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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

命拾い。

2011年10月12日(Wed) 04:24:40

目の前が、まだぐるぐるとまわっている。
二日酔いに似た失血の感覚に、慣れてしまったのはいつからだろう?
案外と。
初めてやつに襲われたその夜からかもしれない―――

あんた、ラッキーだったな。
たまたま奥さんが居合わせたから、命拾いしたんだぜ?
採られた血の量が致死量を上回らなかったのは、たんに頭数のせいなのか・・・
傍らの妻は、わたしとおなじ噛み痕をうなじにくっきりと描かれたまま、
ただニコニコとほほ笑んでいた。

ああ、本当は・・・
彼女が命乞いをしたからこそ、夫婦ながら生きながらえているのだろう。
やつも妻も、そんなことはおくびにも出さないのは、
せめてものことわたしの体面を考えているからなのだろう。

献血して来ますね。
ああ、いってらっしゃい。
ふらふらですわ、もう。
ああ、お疲れさん。
そんな会話が夫婦のなかに、ごくふつうに入り込んでいた。

隣室にひきたてられてゆく妻は、今宵も生き血を絞り獲られてしまうのだろう。
よそ行きのスーツに装われたたっぷりとした肢体に、もの惜しげな視線を投げると。
薄黒いパンストに包まれたふくらはぎが、ひどく悩ましく映った。
しばらくそこで、反省していたまえ。
やつは捨て台詞のようにそういうと、妻を目の前で押し倒す。
なにを反省せよというのだろうか?
たしかに・・・あの晩やつを家に招かなければ・・・いまごろは・・・
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