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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

「まみちゃん」

2011年10月24日(Mon) 06:50:59

都会に潜入して初めてあてがわれたのが、「まみちゃん」という少女のいる一家だった。
「あてがわれる」というと、聞こえはいい。
しかし吸血鬼の存在を認知していない都会にあっては、あとはわが道を切り開くしかない。
だれかがなんらかの口実で、出入りを許された家庭。
その者になり代わって、ひたすら自力で侵蝕していくしかないのだった。

「まみちゃん」は、おさげ髪の似合う、無邪気な少女。
俺が吸血鬼だと正体を明かしても、びびらなかった。
姉ふたりを差し置いて彼女を狙ったのは、なんとなく彼女がそう接してくれるだろうと感じたから。
子供に近い心の持ち主は、意外なくらい純真で柔らかい心を持っていた。

吸血鬼のおじさん、まみちゃんの血を吸いたいの?
まだ稚ない彼女は、じぶんのことを「まみちゃん」と呼んでいた。

ああ、吸いたいね。
その可愛らしいブラウスを、きみの血で汚してみたいし。
真っ白なハイソックスを汚すのも、愉しいだろうから。
きみの首すじやふくらはぎは柔らかくって、
とても噛み応えがいいだろうね。

わざと露悪的にならべたことばに、
まみちゃんは怯えるようすもなく、
ただほんのりとほほ笑みながら、耳をかたむけていた。

じゃあ、いいよ。
まみちゃんの血を、吸わせてあげる。
でも―――ほかのひとには、手を出さないでね。
上のお姉ちゃんは結婚をひかえているから、お婿さんがかわいそうだし。
下のお姉ちゃんにも彼氏がいるから、彼氏さんかわいそうだし。
ママにはパパがいるから、パパがかわいそうだから。
まみちゃんがたっぷり、血をあげるから。
気の済むまで、生き血を吸ってね。

まみちゃんはにっこりほほ笑んでいた。
俺が迫っていくのを受けとめるような、力のあるほほ笑みだった。
柔らかいうなじに唇を近寄せたとき。
さすがにちょっと、顔をしかめたけれど。
無防備なうなじの肉を、引きつらせることもなく。
柔らかいままに、噛ませてくれた。
刺し込んだ牙が包み込まれるような、しっとりと潤んだ肌をしていた。

ちゅ、ちゅー・・・と血を吸いあげたとき。
まみちゃんはちょっぴり、べそをかいたけれど。
あたし、良い子だから。強い子だから。
力んで強がるわけでもなく、自分に言い聞かせるように。
じゅうたんの床を踏みしめて立つ白のハイソックスの両足は、
意外なくらいにしっかりしていた。

バラ色の血に濡れたハイソックスをぶら提げて、まみちゃんの部屋を立ち去ったのは。
もう土曜日の明け方になっていた。
さすがに耐えきれなくなって、ベッドにあお向けになった少女は、
傷口についた血がシーツにかすかなシミを作るのを厭うように、立てひざをしていて。
また来てね。
小手をかざして、俺を見送ってくれた。

それからは。
約束どおり、この少女だけを襲うことにした。
まみちゃんは言ってくれた。
遠慮しないで吸ってね。
でも、ほかのひとは駄目だからね―――
さいごのひと言は、ひときわ強かった。
あなたのことは、あたしひとりでせき止めてみせるから。

けれども俺の貪婪な食欲を支えるには、
まみちゃんの小さな身体には負担が大きすぎた。
一週間と経たないうちに、まみちゃんはみるみる蒼ざめていった。
ふっくらとしていた頬からは、血の気がひいて。
頼りないほどか細い手足は、
いまでもほんとうに血がめぐっているのかと思うほど、冷えてしまった。

まみちゃん、もう無理だ。降参しな。
俺に負けたからって、きみの不名誉にはならないよ。
たったひとりで、よくがんばったね。
そう言って、まみちゃんの頭を撫でて、褒めてあげたけど。
まみちゃんは激しくかぶりを振るばかり。
だめ。お兄さんたちがかわいそう。パパがかわいそう。
泣かんばかりにして、あたしひとりを狙って・・・そうくり返すのだった。

