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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

義母の喪服を脱がさせるため。

2012年03月12日(Mon) 07:53:16


義母(はは)を襲ってくれませんか?
もう、還暦間近なのですが。魅力的なひとですよ。

そう語りかける男は、俺につけられた痕をすでに首すじに持っていて。
ためらいながら口にする、近親者への誘惑の依頼を告げる言葉の語尾が、
マゾヒスティックな震えを帯びていた。

連れてくるかね?
エエ・・・

俯いたその横顔には、かすかな自己嫌悪と罪悪感―――
その体内に宿されたわずかな血潮が、そんな翳りをよぎらせるのだろう。



彼が連れてきたその女は、たしかに魅力的なご婦人だった。
献血だと騙して連れてきたらしく、
まるで医師の診察を受けるときのように、女はそそくさとブラウスのボタンをはずしていった。
漆黒のブラウス。おなじ色のスカート。薄墨色のストッキング。
それは彼女が未亡人だと告げていた。

―――義母の喪服を、脱がせてやって下さい。

そんな娘婿の依頼はきっと、

肌身を曝す

というだけではなくて。

華やぎを取り戻させる

そんなニュアンスも含まれていたにちがいない。

女を連れてきた娘婿を部屋の外に追い払うと、
俺は洋装の喪服姿の後ろにまわり込んで細い両肩を抱き、
おもむろに―――首すじを噛んでいた。


こういうことだったのですね。
女の目じりに、かすかな涙が滲んでいる。
わなわなと震える肩。声色に。
俺はもういちど、さらに抗議を告げようとする唇に、
ふたたび潤いを帯び始めた唇を、重ねていった。

いい身体、している―――
はだけたブラウスの襟首に手を突っ込んで、まさぐる胸は。
まだ若やいだ弾力を残していた。
女はもうそれ以上、逆らおうとせずに。
鮮やかな伝線を走らせた薄墨色のストッキングの脚を。
貪欲な唇の卑猥な凌辱にゆだねていった。

気前の良い奥さんだね。

品のよくない受け応えに。
女はただひと言、

―――どうぞ・・・

伏し目がちに視線をそらし、そう呟いただけだった。



母はまだ、喪服を脱がないのですね。
褥から身を起しかけたその女は、母親譲りのうりざね顔。
潤いを帯びた唇は、稚ない生気をたたえていた。

この女が、母親の情事をねだったのだと。
女の娘婿、女の夫は弁明したが。
ほんとうは、妻への注意をそらすための奸謀だったにちがいない。
真相を知った女は嬉々として、潔い貞操を泥まみれにさせていった。
ふた色の意味で。
娘夫婦をす援けることと。
己自身が、歓びを得るために。

けれども女は、喪服を脱ぐことはなかった。
ふた色の意味で。
夫にまだ、操を立てるという体面を取り繕うことと。
新しい恋人が、喪服の艶を望んだことと。
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