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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

妖しい学園 ~涼太の青春~

2011年09月03日(Sat) 06:10:01

学生寮の畳は、折からの陽射しを吸い込んで、ひどく暖かだった。
涼太は半ズボンの脚を思い切り伸ばして、俯せに横たわっている。
隣には同級生の満夫と一年先輩の貴也が同じ姿勢を取って、やはり半ズボンの制服のまま横たわっていた。
陽射しを浴びた紺色のハイソックスの真新しい生地が、ツヤツヤとしたテカりをよぎらせている。
少年たちの足もとには、老いさらばえた女の、飢えた唇。
いやらしく弛んだ口許からは、早くもよだれがしたたり落ちていた。

老女がさいしょに手をかけたのは、一年先輩の貴也の脚だった。
足首を抑えつけられ本能的によじった身体を、うす汚れた着物の袂がなかばを覆い隠す。
紺色のハイソックスのうえからむぞうさにあてがわれた唇が、それは嬉しげになすりつけられてゆく。
ククク・・・
下品な含み笑いに、隣の満夫が、潔癖そうに頬を歪めた。
じぶんの番が廻ってきたときのことを、想像したのだろう。
涼太もわれ知らず、頬の引き攣りを覚えていた。
老女は貴也の足もとをたんねんになぶり抜くと、いやらしいよだれをたっぷり染み込ませたあげくのハイソックスのうえから、剥き出しにした牙を、そのままズブズブと埋め込んでゆく。
一瞬苦痛に歪んだ貴也の目鼻に、つぎの瞬間甘苦しい笑みが浮かんだ。
キュウキュウと生き血を吸い上げる音が、狭い密室に満ちた。

老女の欲情の矛先が涼太を飛び越して隣の満夫に向けられたのを、慣れた少年ならば屈辱と受け取っただろうか?
いやおそらくはきっと、いちばんのお愉しみがさいごにまわされたのだと実感し、ひそかな満足をおぼえたにちがいない。
それくらい老女の唇に秘められた毒は妖しく、少年たちの理性を浸蝕してしまうのだった。
まださほどの経験をつんでいるわけではなかった涼太にすれば、さいごの番にあたったことは厭わしさがしきにたつもはずだった。
けれども、厭わしさといっしょにじわじわと胸の奥底をあぶりたててくるもの狂おしい衝動めいたものに、彼は戸惑いを感じるばかり。

両隣りの少年たちが、静かになると。
いよいよ涼太の番だった。
老女の手がそろそろと伸びてきて、ひざ小僧のあたりを撫でまわす。
干からびて、節くれだった指だった。
それがものほしげに涼太のひざをまさぐり、きちんとひき伸ばされた紺色のハイソックスをずりおろしてゆく。
ほかのふたりの少年は、ハイソックスをなかばずり降ろされていたが、脛の途中までたるまされたまま噛み破られていた。
―――まだ親御さんは、そもじを未体験と思っておるのじゃろう?
顔を覗きこんでくるばかりの老婆の、ぶしつけな問いに涼太がうなずくと・・・
むき出しになったふくらばぎをチクリとした痛みが染み込んできた。
ぬるっ。
なま温かい血潮を抜き取られる感覚に、涼太は肩をすくめてみせた。老女は獲物にした少年が己の術中にまんまと堕ちるようすに、満足そうにほくそ笑む。
う、ふ、ふ、ふ、ふ、ふ、ふ、ふ・・・
少年の微かな呻きと老婆の下品な舌舐めずりとが、互いに呼び合うように、絡みあった。

いっしょに吸血されたふたりの少年と別れ家路をたどりながら、
おぼろげになりかけた記憶を涼太はたどっていった。
肌のきれいな男の子はハイソックスをずり降ろされてなまのふくらばぎを愉しまれるというのは、ほんとうなのだろうか?
家が同じ方向のほかのふたりが、噛みあとをありありとつけられたハイソックスのまま足取りを揃えてゆくのが、ちょっぴり羨ましかった。
噛み破られていない真新しいハイソックスの下。
仲間たちとおなじ深さの噛み痕が、ジンジンと疼きを深めていた。
いけない、いけない。いまからこんなことに目覚めてしまって、どうするというんだ?
涼太の意識には、厳格な母親であるリツエの顔がうかんでいた。

