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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

問診票  ~「血を吸う従姉」 異伝~

2012年04月11日(Wed) 07:37:55

氏 名   北堀河 敬介
年 齢   15歳

学 年   中学三年

血液型   O 型

学内の吸血鬼の存在を知ったきっかけは?
      友人の紹介(同級生)

吸血に応じる気分になった理由を書いてください
      刺激を求めるため。

きょうの体調は、吸血されても差支えはありませんか
      差し支えありません

希望する吸血喪失量
      おしるし・軽い貧血程度・気絶するまで・マックス
      (おしるし、に○印)

脚に噛みつくとき、靴下の上から噛んでも差し支えはありませんか
      噛み破らせてあげるため、ハイソックスを着用してきた
      ハイソックスを着用しているが、靴下は破らないでほしい
      (噛み破らないでほしい、に○印)


問診票を手にした少女は、整った目鼻立ちをしていて。
そのくせひどく、頬が蒼白かった。
あの頬ぺた、見たかい?きみの血で、バラ色にしてあげるんだぜ。
敬介を此処に連れてきた慶徳は、さっきから。
敬介の二の腕を、痛いほどつかんでいた。
まるで、この場から逃がすまい・・・とするように。

初心者ね?
少女の問いに、少年ふたりは肯いて。
あ でもボクは、初めてじゃないですよね?
慶徳は座の空気をほぐすように、わざとひょうきんな声色をつくっていた。
そうね。あなたはなんども、あたしにハイソックスの脚を噛ませてくれたわね。
二通の問診票に目を通しているあいだ。
唇を引き結んで、ほとんどにこりともしなかった少女は。
座を和ませようとする慶徳の意を汲んだように、ちょっとだけ打ち解けた笑みを漏らす。

少女の足許は、濃紺のプリーツスカートの下、真っ白なハイソックス。
少年たちは、自校の制服―――濃紺の半ズボンに、紺のハイソックス。
都会の一隅にあるその名門校は、お坊ちゃん学校で有名だった。
いや、一点不正確なところがあった。
敬介は制服どおりの紺のハイソックスだったけれど。
慶徳のほうは、うす茶色の生地の、女の子みたいなひし形もようのやつを履いていた。
あなた、制服のハイソックスぜんぶなくしちゃったのよね。あたしになん度も逢って。
少女は慶徳をとりなすように、そういって。
少年は照れくさそうに、エヘヘ・・・と、笑いを返しただけだった。

じゃ、おなじみのあなたから。
少女があごをしゃくると、慶徳は傍らのベッドに横になった。

養護教諭はこの時間、わざと自分の持ち場を離れている。
校長紹介の来賓の、お愉しみタイムを確保するために。

手加減してくれよ。
慶徳はさすがに、ちょっと気後れした声になって。
それでもベッドのうえ腹這いになって、ひし形もようのハイソックスのふくらはぎをくつろげた。
平気よ。わかってるじゃない。
少女はすこし邪慳なだいどでそういうと、もう飢えを隠すゆとりさえなくして、
ためらいもなく少年のふくらはぎに唇を吸いつけた。

ギュッと握りしめた足首のあたり、ハイソックスの生地がかすかにしわを寄せて。
赤や紺のひし形もようの上を這いまわる唇は、ヌルヌルと唾液をしみ込ませていった。
そんな光景を初めて目にする敬介は、「お手本」と称する友人が吸血を許していくところを、ただ声を失って見守るばかり。
噛むわよ。
少女はひと言、そういうと。
相手の返事もまたずに、口の両はしの牙もあらわに、食いついた。
あ・・・
足許に牙を埋められた少年の呻きは、思ったよりも低かった。

ちゅー。
少女は落ちかかる黒髪を片方の手で抑え、もう片方の手で少年の足首を握り締めながら、
赤黒いものがほとび散った唇をしきりにうごめかせて、同年代の男の子の生き血を飲んでゆく。
ちゅー。ちゅー。ちゅー。
事務的なくらい、他愛のない、人をくったような吸血の音。
ね?怖くないでしょう?
息を詰めて立ちすくむ同年代の少年をまえに、少女はこともなげに問いかけた。
口許や頬に、彼のクラスメイトの身体から吸い取ったばかりの血を、赤黒く光らせながら。

促されるままに、ふらふらとたどり着いたのは。
鉛色の顔をしたクラスメイトが眠りに落ちた、すぐ隣のベッド。
ご両親公認なのよ。彼。だから靴下汚しちゃっても平気なわけ。
そういう少女のハイソックスも、よく見るとふくらはぎのあたりに、かすかな赤黒いシミを帯びている。
ははは。
見咎めるような少年の視線に気づくと、少女は男みたいに笑った。
気にしないで。食物連鎖よ。
生物の授業みたいなことを言いながら、少女はベッドのうえの少年に、腹這いになることを強いてゆく。

いただくわ。
少女は息をはずませて、腹這いになった少年の足許ににじり寄る。
ハイソックス越し、彼女の呼気の熱さがしみ込んできて。
あっ、噛んだら駄目だよ。ボクは公認じゃないからね。
敬介は、念を押していた。
わかってるわよ。
少女はくどい念押しに、邪慳な返事を返すと。
濃紺のハイソックスを、むぞうさにずり降ろした。
敬介は、ひんやりとした冷気が、あらわになったふくらはぎを刺すのを感じた。
むき出しになったふくらはぎを、熱い呼気がふたたび蔽った。

