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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

献血家族 ~息子のメモを視た母親の述懐~

2012年01月10日(Tue) 06:38:49

≪息子の手記≫
自分の体内を、若くて活きのいい血液が暖かく脈打っている。
そんな感覚を実感することなんて、それまではめったになかったと思います。
坂尻くんに血を吸われはじめてからのことでした。
身体のなかをめぐる血液の間隔を、ある種のいとおしさを込めて感じるようになったのは。

授業がおわるころになると、坂尻くんはいつも、僕のほうへと視線を泳がせて。
教室に残っているように・・・って、目で要求するのです。
注がれるせつじつな視線にドキドキしながらも、僕のほうも目配せで応じてしまうのでした。
周りに気づかれないように・・・
放課後の教室。ふたりきりになると。
坂尻くんは僕の足首をつかまえて、痛いほど力を込めて、床にギュッと抑えつけると。
ハイソックスのうえから、ふくらはぎを冒してくるのです。
チュウチュウ、キュウキュウと、あからさまな音をたてながらむさぼられてゆく、僕の血―――
血を喪うことで吸血される歓びに目覚めてしまった僕には、
坂尻くんが僕の血を美味しいと感じてくれているその気持ちまで、ありありと伝わってくるようになっていました。

坂尻くんの声がかかりそうなときには。
いつも、真新しいハイソックスを一足、用意しています。
そして、目配せがあると校舎の裏の人目のないところに行って、履き替えておくのです。
初めてハイソックスに血を滲ませて帰宅した日。
母は僕のいけない趣味を、すべて察したようですが。
持っているハイソックスを、ぜんぶ咬み破らせてあげる。
そう約束したという僕のために、毎週のようにハイソックスを買い揃えてきてくれます。

いずれは母や妹の血も、吸わせてあげよう。
父さんには申し訳ないことかもしれないけれど・・・
いまの僕は、そんなふうに感じています。


≪母親の述懐≫
仲間はずれにされることは、主婦にとって死を意味する。
そう申し上げたら、唐突でしょうか?
でもそれくらいに、難しいのですよ。女どうしのおつきあいって。

きょうのランチは欠席するわ。男がうちに来るから。
浮気相手が、仲間連れてくるのよ。三人も。きょうつきあえる人、いないかな~?経験者限定で。
あら、お宅まだなの?うちは娘も済ませたのよ。こういうのは、お母さんが率先して、お手本みせないとね。

さりげなく背中を押す掌には、つよい力がこもっていました。
そんな言葉が交わされる日常。信じられますか・・・?

リビングの食卓のうえに、まるで読めといわんばかりにおかれた一葉のメモ。
息子のいないあいだに、大急ぎで目を通すと、そこにはストレートな想いが書きつづられていました。
私は肩でため息をついて、思わずメモを四つ折りにして。
折り目をつけてしまったメモ用紙を、折り目がなくなるようにと引き伸ばして。
それからくしゃくしゃに丸めて、ゴミ箱に投げ入れようとして。
けれどもそのまま、エプロンのポケットに仕舞い込んでしまいました。
テーブルのうえのメモがなくなっている。
それだけでじゅうぶん、息子には通じるでしょうから・・・

今週になってから。
家にいるときにはジーンズだった習慣を改めて、
スカートをひらひらさせて、ストッキングで脛をひきたてる。
きっと息子は、気づいているはずです。
だって、出がけに私の足許を、私に気づかれないようにしながら、チラチラと盗み見るんですから。
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