むこうからセーラー服の三人つれが、白いスカーフをたなびかせてくる。
おかしいな?ここはまだ学校の敷地内で、男子校の校内に女子が入り込むのは秋の学園祭だけのはず・・・しかし近づいて彼らの顔をよく見ると、涼太はなぁんだと言ってしまった。
濃紺の襟もとに白のラインが三本鮮やかに走ったセーラー服は、たしかに近在の女学校のものだったが、おそろいのセーラー服の主たちは見慣れた同級生のものだった。
おつとめだよぉ。
三人のなかでいちばん仲の良いシゲルが、それでもすこしは照れくさそうに、こちらにてをふった。
はじめは戸惑ったり吹き出したりした校内女装に、いまはするほうも目にするほうも、すっかりなじんでしまっていた。
うちの斜め向かいに棲んでるはげオヤジ、俺とお袋の血で養っているんだせ。
シゲルはいつだか、吐き捨てるようにそういったものだが、吸血好意が日常茶飯事な地元では、むしろ自慢話の部類に属するのだった。
女の子に化けた同級生たちは、申し合わせたように、いつも紺色のハイソックスで覆っている足もとを、薄々の黒いストッキングに染めている。
オヤジの趣味だよ。なんかやらしいよなぁ。
口ではそんなふうにうそぶきながら、シゲルも満更ではなさそうだ。
むしろ黒のストッキングを特権のように、同級生に見せびらかして通りすぎていく。
女の子のたしなみですぅ。
クラス一のひょうきん者の悟郎が、おどけた声でそういうと、サッと敬礼を投げてきた。
どうやら、装うということは、性差を超えるものらしい。

連れ立って歩み去る黒ストッキングの脚たちを見送って、ちくりと胸を刺す衝動がわきあがった。
母親のリツエが日常、黒ストッキングを嗜んでいることを思いだしたのだ。

いつものようにただいまを言って、いつものようにお小言を頂戴して。
そのあいだずっと、涼太は紺色のハイソックスの裏に隠した老女のよだれのヌラヌラが気になっていたし、母親の足もとを染める黒いストッキングの薄々ぐあいからも視線をはなすことができなかった。
学生寮のあの狭い密室のなか。母親とふたり俯せに脚を並べて。
紺色のハイソックスと黒いストッキングのふくらばぎを老女の飢えた視線にさらしながら、代わる代わる愉しまれてゆく・・・そんないけない想像が、涼太をとらえてはなさなかった。

ユウおじさまには、気をつけてね。あなたの血を狙っているかもしれないから・・・
母親の注意は、上の空だった。
ユウおじさまというのは、父親の弟で、四十を過ぎてまだ独身。
母親は父親に勧められるままに、嫌々ながら身をゆだね、いまでもそぶりだけは嫌々そうに、誘いに応じたり、真っ昼間に家に招いてたりしているのを、涼太ひ気づいていないことになっている。
そのじつ仲の良い叔父さんと結託して、父親の帰宅をそれとなく教えてやったりしているぬだが。
息子を浮気の共犯者にしながら、表向きの顔だけはどこまでも厳格で生一本な母親だった。
もちろん黒いストッキングを一足おねだりするなんて、まずあり得ない想像
だった。

ユウおじさまには気をつけてね。母親がそう口にしながらもひとこと飲み込んだのを、涼太は気づいていない。「あなたにその気があるのなら、母さん気にしないけど」


あとがき
このお話。
じつは4月17日に描いたのです。
出先で思い浮かんで、ケータイ片手にぱちぱち打ち込んで、PCのメールに送り届けたのでした。
その後推敲してからあっぷするつもりだったのが、一日伸ばしにしている間に、このタイミングに。
(^_^;)
かわいそーな作品です。(^^ゞ
読み返してみたらほとんど手直ししないでもよさそうな感じだったので、ちょっとだけ手を加えただけであっぷしました。
さいごのくだり。
余韻を残していますが。
残し過ぎだったかな。叔父さんの登場が、ややとーとつになっていなければいいんですが。

追記
さっきからずっと探してたんですが。(^^ゞ
このお話のインスピレーションのもととなったのは、こちらです。↓
http://manndokusai.blog77.fc2.com/blog-entry-677.html
「着たいものを着るよ」
お話とは多少シチュエーションが違いますが、濃紺のハイソックスを履いてうつ伏せに寝そべっている少年をみて、ひそかに妄想していました。
こちらの管理人さまは吸血フェチではございませんが、寛大にも弊ブログとのリンクをご承諾くださっております。
stibleさま、ちょっぴりご無沙汰になりましたが、ご好意感謝しております。m(__)m
&なにか問題がありましたら、リンクは即はずさせていただきます。
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