かりり・・・
尖った異物が、皮膚を破って食い込んでくる。
じわっとあふれ出る、熱いしずくを。
少女は人が変わったような貪婪さもあからさまにして、
チロチロと舐め、さらに牙を噛み入れた。
太い血管が破れたらしい。
あっ・・・
敬介が声にならない声を漏らすのもかまわずに。
少女はぐいぐいと、あふれる血潮を飲んでゆく。

あっ、あっ、あっ・・・
むしり取られてゆく血の量の多さに、敬介はただ、うろたえていた。
少女は獣のように、傷口を吸い、また吸って。
ごくごくと喉を鳴らして、敬介の血をむさぼってゆく。
たしか・・・たしか・・・問診票には、「おしるし」に○をつけたはずだった。
そんな敬介を憫笑するように。
隣のクラスメイトはただ、鉛色の頬に奇妙な薄嗤(わら)いを浮かべていた。
ベッドの下に、問診票が一枚、落ちている。
敬介の筆跡だった。
おしるしに○をつけたはずなのに、その○印は二本線で消されていて、マックスにすり替わっていた。
えっ。
隣でお手本を見せるように、マックスのところに勢いよく○印をつけた慶徳。
その○印とおなじ、勢いの良い○印だった。

視界が、薄ぼんやりとなってくる。
いったいどれだけの血を、むしり取られてしまったのだろう?
身体のなかが、空っぽになってしまったようだった。
まるで無重力状態のように、ベッドから身体がふわふわと浮き上がるような気がした。
いい気分でしょ?
少女の顔が、目の前にあった。
吸い取ったばかりの敬介の血が、頬にべったりと、貼りついている。
女の子の顔を、あなたこんなふうにしたのよ。
あたしは、あなたの希望通りにしただけなのよ。
さあ、代償を払ってもらうわ。
少女の顔が視界から消え、うなじのつけ根に新たな疼痛が滲んだ。
あー。
思わずあげた声が、けだるい澱みをもっていた。
その声は、自分でも信じられないほど、愉悦に満ちたものだった。
無理してかっこつけなくっていいのよ。気持ちよさそうな声あげちゃって♪
少女の言いぐさを躍起になって否定したかったのに・・・もうその力は、残されていなかった。
彼女の行為をやめさせようとする努力は、とうの昔に放棄されている。

ちゅうちゅう・・・ごくごく・・・ごくごくっ。ぐびっ。
下品な音をたてて、敬介の血を吸い尽くしてゆく少女。
気に入っちゃったのよ。あなたの血。いいでしょう?いいんでしょう?
身体のあちこちに噛みついてくるまえに、少女は謡うように、少年に問いかける。
そのたびに少年は、けだるそうな笑いとともに、かすかな頷きを返していった。

緩慢に伸びる腕が、足許に伸びてゆく。
初めて噛まれた傷口を隠すように、その手は紺のハイソックスをひざ小僧のあたりまで引き伸ばしていった。
噛み破ってもらいたくなったのね?
少女は無邪気にクスリ、と嗤って。
じゃあ、遠慮なく愉しむわ。
魔性の唇を、ハイソックスのうえから這わせていった。
ふくらはぎをキュッと締めつけるしなやかなナイロン生地ごしに、ヒルのようにあてがわれた唇が。
制服の一部を辱めるように、わざと唾液をしみ込ませてきて。
少年は吸血女の吸いやすいように、じょじょに脚の角度を変えてゆく。
うれしいわ。
少女がやや多弁になったのは。
ふたりの少年から獲た若い血液が、凍りついた気分を和ませたからだろうか。
遠慮しないで・・・好きなようにして・・・
少年は気前よく、少女の望むまま―――紺のハイソックスを、なん度も噛み破らせてやっている。

もう少しだけ、寝かせて。
目が覚めたら、うちに来なよ。
ガールフレンドができたって言ったら、ママも妹もびっくりするだろうから。
パパはとっくの昔に、家を出ちゃったし。
ママにはまだ、彼氏はいないみたいだし。
中学にあがったばかりの妹も、ボーイフレンドはまだみたい。

すでに、彼を悪魔に引き合わせた慶徳は、養護室を去っていた。
吸血女と差向いになった敬介は、問診票に書かれていないことまでしゃべっている。
唇がひとりでに、動いているようだった。
若い女がふたり、ね―――
母親39歳 妹13歳 吸血行為未経験―――
ほっそりとした指が器用に、問診票を書き加えてゆく。
少女は可愛い口許から、白い歯をイタズラっぽく輝かせながら、
同年代の少年に、無邪気に笑いかけている。
あたしの身内に、血を欲しがっているおじ様がちょうど二人いるの。
汚しちゃっても、構わないかな・・・?


あとがき
どうやらこの吸血女は、前作「血を吸う従姉」に登場した章子のようです。
少年もので趣が違いますが、異伝ということでご理解ください。^^
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血を吸う従姉 3
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