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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

桜色のストッキングを穿く女

2011年06月13日(Mon) 07:25:27

街の片隅に、ひっそりたたずむ、平屋建て。
表通りから一本奥まった、いかにも目だたない住宅街の一角には、
「結婚紹介所」とだけ書かれた、 古びた看板。
そのうえに「寿」の文字だけが、空々しいほど赤くって、
傍らに描かれた、作りつけたような笑い顔の若い男女の、いかにも陳腐な雰囲気は。
此処が時代に取り残された一角だと示しているよう。

古びた洋館にいかにも似合いな、さえない顔色の男がひとり、
狭苦しい事務所の、経営者の席に腰かけていて。
それはうっそりとした顔つきで、別室へと促してくれた。
その別室というのも、いかにも狭苦しい一角で、
しつらえられた安楽椅子に、向い合せに腰かけると。
もう、膝が触れ合うのでは?という距離感だった。
周囲を見回すと、金の額縁に油絵が飾ってあったり、
傍らの古風なサイドボードには、古風でしゃれた銀の燭台が佇んでいたり、
そこかしこに、いかにもこぎれいな造りをみせてはいるものの、
果たしてこんなところに、ほんとうに若い女が?と思わせる雰囲気がみえみえなくらいだった。

じゃあ、お待ちになって。呼んできますから。
男はさえない顔いろに、感情の消えた表情を浮かべて、部屋から出ていった。
派手さはないが、きちんとした仕事をする男だよ。
此処を教えてくれた、はるかに年上の吸血鬼は、そういって。
生き血を吸える柔肌に、こと欠くときは。
オレはいつも、ここを頼りにしてるのさ・・・と、
いかにも重大な秘密を打ち明けるような、芝居がかった小声で、そう囁いたのだった。
なにしろあいつには、不似合いなくらい綺麗な奥さんと。
その奥さんとうりふたつな美少女がいて。
どうしても釣り合いのとれる女が、みつくろえないときには、
代役をさせるっていう、評判だからな。

果たしてその評判、正しいのか偽られているのか。
さすがの年輩吸血鬼も、男の妻子の実物にはまだ、お目にかかっていないようだ。

ほんの数分後のことだった。
事務所の玄関から、華やいだ人声と雰囲気が入り込んで来て、
その気配はこちらの部屋へと、まっすぐに近づいてきて。
男はちょっとだけ申し訳に顔を出すと、「さあどうぞ」ひと言だけ、そういって。
自分はスッと、姿を消した。
どうやら事務所そのものから、出てしまったらしくて。
隣室にはそれ以来さいごまで、人の気配が立たなかった。

入ってきた女は、栗色の髪なびかせて。
空色のブラウスに、緑のスカート。
いかにもこの建物にはそぐわないほど若やいだうなじには、嫌みのない金のネックレス。
白のパンプスにおさまったふっくらとした足許は、
街ではすっかり目にすることの珍しくなった桜色のストッキングに、なまめかしく染められていた。
どうも、はじめまして。
女はにこやかに、会釈を投げて来て。
会釈に合わせてユサッと揺れる、栗色の髪が。
熟した生気を、ただよわせた。

齢のころは、三十過ぎか。
三十代から四十代というこちらの希望の、ほぼ最下限の年かっこう。
うちは、人妻も紹介するんですよ。
受話器の向こう側で、あのうっそり男がいうように。
若々しいなかにも落ち着いた雰囲気の装いは、女が人妻であることを物語っている。
結婚紹介所なんて齢じゃ、ありませんけど。
女は自分の齢を恥じるように、そういうと。
いったんひざの上に置きかけたハンドバックを、さりげなく腰の傍らに置き換えた。
膝枕をしてみたい。
そう思うほどの太ももの存在感が。
薄い緑のスカートごしに、ありありと感じられる。

ここがどういうところだか、御存じのうえで見えられたのですな?
波打ってきた感情を抑えて、ひっそりとそういうと。
血を吸うんでしょ?
女はイタズラっぽく、小首をかしげる。
主人もいいって、言ってくれているの。
というか、さいしょにはまり込んだのは、だんなのほうなんですよ。うちの場合。
いまどき珍しい、ストッキング地の靴下を履いて。
ズボンのスラックス引きあげて、男の吸血鬼に血を吸わせるんですって。
五足破って、帰って来た時。わたし言ったんです。
こんどはわたしが、行きますからって。
夫を貶めるような言い方をする割に、その夫を愛しているらしいのは。
語調の端々から、伝わってくる。
ああ、でも、どうぞご遠慮なく―――
女はさりげなく、桜色のストッキングのふくらはぎを差し伸べて、また引っ込めた。
ひざとひざとが、触れ合うほどに。
それは狭苦しい、一室だった。

ズボンの膝を突いて、女のまえに跪くような姿勢をとりながら。
そろそろと、かがみ込んでいって。
目のまえにしたふくらはぎは、ツヤツヤと輝く皮膚に、覆われていて。
きめ細やかな薄手のナイロンに装われた、豊かな肉づきは。
それはそれは・・・そそるほどに麗しい。
思わず近寄せた唇に、薄いナイロン生地のなよやかな触感が重なって。
女はさすがに、
あ・・・っ
ちいさく声を、あげていた。

