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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

生命だけは、とらないで・・・

2011年08月29日(Mon) 07:47:37

いいこと、彼らに逢ったらね。
「生命だけは、とらないで!」
そう言えばいいのよ。
怖いことなんか、ないんだから。
きっと機嫌よく帰ってくれるわ。
なかには暗くなるまで居残りさせたことを気にしてくれて、
家まで送ってくれる子もいるわ。
人間の男子とおなじように、仲良くなっちゃえばいいの。
・・・大人しく血を吸わせてあげさえすれば・・・ね♪

みんなよりもひと足さきに吸血を体験した美代子は、まるでお姉さんみたいだった。
隣で含み笑いをして聞いている紫織は、じつはもっと前に噛まれちゃったらしいけど。
スカートのまえを隠すように革製の鞄を両手で提げて、みんなより半歩さがって歩いてくる。
言うのも言わないのも。先生みたいになるのもならないのも。
きっと、性格なんだろう。
紫織をみていると、ほんとうにそう思う。

みんな美代子の剣幕に圧されるように、生唾を呑み込みながら彼女の話に聞き入っている。
噛まれるとき、痛くないのっ?
だいじょうぶ。チクッとするけど、注射なんかよりずっといい感じだよ。
やっぱり、首すじからなのかなあ。
そうね。首すじも噛まれるし、脚も好きみたい。
えー!セーラー服汚れちゃうよ~。
大人しくしていたら、服汚さないようにしてくれるから。自分で汚してほしかったらべつだけどね♪
脚も好きって、言ったよね・・・?
ウン、よく噛むよ。ハイソックスのうえから噛むんだよ。
えー。破けちゃうじゃない。血で汚れるし・・・
どうしてもだめな子は、頼んだら破かれないみたい。でもそういうの好きみたいだから、できれば噛ませてあげたら?
口々に質問しているみんな。
けれどもじつは、それはさいしょからさいごまでずっと黙っていたあたしに、わざと教えるためだったらしい。
仲良し七人組のなかで、じつは咬まれていないのはあたしだけだったんだって、あとでわかった。

帰り道をさえぎったのは、小学生くらいの男の子たちだった。
あたしたちとおなじ人数だった。
吸血鬼だぞ~。噛んじゃうぞ~。
先頭に立った子は両手を広げて立ちはだかったけど、子供じみた脅し文句にお姉さんたちは苦笑しながら顔を見合わせている。

いいわよ。噛ませてあげる。だから乱暴しないでね。
珠樹やゆかは、噛まれた経験があるといってもまだまだ新米らしい、さすがに怯えて涙目になって、
・・・生命だけはとらないでっ。
ふたりとも、判で押したようにおなじことを呟いて。
珠樹の後ろに回った子は、彼女よりも背丈がちいさくて。
首すじに咬みつくために、後ろから引きずり倒して、尻もちつかせてから、うなじに噛みついた。
あ・・・・・・っ。
小さな口許を開きかけて、けんめいに悲鳴をこらえながら。
珠樹はチュウチュウと、血を吸われはじめていた。
ゆかもべつの子に、壁ぎわに追い詰められて、白のハイソックスのつま先を、おそるおそる差し伸べて。
珠樹とおなじように、生命だけは・・・って、言いかけて。
だいじょうぶだいじょうぶ。
自分の半分くらいの背丈の子が、むしろお兄さんみたいになだめていた。
ハイソックスのふくらはぎにチュッ・・・と唇を押しあてたその子は、
けれども獰猛な目つきになって、
蒼ざめた顔で足許を見おろすゆかの目線のさきで、ハイソックスに真っ赤なシミを広げていった。

ほらほら、みんな抵抗しちゃダメよ。
お姉さんらしく、してあげようねっ。
美代子はみんなを仕切っていて。
弟くらいの年頃の男の子相手に、首すじにかかる髪の毛をたくし上げている紫織の後ろに回って、
少年の手伝いをするように、セーラー服の両肩を抑えつけていた。
そうしている美代子の後ろにも、べつの子が回り込んで。
美代子の履いている真っ白なハイソックスのうえに、唇を吸いつけていくのだった。

