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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

対照的な姉妹。

2012年04月03日(Tue) 08:08:03

対照的な姉妹だった。

姉は、いかにもしっかり者の優等生タイプ。

妹は、長い長い黒髪をおさげに結っていて、おませなタイプ。

姉は、制服なのかというほどに地味な、白のブラウスに紺のスカート。
ひざ小僧のすぐ下までたっぷりと丈のある白のハイソックスは、
ふくらはぎの両側に縄もようの浮き出た、古風な折り返しのあるやつだった。

妹は、襟首にフリフリのついた、おしゃまな花柄のワンピースに、
まだ○学生のくせに、ラメの入った肌色のストッキングを穿いていて。
オトナっぽくテカテカと光る脛を、それは自慢そうにみせびらかしていた。

姉は黒い瞳で、黙りこくってじいっと俺を見ていたけれど。
妹はくりくりとよく動く眼が、からかうように笑っていた。

姉娘が俺にむかってひと言も発しなかったのは、もっともなことだった。
吸血鬼と人間とが同居するこの街で。
俺がこの家に、自由に出入りを許されたのは。
出張がちの父親が気前よく、OKをしてくれて。
その妻がほぼ公然と、俺の愛人になったから。
そう。
いちど吸血鬼を家に招き入れてしまうと。
あとはいつでも、家族の女たちの血を吸いに、自由に出入りができることを意味していたから。
母親は俺に、娘ふたりを引き合わせると。
人間の愛人と逢うために、さっさと出かけてしまっていた。

小父さま、ママの愛人なんでしょう?
口ごもる姉をしり目に、さいしょに声を放ったのは、妹娘のほうだった。
○学生のくせに、ずいぶんとおませな言いぐさだった。
そういうことは、言葉に出していうものじゃないのだよ。
さすがに俺が、たしなめると。
姉娘のほうも、そうよ、と言いたげに、妹のほうへたしなめるような視線を送っていた。

家庭教師、なんですよね?
妹娘の声色は、ちょっぴり神妙に変化していた。
あくまで優等生な姉の態度に、ちょっと気圧されたみたいだった。
でもそこはやっぱり、お茶目な少女らしかった。
わざとらしく小首をかしげ、
長い長いおさげ髪をやっぱりわざとらしく、ワンピースの胸まで垂らしながら。
かわいい白い歯をみせて、言ったものだった。
血を吸われるお勉強・・・ですよね・・・?
そう。
若い女の血に飢えた、吸血鬼のまえで―――

靴下履いたまま脚に噛みつくって、ほんとう?
無口な姉になり代わって、やり取りはずうっと、妹娘が主役だった。
せっかくおろしたおニューのストッキング、破けちゃうじゃん。
お芝居みたいにわざとらしく、不平そうに口をとがらせていたけれど、
そんなことは先刻母親からきいて、承知のうえで装ったはず。
それが証拠に、彼女が着ているワンピースも、
血の吸われ初めのお祝いに、母親が娘を都会の百貨店に伴って、わざわざ買い与えたものだった。
女の子の服も、お愉しみなのね。やらし~♪
少女はあくまでウキウキと、両手で口をおおっていた。

お姉ちゃんより、先なんだよね・・・?
姉娘がちょっぴり恨みがましく、はじめて口をひらいたのは。
きゃっ、きゃっ、とはしゃぎながら脚をたばたつかせる妹が、
俺に足首をつかまれて、もの欲しげな唇やべろを、なすりつけられて。
おニューのラメのストッキングの薄い生地に、よだれを濡らしていったころ。
ァ・・・。
さすがに初めて噛まれた瞬間は、さすがの妹娘も声を途切らせて。
ちゅーちゅーと血を吸い上げられる音を耳にしながら、
貧血におとがいを仰のけてしまっていた。
あはっ・・・
おどけようとした声色は、初めて覚える軽い恐怖、そして密かな喜悦を滲ませていた。

ストッキングを派手に伝線させて。
ワンピースのフリフリの襟首に、赤黒いシミをべっとり滲ませて。
花柄に覆われた華奢な体のあちこちに、バラ色のしずくを点々と滴らされて。
妹娘は呆けたように口を半ば開いて、絶息していた。
その傍らで、姉娘は軽い嫌悪に唇を引き結んだまま、
清楚な白のブラウス姿を、俺のまえにさらしていた。
妹の血を吸い取った唇は、まだその血に濡れているというのに。

血の着いたままの唇を、姉娘の素肌に這わせようとすると。
それまで大人しかった姉娘は、態度を変えて。
唇の接近を激しく拒んだ。
理由はすぐにわかった。
俺のお行儀の悪さが、どうしても気になったらしい。
俺は仰向け大の字に寝そべっている妹娘に近寄って、
彼女のワンピースの裾で、口許の血を拭い取った。
あくまで尖った視線を送りつづける姉娘のまえで、
妹娘のワンピースの裾を赤黒く汚しながら、丹念に口許を拭っていった。

・・・わたし、地味でしょう?
ふたたびにじり寄った俺に、妹娘は初めて、本音をのぞかせた。
勝手におしゃれをして、勝手にまくしたてて、勝手に静かになってしまった妹に、
一見終始押されていたようすの姉娘だったが。
俺は彼女の手首を握り、耳元に唇を近寄せて。
―――うそをつけ。
そう言ってやった。
娘のかすかな震えが止まり、大きく見開いた黒い瞳が俺の横顔をとらえるのを、
俺はわざと横っ面で、受け流していた。

