらいに慇懃な連中で、
少なくとも、いきなりぶんなぐられる気遣いは、ないからね。

あー、弱っちゃったよ・・・
翌朝伸藤は、頭を抱えてオフィスに現れた。
いかにも聞いてくれというその態度から、とても夜の居酒屋まではもたないなと感じた姉原は、
上司にちょっと耳打ちをすると、打ち合わせと称して伸藤を狭い別室に連れていった。
そうとうな宿酔のようだな。
冷やかすように姉原がいうと、
そんなんじゃない、と手を振りながら、やはり伸藤は宿酔でもあるらしい。
わるい酒を飲んでいるみたいだ・・・
そう頭を抱える伸藤、じっさい毒入りの酒を飲んだみたいな顔をしている。

その晩やってきたのは、四十年配の、小太りで顔色が悪く、どちらかというと陰気な感じのする男だった。
さあさあ、どうぞ。
妻のいない時間帯を見計らって家にあげた伸藤は、
いつもそんなに人づきあいのよくない自分には珍しく、すらすらと言葉の出た自分がすこし、いぶかしいほどだった。
男はちょっとおどおどと周りを見回し、目当ての女が見当たらないのを知ると、おずおずと口を開こうとする。
家内ですか?なんでも婦人会があるとかでしてね、こっちはそういうの、盛んなようですね。
なにごともさらさらと言葉の出る伸藤に、先手を取られつづけた男は、ぐうの音も出ないというようすになって、
お口に合うかどうか・・・どうぞ。
といって、手土産のつもりなのだろう、手にぶら下げてきた酒壺を差し上げた。
ああ、では、遠慮なく。
つい手にとった杯が、伸藤の命取りになったらしい。

その晩妻は、いつになく遅かった。
そのあいだ伸藤は男となん杯も酌み交わして、いつかいい気分になり、とうとうすっかり酔い酔いになっていた。
男が無礼な文面をわびると、そんなにうちの家内が気に入ったのですか?とからかい口調で声をかけ、
決まり悪げに頭を掻く男に、さらにたたみかけるように、どんなふうにしてみたいと思ったの?と気軽な声までかけていた。
やがて帰宅してきた妻も仲間に入り、深夜まで話がはずんでいた。
このひと、お前のことを強姦したいんだって。
たちの悪い冗談だと思ったのか、さいしょは取り合わなかった妻の佳奈子も、
そのうちのりのりになって、やだ~っ、男のひとってどうしてこういやらしいの?って言いながら、
口に手を当てて、笑いこけていた。
グラスを持つ細い手首が電灯に照らされて、白く輝いていた。

さすがに”実演”に及ぼうとまでは、男は言い出さず、その晩は機嫌良く帰っていった。
家にはだれも、待つものはないという。
あの人お気の毒ね。家に誰も待っていないなんて。
酔いの回った頬をバラ色に染めた佳奈子が、そうつぶやくと。
おいおい、あいつ佳奈子に本気みたいだぜ?
夫がそれとなく、注意を促すと。
意外な答えが、かえってきた。
面白そうじゃない。

悪夢を目の当たりにするような顔だったに違いない。
ちょうど男が家に戻った頃合を見計らって、加奈子は受話器をとって、ウキウキと、
栗色に染めたロングヘアを指先でもてあそびながら、こういったものだった。
金曜日の夜ね?いっぱいお化粧をして、うかがうわ。
受話器を置いた彼女は、
あなたも、来てね。三人で愉しも。
イタズラッぽく笑う妻に、伸藤はやおらのしかかっていった。
その晩はとても、長い夜だった。

なんだか、ごちそうさまっていいたい気分だね。
うー、笑いごとじゃないんだよー。
頭を抱えつづける伸藤に、姉原は肩を抱かんばかりにして、囁いた。
いいじゃないの。
そういう歓待をすると、ここではずっといい想いをできるというぜ?

金曜は、早帰りだった。
それでも残してしまった仕事を、片付けると。
田んぼのあぜ道の向こうから、夕焼けに包まれた人影がふたつ、こちらへ歩み寄ってくる。
逆光だったのだろうか。話に夢中になっていたのか。
ふたりは姉原が間近になるまで、気がつかなかった。
勤め帰りの背広のままの伸藤が、着飾った佳奈子を伴っていた。
おや。
うっかり声をかけてしまったのを、いけないかな?と思ってしまうほどに、ふたりは動揺し、
けれどもこういうときには、女のほうが肝がすわるものらしい、
こんばんは。
栗色のロングヘアを揺らして、応えてきた。

見慣れない真っ赤なスーツに、黒のストッキングに染められた格好のよいふくらはぎが、毒々しく映えていた.
色白の頬には、いつもより厚い化粧をして。
肉太な唇には、べっとりとした真っ赤な紅を刷いている。
田舎の嗜好に合わせた妻の、派手ないでたちに、きっと伸藤は参ってしまったに違いない。
これからお出かけ?
悪乗りして姉原が問うと、
エエ・・・裏の納屋にね。^^;
伸藤が苦笑しながら、そう応えた。
行きましょ。
相手の腕をとって促したのは、妻のほうだった。

すっかりハマッちまったよ・・・女房のやつ。
言葉の後半は、とってつけたようだった。
夫婦ながら、はまり込んだというのが、ほぼ真相なのだろう。
あのひと、案外律儀だな。
剥ぎ取った服は、きちんとクリーニングして返してよこすんだぜ?
田舎のひとだからね。
取りなすように応える姉腹は、いつもの落ち着きを失わない。
妻の情夫を自慢できるようになれば、立派に此処の住人だね。
今だから言うけど、佳奈子さんにはあのひとがいいんじゃ・・・って言ったの、うちの嫁なんだ。
ほんとうはきみが切り出すなん日かまえに、佳奈子さんはうちに遊びにきて、あのひとに凌辱されたんだけど。
ついノッて、のりまくっちゃって、
きみと彼が初めて会ったあの晩は、わざとはずしていたんだぜ。
ああ、お察しのとおり。
うちの嫁も、あのひとにモノにされちまったんだ。
きょうはどちらの人妻に、いれあげているのかな。
うちがさきに転勤していったら、彼のことよろしく頼むね。ご夫婦で・・・
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