さ、お姉さんも、どうする・・・?
あまりの光景に立ちすくみ、言葉を喪っていたあたしのまえ。
ふと気がつくと、隣に立っている子があたしの血を欲しがっていた。
え・・・あたし・・・
なにかひと言、いうんだよね?
背丈の低いその子のほうが、ずっと大人に見えた。
生命だけは・・・
あとは、言葉にならない。
なにしろ恐怖で、あごがガクガクしちゃって、どうしようもない。
思わずその場に、座り込みそうになっていた。
生命をとらない代わり、血を吸わせてくれるんだね?
耳もとに寄せられた男の声に、
う・・・ウン・・・
力なく頷いたあたしは、自分のした返事の重大さに気がついて、背すじをゾクッとさせていた。

その子はほかの子よりも、ちょっとだけ上背があったから。
制服のスカートの腰に手をやって、ちょっぴり背伸びをして。
あたしにつかまり立ちをすると、首すじに、唇が届くようだった。
後ろから忍び寄ってきた小さな唇が、まだ子供くさいしぐさで首すじに圧しつけられる。
みんながそうされているみたいに―――
性急なよだれが、チュプチュプと音を立てて撥ねて、
とっさに身をよじろうとしたら、もうセーラー服の両肩を抑えつけられていた。
抜け出せないほどの、つよい力で。
首のつけ根のあたりに、チクッとした痛みが、ふたつ―――
あたしを狙った男の子の牙は、容赦なくググッ・・・ッと、皮膚の奥へともぐり込んでくる。
じゅわっ。
なま温かい血のほとびを感じると、その子は夢中になって、あたしの血を吸っていた。

血を吸ってる・・・ほんとに、血を吸ってるうっ・・・
あたしはもう、目の前が真っ暗になって。
へたへたと尻もちをついちゃって。
つま先でつかまり立ちをしているよりも楽な姿勢になったその子は、
かさにかかるように、あたしに覆いかぶさってきた。
あっ、ダメだよ。そんなに・・・
あたしの制止などまるっきり無視して、その子はひたすら、あたしの首すじから唇を放そうとしなかった。
制服のえり首、汚したくないんだろ?
その子のささやきに、あたしはもうなにも言えない。
思い思いの姿勢で幼い吸血鬼たちの欲求に応じている周りのみんなが、ぼうっと影絵みたいにみえた。

そんなにお姉ちゃんの血が、欲しいのね・・・?
声にならない声。
ウン、お姉ちゃんたちが学校から出てくるまで、ずうっと待ってたんだ。
その子も声にならない声で、応じてくる。
脚も噛むつもり?
ウン、お姉ちゃんも、いいよね?
ハイソックスは、かんべんしてっ。
とっさにあたしは、囁いていた。
母さん、あたしが吸血鬼に襲われているの、知らないんだ。
ほかの子はみんな、噛ませてもらってるみたいだよ。
見ると、さっきまで怯えていた珠樹がキャッキャッとはしゃぎながら。
白のハイソックスに包まれたすらりとしたふくらはぎを、相手の子に代わる代わる噛ませちゃっていた。
壁ぎわに追い詰められてべそをかいていたゆかも、みんなと同じようにその場に尻もちをついていて。
ひざ下ぴっちりに引き伸ばして履いているハイソックスに、真っ赤なあとをつけられていて。
脛の半ばまでずり落ちたもう片方も、ひざ下までぴっちりと引き伸ばしてやっていた。
わざわざ噛み破らせてあげるために。
大人しい紫織は革製の鞄を足許に置いて、足許にしゃがみ込んだ子が吸いやすいように、脚の向きをしきりに変えてやっていたし、
みんなを仕切っていた美代子までもが、「もぅ~」って口を尖らせながら。
白のハイソックスのたっぷりしたふくらはぎに、むぞうさな唇を這わされている。