動いたのは、周囲が先だった。
夜更けの末娘の勉強部屋に漂う異様な空気を、まず敏感に察したのは母親だった。
俺がまみちゃんとふたりきりでいる勉強部屋に入ってきたとき。
彼女は子供の友だちを迎える母親よろしく、お紅茶をふたつ淹れたお盆を手にしていた。
あなたの正体は、娘からきいてしまいました。
娘は、あなたを裏切ったわけではありませんの。
親の言うことをきいたまでですわ。
わたくしは娘の懇願に、負けました。
主人と相談して、三夜にひと晩は、身代りを勤めさせていただきます。
だからそのかわり・・・どうぞ娘を、わたしたちから取りあげないでくださいね。
・・・・・・。
たしなむ習慣を持たなかったお紅茶は。
せっかくだから、淹れてくれたご本人に飲んでもらうことにした。
俺はもっと甘美で濃い飲みものを、このひとの身体から味わうのだから。
さいごまで渋っていたまみちゃんも、
「わたしを幸福にしてくれるのは、あなたなのだから」
お母さんにそう言われてはじめて、ふたつ並べられたティーカップを手に取った。

毎夜噛み破ってきた白のハイソックスの脚の代わりに差し出されたふくらはぎは、
肌色のストッキングで、薄っすらと覆われていた。
長い靴下をお破きになるご趣味があるそうね。
まず、好い趣味とは思っていただけないでしょうが―――
そうですね。あまり好ましいことではございませんけれど。。。
できれば回避したいという本心をちらりと覗かせながら。
それでもお母さんは、俺の意を受け容れてくれた。
まみちゃんも、大きくなったらママみたいに、ストッキング穿いてくれるかな?
明け渡す地位をあくまで惜しもうとするまみちゃんは。
それと引き換えに、俺と指きりげんまんをしてくれた。
それでもやはり、肌色のストッキングを穿いた脚にいやらしくぬめりつけた唇のうごくさまから、彼女の視線がはなれることはなかった。
お母さんの穿いていた肌色のストッキングは、他愛なく破けてしまったけれど。
彼女が淡い嫉妬を寄せるほど、とてもしなやかで、色っぽかった。

お兄さんたちと仲良くなるのは、意外にかんたんだった。
少なくとも彼らには、まみちゃんの目は光っていなかったから。
下のお姉さんの彼氏さんとはすぐに仲良くなって。
彼の好む球技の秘密練習の相手を、じつにうまくやってあげたら、
ひざ丈まであるスポーツハイソックスのふくらはぎを、差し伸べてくれて。
どうぞ遠慮なく・・・って、噛ませてくれた。
太めのリブがはっきり浮いたハイソックスは。
まみちゃんの履いているものみたいな柔らかさはなかったけれど。
しっかりとした舌触りを愉しみながら、
逞しい脛を覆う鮮やかなリブを、ぐねぐねとねじ曲げていった。
スポーツで鍛えられた熱い血は、同性の俺さえもドキドキさせてくれた。

上のお兄さんがひた隠しにしていたのは、女装趣味。
あるきっかけで突き止めてしまうと、話はうそのように早かった。
婚約者にうまく話して、あんたの趣味を認めさせるよ。
そのかわり―――
彼女の血を欲しいのか?
警戒に息を詰める花婿氏に、俺はゆっくりとかぶりを振った。
女装したまま、俺の相手をしてくれる・・・?
脚に通した舶来もののストッキングは。
お母さんのそれよりも、すべすべしていた。

わたしの理性を、奪ってください。
まみちゃんのお父さんの招きを受けて。
慣れない酒の相手をさせられたあと。
家族の寝静まった家の、リビングで。
彼は怒ったように、そう言った。
あなたはなにも、喪っていない。
詭弁だろう。
そうでもないさ。
俺はうそぶきながら、グラスを傾ける。
俺が欲しいのは血液と、しいて言えばご婦人たちの身体かな・・・
それ見ろ。
でも、みんなあんたを気遣っている・・・
ふと洩らしたそのひと言に、かれは長いこと黙っていた。
献血だと割り切れば良い。つごうの悪いことには片目をつぶれば、みんな察してくれるさ。
男の子たちは、俺に彼女や婚約者のバージンをプレゼントしてくれる約束をしてくれたんだぜ?
彼はしばらく、だまっていたが。
俺はふと、洩らしていた。
この酒美味いな。
酒が美味いって・・・?
ああ。どうしたわけか、初めてそう感じるような気がするな。
酒が美味いんじゃ、しょうがないな。
男は初めて、上機嫌になった。
ズボンのすそを、まくってみな。
ぶっきら棒に言われるままに、スラックスの裾を引きあげて。
俺は思わず、呟いていた。
これが、いちばん欲しかったかもしれないな―――
彼の脛を覆っていたのは、ストッキング地の紳士用の長靴下。
精いっぱい、俺の趣味に合わせたのだろう。
俺は遠慮会釈なく、薄っすらと白く滲んだ彼のふくらはぎを、がぶりと噛んだ。
働き盛りの血は意外なくらい口に合って、
気づいたときにはもう、顔が蒼ざめるほど、吸い取ってしまっていた。