首すじから、どうぞ。
観念して目を瞑った姉娘は、意外に長いまつ毛をしていて。
そのまつ毛は、小刻みにピリピリと震えていた。
彼女が首すじを、のぞんだのは。
ストッキングを穿いた妹の足許に吸いつけられる俺の唇が、
いやらしさをたぎらせているのを見て取ったからに違いない。
献血だって、母に言われていますから。
少女は目を瞑ったまま、自分に言い聞かせるように、そう呟いた。

尻もちをついた少女を、壁ぎわに引きずっていって。
その壁ぎわに背中を、もたれかけさせた姿勢のまま、にじり寄っていって。
妹娘よりは発育のすすんだ、それでもまだまだ華奢な両の二の腕を、ギュウッと抑えつけて。
縮こまった首周りと、ブラウスの肩のあいだに頤をめり込ませるようにしてやると。
懸命に気持ちを落ち着けようとしている少女の切なげな息遣いが、伝わってきた。
これ以上おののかせるのは、俺の本意ではなかったから。
俺は事務的なくらいむぞうさに、少女の首すじを噛んでいた。

唇のすき間から洩れてくる暖かい血潮は、
歯茎にねっとりと絡みついてきて。
妹の生き血にもまさる清冽な芳香で、俺の鼻腔を満たしていった。

ハイソックスのふくらはぎを噛まれるときには、
やだ。いやです。どうしてもそうしなければならないの?
姉娘は彼女には珍しく多弁になって、あからさまに羞じらっていた。
ハイソックスの舌触りを愉しまれながら、ナイロン生地ごと皮膚を噛み破られるという行為に、
本能的に、いやらしさを覚えたらしかった。
あんたの感覚は、正解だよ・・・
おしゃれな服を自分の血で汚すという行為に、イタズラ心しか自覚しなかった妹に比べれば。
彼女の感性は間違いなく、年頃の娘のそれだった。
あくまで羞じらいを隠さずに、ためらいつづける少女の足首を抑えつけると。
縄柄のハイソックスのふくらはぎに、わざとゆっくりと唇を吸い着けていって、
しっかりとした舌触りのする、厚手のナイロン越しに、牙をじわじわと滲ませていった。
しみ込んでゆく血潮のべっとりとした感触に、少女はますます羞じらいを、深めてゆく―――

それからの姉妹も、対照的だった。
妹娘の交友は派手で、俺以外にも、なん人もの吸血鬼に、血を吸わせていった。
いろんな人に、愉しんでもらうのよ。
あたしがまだ、ショジョのうちに♪
そんな言いぐさのまま、彼女はクラスメイトの父親に、姉のボーイフレンドに。実のおじに。
○学校の卒業式の謝恩会に履いていったおニューのハイソックスを、赤黒いシミでべっとりと濡らして帰宅して。
セーラー服の下、足許を初々しく染めた黒のタイツを、穴だらけにさせて。
お気に入りの夏服に、初めて袖をとおしたときに。
実のおじを相手に割かれた股ぐらから洩れた血で、濃紺のプリーツスカートの裏地を濡らしていった。

姉娘は、俺以外の相手を、拒みつづけていた。
貧血症なんです。
俯きがちにそういう姉は、本人の説明とは正反対に、その健康さを提供する血の量で示してくれた。
いつも、制服と見まごうほどに地味なブラウスに、紺やねずみ色のスカートを履いて俺の相手をして。
いやいやながら差し伸べる足許を蔽っているのは、ほとんど例外なく、無地のハイソックスだった。
なんの面白味もなさそうなモノトーンの装いに、
俺は発情しつづけて、そんな俺のことを、少女は羞じらいながらも受け容れつづけていった。

密かに願懸けをしたという体育大会で、成績が二着におわったとき。
彼女は珍しく、ライン入りのハイソックスを履いてご馳走してくれて。
初めて制服を着て相手をしてくれたのは、卒業式の夜だった。
胸元を引き締める白のネッカチーフをバラ色に染めた彼女は、
俺のまえでは初めて脚を通した黒のストッキングを、びりびりに噛み破られながら、
いままでにないほどの昂ぶりを、背すじを仰け反らせてあらわにしていった。
勤めに出るようになると、グレーやこげ茶のスーツの下、
ようやく穿きなれるようになった肌色のパンティストッキングの脚を、
やはりためらい、羞じらいながら、差し伸べてきて。
そう、二十一になるまで、処女の生き血を愉しませてくれた。

中学のときの体育大会で、どんな願懸けしたかご存知?
彼氏も作らずに、俺にばかり逢って。
そんな俺の腕のなか、女は周囲の薄闇に語りかけるように囁いた。
―――いや・・・
そんなことを忘れかけていた俺のことを、ちょっとだけ上目づかいに睨むと、
女はそれ以上俺を責めようとはせずに、話に戻っていった。
あのとき一等賞を取ったら、あなたのまえで初めて制服を着て。
処女をあげよう・・・って思ったの。
俺の反応が過大でないことに安堵した女は、いつもの羞じらう口調に戻っていて。
わたしだって、気持ちが浮つくときはあるのよ。
いい終えたとき、女はより強い抱擁を全身に感じていた。
初めての衝撃が身体の芯を貫くまで、その抱擁は解かれることがなかった。

いまは俺の苗字に変わった女は、ここでこうして回想録を打っているあいだにも。
ひっそりと俺の傍らに腰を下ろして、
淹れてくれたお茶を差し出すタイミングを測っている。
お茶を飲みほした後。
自分の生き血を愉しまれることを予期した女は、
艶めかしいこげ茶色のストッキングで、足許を彩っていた。
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