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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

死んだはずの夫の帰宅。

2012年02月07日(Tue) 07:35:36

こんどはおれが、招き入れてやるよ。

男はイタズラっぽくウィンクをすると、
入ることのかなわなくなったわたしの自宅の玄関を、
すう…っと押し開いていった。

ふとしたことでわたしの血を吸ったその男のために。
病みつきになってしまったわたしは、ひそかに自宅にまで彼を招き入れていて。
好きなだけ、血を吸わせる歓びを、分かち合うようになって。
彼の旺盛な食欲のために、わたしの血は他愛のないほどに、吸い尽くされてしまっていた。

今夜は一滴残らず、頂戴するよ。
さあ、どうぞ。
ごちそうさん。

こともなげなやり取りのあと、わたしはエクスタシイの極致を味わいながら、
意識を遠のかせていったのだった。

ぼくの家内を、紹介してやるよ。
でも、きょうはちょっぴりおあずけだがね。

そんな戯れ言を口にしながら、家にあげてやった彼に、
ひさしを貸して母屋を取られた。
ほろ苦い感情のなかに、ひっそりと息づく淫らな歓びを見出して。
わたしはひとり、うろたえていた。

墓場まで迎えに来てくれた彼は、わたしの手を取って。
分け前だ。
そういって男同士重ね合わせた唇ごしに、まだ生暖かい血潮を、喉の奥まで吹き込んでくれた。
娘さんの生き血だ。口に合うだろう…?
家にあがり込むことを許された吸血鬼が、妻と娘とを毒牙にかけるということは、
通り相場には違いなかった。

おれの女を、紹介してやるよ。
でも、きょうはちょっぴりおあずけだがね。

どこかで聞いたような気のする文句を、男は愉しげに口にして。
押し開いたドアのなか、わたしの手を引いて、なかに引き入れてくれた。
かつてわたしの自宅だったこの家には、
人肌の芳香が、ぷんぷんと満ち満ちていて。
干からびた血管を、わたしはズキズキと、疼かせていた。

あとできみにも、分け前をやるから。
そう言い捨てた彼は、家のいちばん奥の部屋へと、ひとり消えていった。

夫婦の寝室だった、その畳部屋には、
おぶつだんのうえ、わたしの写真が小さく飾られていて。
黒一色のワンピースに身を包んだ妻が、
なかば蒼ざめさせた頬に、異様な輝きをよぎらせていた。

おかえりなさいませ。
ご主人を迎えるように、三つ指をついて。
男は荒々しく妻の肩を捕まえると、わたしの写真のまえに、引き据えた。
淫らな女。きょうも俺のいうことを聞くんだぞ。
貞操堅固だったはずの女は、ひっそりとうなずきをかえしていった。

たたみの上、うつ伏せに伸べられたふくらはぎは、
墨色のストッキングに、脛の白さを透きとおらせていて。
そのなまめかしさに、惹き込まれるように。
薄手のナイロン生地ごしに、飢えた唇が吸いつけられてゆく。

チュウッ…

ひとをこばかにしたような、あからさまな音とともに。
妻の身体から、暖かい血潮が、抜き取られていった。
呆けたように口を半開きにして。
夢見るようにまぶたを閉じて、長いまつ毛をピリピリと震わせる。
女が病みつきになってしまったのを、認めないわけにはいかなかった。

男同士重ね合わせた唇ごしに。
いとしい妻の身体から吸い取られた血潮が、
うっとりとするようななま温かさを伴って、
わたしの喉の奥へと移動する。

分け前だよ。
そうなんだね。
隣室に横たわる妻は、スリップ一枚にひん剥かれていて。
破けた黒のストッキングは、くまなくしみ込まされた唾液と、夫以外の男の粘液とにまみれていた。
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