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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

時間をかけて。

2012年02月17日(Fri) 06:20:17

ただいま。
明け方になって、帰宅した妻は。
血の気を失くした頬を、蒼白く輝かせて。
ほつれた髪や着くずれしたスーツもあからさまに、
彼女の身に何が起きたのかを、隠さずにいた。

もどりました。
謝罪するように深々と頭を垂れる妻の手を取って。
かさかさに干からびかけた手の甲に、接吻をくり返す。
戻ってきてくれたんだね?
エエ、戻るようにいわれましたから。
別の男のものになると、交わす言葉まで他人行儀になるのだろうか?
妻はあくまで、丁寧語をかえなかった。

あしたも、伺います。
お誘いをご辞退することが、できませんでしたから。
ああ、ぜひそうなさい。でも身体には、気をつけるように・・・
精いっぱいのいたわりを込めながら、
それでも妻を吸血鬼の棲み処に送り出すことを、止められないわたし。

あなたの血は、ひと思いに吸い取ってしまったのに。
うつろな目線を、わたしの首すじに注ぎながら。
妻は自分の首すじを見せつけるように、長い髪を掻きのけた。
ふたつ綺麗に並んだ、咬み痕は。
ひどく鮮やかに、吸い残した血潮をテラテラと光らせている。

思わず吸い寄せられるように、首すじに這わせた唇を。
彼女は心地よげに受け止めて。
はじめて、丁寧語をあらためていた。

あなたの血は、ひと思いに吸い取ったくせに。
あたしの血は、時間をかけて愉しむみたい。

うふふふふふっ。
くすぐったそうな含み笑いを残して、浴室に向かう妻。
スカートの裏地に散っているであろう粘液の痕跡を、
この目で確かめたい衝動を、わたしはひそかにこらえていた。
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はらませてやるよ。
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夫婦ながら。

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