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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

なにかが、入れ替わった。

2011年12月27日(Tue) 08:06:34

なにかが入れ替わってしまった。
妹の結婚式のために訪れた、初めての街で。
ふとすれ違ったあのひとに、首すじを咬まれてしまってから。

つけられた傷口から、ぬるーっと抜き出される血潮のぬくもりが。
なぜかわたしのことを、うっとりとさせて。
理性が眠りについたのは、きっとその瞬間のことだろう。

ご気分は?
気遣わしげな相手のようすに、吸い尽くされる懸念が消えていた。
いいえ、だいじょうぶですよ。よろしければ、もう少しくらいなら・・・
上ずった唇が、相手にとっては美味し過ぎる言葉を、つむいでいた。

彼はどうやら、わたしの素性を知っている。
明日は妹さんの婚礼ですな。おめでとうございます。そうささやいたから。
奥さまの婚礼の席も、もうけたいと思います。せつに。
さいごの力をこめられた「せつに」のひと言に、わたしは唯々諾々と、うなずいている。

ごめんね。お兄さん。お義姉さんまで巻き添えにしちゃって。
処女の生き血をたっぷりとたんのうされた妹は、ちょっと蒼い顔をしていたけれど。
言葉はハキハキトしていて、よどみがない。
お母さんも、とっくなの。
よどみない唇が、同宿している両親のとんでもない関係に触れてゆく。

あのお父さんがよく、お母さんのことを許したね。
いまではお母さんが、吸血鬼のお相手をするときに甲斐甲斐しく尽くすのが、お父さんには自慢みたい。
兄妹のひそひそ声は、妻に届くことはない。

婚礼の席、なにも知らない妻は、都会ふうの洗練されたスーツに身を包んでいる。
黒のストッキングに染まった足許に、男どもの視線が釘付けになっているなどとは、夢にも思わずに。

角隠しをしたまま立ち上がった、妹は、ごま塩頭の村の顔役に手を取られて、おずおずと立ち上がる。
あの小柄な体内にめぐる血液が、男どもの欲情を満たすのか?
どうじにあたりは騒がしくなって、都会の女にはひとりかふたり、村の男が寄り添っていく。

都会の殿方はみなさん、薄い靴下を穿くんだね?
街角ですれ違った、赧(あか)ら顔の男はそういって、わたしのスラックスをたくしあげる。
めいっぱい脛に引き上げた靴下のうえからあてがわれる唇に、妻は凍りついたようになっていた。

さあ、つぎは奥さまの番だね。
薄いストッキングに穴をあけてもかまわんかね?
妻の意思は二の次だった。
わたしが無表情にうなずくと、それでも妻はワインカラーのスカートを、おずおずとたくしあげてゆく―――
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