みんな、小父さんにたぶらかされちゃったんだね。
まみちゃんはちょっぴり、ご機嫌ななめのようだった。
無理もなかった。
一家全員そろった夜は、結納のあとのことだった。
上のお兄ちゃんの婚約者が連れてきた両親とは、すぐに仲良くなって。
奥さんが和服の襟あしをくつろげるのを、先方のお父さんは手ずから介添えしてくれていた。
そのあとはお定まりの、落花狼藉―――

お父さんが視て視ぬふりをする傍らで。
まっさきにお母さんが、奥ゆかしい洋装を着崩れさせて、
娘たちに手本を見せてくれた。
上の娘から純潔を奪い取っているあいだ、
片時も離れたくないという花婿は、血の気の失せた頬を妖しく歪めながら、花嫁の手を握りつづけていた。
いちばん気に入りの紺のハイソックスを穿いてきた彼氏さんは、
これじつは、彼女のおさがりなんだ。
そういって、彼女の視てるまえで噛ませてくれて。
彼女の部屋の片隅で、尻もちをついたまま。
素っ裸になった俺を、制服姿で迎えた恋人が。
制服姿のままお尻に尖った一物を突っ込まれて、
四つん這いになってはぁはぁ息を切らすのを、ドキドキしながら見つづけていた。

みんなひと晩で、始末しちゃうなんて。
まみちゃんね、お兄さんたちにおわびをしなくちゃいけないわ。
「おわび」の具体的方法を、いまはすっかり心得てしまった彼女だった。
そんなことを、思う必要はないのだよ。
俺はまみちゃんの両手を握りしめて、そう囁いた。
きみにもちゃんとした彼氏が、いずれできるのだから―――
まみちゃんはビクッとして、顔をあげた。
小父さんが彼氏になってくれるんじゃなかったの?
瞳には、せつじつな輝きが込められているのを知りながら、
俺はわざと、目をそらせた。
小父さんは齢だし―――それに、独りであとなん百年も生きつづけなければならないんだ。
まみちゃんをほんとうに俺のものにするには、まみちゃんも吸血鬼にならなくちゃならないよ。
きみはでも、人間として生きていたいのだろう?
まみちゃんはこっくりと、素直に頷いていた。
少女のうなじの動きに合わせて、おさげ髪がユサッと揺れた。

あたしの未来の彼氏さんに、乾杯♪
未来の彼氏さん、赦してね。
まみちゃんは髪をサッと撫でつけて。
真っ白なハイソックスをひざ小僧のすぐ下までキリリと引きあげると。
用意はできたわよ。
そう言いたげに、真顔で俺を視る。
ひと晩かぎりの花嫁だった。

たしかにほかの女たちも抱いたけれど、それは肉欲だけのこと。
研ぎ澄まされた劣情が、ほどほどになるまでにふるい落として。
いちばんいやらしい部分は、お母さんやお姉さんたちに遠慮なくふりかけてきた。
まみちゃんが身を張って、彼らの血を守ろうとしたように。
女三人は俺の劣情が優しく和むまで、俺と肌をすり合わせてくれた。

あんまりいやらしく、しないでね。。
まみちゃんもいざとなると、さすがに怯えを顔に浮かべる。
ああ、まみちゃんに嫌われたくないからね・・・
俺はいままでになく優しくほほ笑んで、
ウットリするようなキスで、唇を結び合わせると。
股間に秘めた鎌首をひそかにもたげて、少女の身体に、挑んでゆく。
押し倒されたまみちゃんは、ちょっぴり痛そうに顔をしかめながら。
せっかく引き伸ばしたハイソックスが、たるんでずり落ちていくのを。
お母さんに買ってもらったばかりのチェック柄のスカートのすそが、お行儀わるく乱れるのを、
ずっとずっと、気にしつづけていた。
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