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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

スラックスの下、ストッキング地の長靴下の脚を隠して。

2011年11月09日(Wed) 07:40:35

スラックスの下、ストッキング地の長靴下の脚を隠して。
真夜中に家を出る。吸血男に逢うために。
通された古びた畳部屋のなか、なにかを探し求めるように、見まわすわたしに。
すべてを見抜いている吸血男は、呟きかけてきた。
さっきまで奥さんの血を吸っていたんだよ。
なんと応えたものか、とっさに言葉を詰まらせたわたしは、あいまいに笑って。
美味かったかね?
そう訊くと。
応えのかわりに目のまえにぶら下げられたのは、肌色のストッキング。
妻の足形を残して、ふやけたようになって。室内の微風を受けてそよいでいた。
ふくらはぎのあたりには、大きな裂け目。そして、赤黒い血のりがかすかに、けれども毒々しく、こびりついている。

しつこく噛んだね?
咎め口調になるわたしに、
ウフフ・・・と照れ笑いする吸血男。
よほど、ご執心なんだね?
問わずにいられないわたしに、
こんど、プロポーズしようと思っている。
ヌケヌケとそんなことまで、口にしている。
応援しちゃおうかな?
冗談ごかしに、そう応えると。
夜だけ、るす中だけ、おいしい所だけいただくよ。
夫婦関係を壊すことなく遂げられる、よこしまな劣情に。
わたしはチン、とグラスを鳴らす。
こちらのグラスには、なみなみとワインが。
けれどもかれのグラスの中身は―――どうやら今宵の獲物から絞り取った血のようだった。

まだ吸い足りないのか?
息荒くわたしの肩を掴まえて、むき出した牙を首すじに近寄せられたとき。
わたしはあきれる想いで、そういった。
犯した女の亭主の血は、格別なんでね。
情交を遂げたのだと聞かされて、血が燃えた。

こぼれた血が、ワイシャツを濡らしている。
帰り道は暗いから、見とがめられることもないだろう?
彼の言い草に、しずかに頷くわたしだった。
もっと愉しむだろう?
わたしのぶきっちょな誘いかけにさえ、まんまと乗って。
吸血男の目線は、薄い沓下に透ける足の甲に注がれていた。

家内のストッキングほどには、愉しくないだろうけど。
スラックスを引きあげて、薄い沓下に透けた脛を見せてやると。
そんなことはないさ・・・
男はスラックスをさらにたくし上げて、ふくらはぎのいちばん肉づきのよいあたりに、唇を吸いつけた。
言葉はまんざら、嘘でもなさそうだ…
そう感じたのは、薄いナイロン生地ごしに這わされた唇が、それはしつような熱っぽさを帯びているのを感じたから。
彼のため履いてきたストッキング地のハイソックスは、噛み破られるまえに、
にゅるにゅると舌まで這わされ、よだれをたっぷりとしみ込まされて、
履き口から脛周り、くるぶしやつま先までと、すみずみまで愉しまれてしまっている。

妻の膚を侵した牙が、わたしのふくらはぎにも食い込んでくる。
チクッとした刺すようなこの痺れを、妻も味わったのだろうか?
器用ななつだ。家内があんたに夢中になったの、判るような気がするな。
あんた、優しいんだな。奥さんがあんたを慕うのが、わかるような気がするね。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅぱっ。
わざとらしい音まで立てて、愉しまれてゆくのが。
なぜか自慢に思えるようになっていた。

わたしの血もたいそう気に入られてしまったらしい。
もう・・・かなり貧血になっているというのに。
男はなかなか、吸いやめようとしなかった。
わたしも、つよく抱きすくめられた猿臂を、ふりほどこうとはしなかった。

通された別室で見合わせる、血の気が抜けて蒼ざめた顔と顔。
ごくろうさま。
いいえ、あなたこそ。
しぜんとのは、ねぎらいのことば。
血を吸われるものどうしの連帯感が、夫婦のきずなにべつの色を添えていた。
長かったわね。
なかなか放してもらえなくてね。
奇妙な嫉妬が、やはり夫婦のあいだに別のフィルタで蔽っていった。

スラックスを脱いだまま。
欲情に満ちた猿臂のなかであえぐ妻の横顔に。
さかんな射精が、裂け目を滲ませた長靴下を濡らし、むき出しの太ももに散った。


あとがき
きのうの朝ほぼ描きあげたものに、ちょっと加筆したお話です。

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