ゴメン。それでもちょっと・・・こんど噛ませてあげるから。
とっさの言い逃れに、その子は「ふぅん」って、大人みたいに頷いて。
あたしの横顔を、さぐるように伺うと。
きみがそんなにいやなら、見逃してあげる。
親切にも、そういってくれた。
そう。
あたしはすまないような気になって。
おわびにもう少し、お姉ちゃんの血を吸わせてあげるからね。
そういうと、
初めて自分から、肩までかかる髪を掻き除けてやっていた。
制服も汚さないでおいてあげるからね。
あたしのことを見透かしたようにそういうと。
その子はあたしを道路のうえに抑えつけて、うえからのしかかってくるのだった。

家まで送るよ。
エ・・・?悪いわよ。
いいから、遠慮するなよ。
でも。。やっぱり遠慮する。
ほら、みんな送ってもらっているだろう?
暗くなるとこのあたり、物騒だからさ。
あなたたちがじゅうぶん、物騒じゃない・・・そういいかけて、言葉を呑み込むと。
いいからぁ。
その子は甘えるように、あたしの手を取った。
ほんとうは夜道が怖いくらいの年頃なのかも。
あたしはそう思って、彼とてをつないだ。
まるで仲の良い姉と弟がそうするように。
うちに着いたら、お茶ぐらいごちそうするからね。あっ、でも吸血鬼さんだったらお茶なんか飲まないよね?
お茶は大好きだよ。
その子ははじめて、白い歯を見せて。楽しそうに笑った。
いかにも子供らしい、無邪気な笑いにつり込まれて。
もう~。おイタなんだから。
あたしはお姉さんらしい貫禄を取り戻して、その子を見おろした。
ご招待するわ。あたしのうちに。

いちど招待された家には、いつでも出入りできるようになる。

そんなルール。無邪気だったあたしは、しるよしもなかった。

万事、つごうよくいったでしょ?
少年はきょうも、あたしの学校帰りを待ちうけていた。
きょうは放課後、母親面談があった帰り道。
母さんもいっしょよ。いいの?
ああ、もちろんさ。
彼ははにかんだ笑いを母さんにも向けて、それとわかるていどにさりげなく、スーツ姿の母の足許を盗み見た。
肌色のストッキングを穿いた脚を、ちょっとだけたじろがせて。
しょうがないわね。
母さんも微苦笑をしていた。
さいしょにあたしが、お手本を見せるように。
白のハイソックスを、ひざ小僧ぎりぎりまで引っ張り上げて。
ちゅうっ・・・
男の子の唇を、抱き取るように受けとめていた。
血を吸われるのは、怖くない。どちらかというと、愉しいしキモチいい。
ハイソックスを汚されるのも、嫌じゃない。彼が悦ぶんだもの。
母さんのまえで噛まれちゃうのも、恥ずかしくない。だって母さんも、仲間なんだもの。

あらー、すっかり仲良しじゃない。あなたたち。
母さん割りこんでも、かまわないかな?
献血ですから。
大人のような声で応える彼は、あたしの身体から吸い取った血を、まだ口許に光らせている。
母さんはハンカチで彼の口許を拭うと、
じゃ、よろしくね。
おろしたばかりの肌色のパンティストッキングを穿いたまま、気前よくつま先を差し伸べてあげていた。
くまなく唇で吸わせて、よだれだらけにされちゃって。
ビリビリと惜しげもなく噛み破らせてしまうと、母さんは言った。
美奈恵も卒業式には、黒のストッキング履くんだよね?愉しませてあげなさいよね。
さとすような口調の母に、あたしはプッと噴き出して。
それまで待たなきゃ、だめ―――?
わざと可愛らしく、小首を傾げて訊いている。
そうだ。あしたは彼のため、黒のストッキングを履いてきてあげよう。
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