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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

侵蝕される家庭 ~古屋家の場合~ 4スポーツ用ストッキング

2011年06月13日(Mon) 07:40:18

前作は、こちらです↓
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2526.html

アラ、出かけるの?
夕食をまえに、革靴をつっかけようとする息子に、古屋美奈子は咎めるような声を投げた。
あぁ、ちょっとね。
洋祐はもの説いたげな母の声色を、うるさそうに振り払うと。
あとも見ないで、玄関のドアを音を立てて締めた。
運動部の練習日でもないのに、短パン姿。
ほどよく陽灼けした太ももの下、ひざまできっちりと引き伸ばされた真新しい白のストッキングが、
堕ちる間ぎわの夕陽に、リブの縦じまをツヤツヤと輝かせている。
足を向けたのはいちおう、学校の方角だったものの。
彼の外出目的がどうやら練習ではなさそうな証拠に、履いている靴は革靴だった。
学校に行くかと思われたかれの足取りは、やがてルートを外れていく。
たどり着いたのは、家からいくらも離れていない、市民公園だった。
池とせせらぎ、そして雑木林のある、広い公園は。
すでに夕闇に、支配されようとしていた。

不覚にも、音もなく背後に忍び寄られたさいしょの夜とはちがって、
洋祐は斜め後ろにもの欲しげな人影が立つのを、しっかり把握している。
こういう時間じゃないと、出歩けないんだよね?小父さん。
うそぶく洋祐の両肩には、三日まえの晩のときとまったくおなじ、あの節くれだった掌が。
冷え切った体温を、Tシャツを通してしみ込ませてきた。
ほら、吸いなよ。吸わなきゃ力、出ないでしょ?
ちょっとふてくされたように言ったつもりが、ふた言めにははっきり相手を気遣っていた。
はじめてつけられた首すじの噛み痕に、甘噛みするように。
吸血鬼はずぶりと牙を埋め、しずかに音を忍ばせながら、若い血潮を啜りはじめる。
ちゅ―――
息の長い吸血に、洋祐はフラッと眩暈をかんじた。
決して、気分のわるいものではなかった。
皮膚を冒され、素肌に唇を這わされながら。
自分の体内のぬくもりごと、抜き取っていこうとする不埒な翳に。
むしろくすぐったそうに、素直に応じてしまっている。

男の影が、洋祐の背中を伝い降りて。
おもむろに足許に、かがみ込んできた。
どうやら洋祐の履いている、スポーツ用ストッキングに欲情しているらしいのが、
しっかりとした生地越しにあてられる熱い息遣いから伝わってくる。
小父さん、やらしいね。
洋祐が、クスッと笑う。
ハイソックス、好きなんだろ?わざわざ新しいやつ履いてきてやったんだからな。
これ、試合用のやつなんだぜ?
恩着せがましい言い草に、応えるように。
洋祐のふくらはぎをほどよく締めつけているしっかりとしたナイロン生地のうえ、
男の唇が、それはいやらしく、なすりつけられる。
ぁ・・・
声を洩らしたときにはもう、ストッキングごしに皮膚を冒してくる鋭利な牙が、じぃんとする疼痛をしなやかな筋肉にしみ込ませてきた。
白地に青のラインが三本走る、肉づきのいちばんいいあたりに。
男はさも旨そうに唇を吸いつけて、唇の裏に隠した鋭利な牙を埋め込んでいる。
真新しいナイロン生地のうえを、ヒルのようしつように這いまわる唇は。
発色鮮やかなストッキングのリブを強引にねじ曲げながら、唾液と血潮に、まみれさせてゆく。

ぬるぬるとした唾液と、吸い取った血潮が、
スポーツ用ストッキングの生地をなま温かく濡らすのを覚えながら。
洋祐はある思いにかられ、とらわれつづけていた。
不気味なはずの、忌むべきはずの、吸血の音が。
どうしてこうも、リズミカルに、耳に心地よく残るのだろう―――?
洋祐の想いを知ってか知らずか、吸血鬼は節くれだった指と卑猥な唇と不作法な舌とで、赤黒いシミの広がったストッキングを、くしゃくしゃにずり下ろしていった。

なにを言いたいんだろう?洋祐はわざとのように、小首を傾げてやる。
きみの母さんが、お勤めのときに履いていく、あの薄いストッキング―――
吸血鬼の要求は、ただならぬものだった。
洋祐のやつよりもずっとなよなよと薄いから、わしが噛んだら他愛なくはじけていくのだろうね・・・
母さんを、どうする気!?
わざと怒った口調で、訊き返した。
男はその問いに、答えもせずに。
きみが母さんの血を、くれるときに。
美奈子のストッキングの舌触り、しんそこたんのうしてみたいものだね。
ぬけぬけとそう、うそぶいたのだった。母の名前を、呼び捨てにまでして。

応えはもちろん、拒絶だった。それ以外に、あり得なかった。
けれどもそのときの、洋祐の態度はどうだったのだろう?
白地に青のラインが三本走ったハイソックスを、わざとのようにねじ曲げていきながら。
しつようにまとわりつき、吸いついてくる唇に。
吸いやすいようにと、脚の向きを変えながら。くまなくよだれまみれにさせてしまったのだった。

つづきはこちら↓
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