戸惑う声に、そそられるように。
ちゅうっ・・・と、露骨に這わせた舌。
なよなよとした薄いナイロンは、いたぶられるままに、よじれていって。
女はハンカチを噛みながら、足許に加えられる狼藉を、じいっと見おろしていて。
優しく咎めるようなその視線に、さらにそそられるようにして。
くちゅくちゅと下品な音まで、たてながら。
ストッキングと、その下に秘められたピチピチはずむ肉づきに、酔い痴れていく。

あー・・・
あー・・・
あー・・・
女がひと声、うめくたび。
牙にしっくりとくる、餅肌の。
むっちりとした噛み応えに、酔い痴れて。
そのたびに、薄いストッキングは、チリチリと。
むざんな裂け目を、ひろげていった。

きょうはもう、これくらいに―――
女がそう言ったときにはもう、安楽椅子から引きずりおろされた華奢な身体は。
あえぐ首すじを、はだけたブラウスから覗かせていて。
ずり落ちかけたストッキングは、ゴムをひざ小僧のうえまで覗かせて。
淡い桜色の薄絹は、ふしだらなたるみを見せていた。
まあ、もう少し。
緑色のスカートの奥に、手を入れて。
緋色のショーツを、足首までおろして、取り去って。
あの・・・けっこん・・・って、そこまでは・・・っ
うろたえる女の狼狽ぶりを、ちょっぴりくすぐったく受け流すと。
鼓膜の奥に、毒液をしたたらすように、囁いた。
往生するんだな、奥さん。
熱く昂った囁きに、応えるように。
かすかな抗いは、うごきをとめた。
寸詰まりな密室のなか。
女はひざを、折ったまま。
あらわにむき出した劣情に、腰を振りながら応えてくれた。
緑のスカートを、着けたまま。
スカートの裏地が、熱い濁液に濡れるのも、厭わずに―――

こんどはいつ、お逢いできますか。
身づくろいを、済ませると。
なにごともなかったように、女は淑やかぶりを取り戻して。
さっきまで惜しげもなくあげていた、熱い喘ぎ声はどこへやら。
そっけないほど淡々と、事務的な口調になって。
つぎの約束を、手帳に書き込んだ。
土曜の昼間。自宅 とだけ書かれたメモ書きの下。
おなじ日の欄には、「夫在宅」とも、おだやかな筆跡で、かかれている。
ここから歩いて数分のところにあるという自宅。
此処よりもちっとは、広くってよ。
女は伝法な言葉つきで、そういうと。
肩までおろした栗色の髪を、さらりと流して、事務所をあとにする。
破れたままのストッキングを引きあげただけの、むっちりと熟した太ももを、
惜しげもなく外気にさらして、いちどもふり返らずに、家路をたどっていった。

整った装いをしているときには、淑女を演じ。
装いを乱してゆくと、娼婦に変わって。
女は素人でも、恐ろしいのだよ。
あの年輩吸血鬼が、はじめて妻を噛んだとき。
どちらが噛まれたのか分からないほど怯えた顔つきで、そういったのを。
つい夕べのことのように、ありありと、思い出してしまっていた。
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コメント

桜咲く?
柏木様 こんばんは。

桜色のストッキングを取り上げて頂きありがとうございます。

空色のブラウス、緑のスカート、白いパンプス・・・。
桜草のイメージでは 茜色のブラウス、黒のスカート、黒のパンプス・・・。
桜草は色彩感覚が乏しいようです(´つω・`)シュン

淑女と娼婦 二つの顔を持つんです。
ええ・・・桜草もそうかもしれませんよ。

さて・・・もう一つ読みに行こうっと(*^.^*)
by 桜草
URL
2011-06-13 月 22:12:42
編集
>桜草さま
ちょうどおなじくらいの刻限に。
貴女とあの方とが、此処に来て下さっていたようですね。
(*^_^*)

空色、緑、白・・・
果たしてお気に召していただけたかどうか。
ちょっとあか抜けないような気も、しないではなかったのですが。
ふと色鮮やかに浮かんだ、わたしの妄想です。^^

それにしても。
茜色。黒。黒。
うぅ~ん。
オ・ト・ナ ですねっ♪
by 柏木
URL
2011-06-13 月 23:08:39
編集
さて・・・隠れた所は?
空色、緑、白。
今日の夕方 爽やかな風の中の空と目にも鮮やかな木々の緑 そして真っ白な雲。

そんな風景にピッタリ当てはまりそう。

桜草のチョイスは大人ですか?
でも柏木様 桜色のストッキングと同じく服装に隠れた場所は桜色なんですわよ。

お子ちゃまって言われそうですわね。

なんだか今宵は眠れそうにありません♪
by 桜草
URL
2011-06-13 月 23:21:34
編集
ちゃっとみたい♪
わたしのチョイスが自然の風景ならば、
桜草さまの好みは夕映えですね。

脚に惹かれるひと というのは、それが性器に直結するから・・・という説を、かつてきいたことがあります。

ごく小さいころからそうだったわたし。
はたして早熟だったのか、はたまた迂遠だったのか。
いや、絶対後者に違いないのですが・・・。^^;
by 柏木
URL
2011-06-13 月 23:30:58
編集

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