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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

山奥の花見

2012年04月25日(Wed) 05:55:15

山奥の村の、そのまたさらに奥は。
吸血鬼の棲まう、桃源郷。
春ともなると、村よりもさらに一段時期の遅れた桜が、
それは見映えよろしく、咲き誇る。

彼らに受け入れられた、限られた人たちは。
赤、青、緑、紫と。
色とりどりの敷物をかついで、花見に訪れる。
うららかな好天の下、咲き誇る花を愉しむために。

おや、いらっしゃい。
さあ、どうぞ。
着飾った村の衆に、口々に迎えられるのは。
上品な老女だったり。気さくそうな好々爺だったり。
なかにはしょうしょうお下品な、禿げ頭の親父もいたりもするが。
だれもが仲良く、酒を酌み交わし始めるのだった。

あんたの酒は、うまいね。
気さくな好々爺は、しきりに盃を重ねながら。
真っ白な敷物のうえ、いちばんよいところにどっかとあぐらをかいていて、
照れているのか、酒がまわっただけなのか。
ひろいおでこを、それは気持ち好さげに、ほてらせている。
もっとうまい酒が、あるんじゃろ?
なぞをかけるような問いに、まだ若い旦那さんは、ちょっぴり気後れしたように。
花見には場違いな紋付き留袖姿の若奥さんをかえりみて。
そうですね。いちばんうまい酒をご披露しますか。
頃合いをみてそそくさと、座を起ってゆく。

あとはわたしたちで、だいじょうぶですよ。
四十年配の奥様は。いかにも慣れた様子で微笑んで。
真新しいセーラー服姿の娘の掌を、濃紺のスカートのおひざのうえで、しっかりと握りしめている。
じゃあ、酔い覚ましにちょっと、そこらへんをひと周りしてくるか。
ご主人は腰をあげるとすぐさま靴をつっかけて、
真っ赤なじゅうたんの上から立ち去ってゆく。
あとで・・・ね。
奥様と訳ありげな目配せを、交し合いながら。

えっ?えっ?こんなにおおぜい、いらしたんですか?
そうよ。みな様あなたのことがお目当てだったのよ。
わたしは添え物・・・そういいたげに、手酌をするのはお姑さん。
つい先週挙式したばかりの新妻をお披露目するには、うってつけの場だったはず。
まわりじゅう、もの欲しげなおじ様たちに取り囲まれてしまった花嫁のご主人は、とっくに座からはなれている。

白の敷物は、ここに来るのは初めてという奥さんを。
赤の敷物は、桜並木にネッカチーフをそよがせる娘さん、それにそのお母さんを。
青の敷物は、嫁と姑を。
鮮やかな色合いごとに、意味が含められていて。
木立のすき間から花見の様子を覗きながら、品定めに興じた吸血鬼どもは。
それぞれお目当ての女がいる敷物のうえ、あがりこんでゆく。

おい、おい。奥さんお盛んだねぇ。
すこし離れた小高い丘のうえ。
ここにも桜は咲いているけれど。
座を起ったいっかのあるじや、その息子たちは。
軽い酩酊を、明るい艶語にかえて。
じゅうたんのうえに組み敷かれてゆくお互いの妻たちの痴態を、眺め合っている。

去年のきょうのことなんですよ。うちのやつがはらまされたのは。
ほら、あの爺さまそっくりに笑うでしょう?
傍らのご主人が抱っこしている可愛い赤ちゃんは、何も知らぬ顔をして、にこにこ穏やかに笑っている。
愛想よくにぎにぎをする手を握り締めて微笑んでいるわたし。
都会育ちの頑固な姑は、今年は舅同伴で村を訪れて。がんばって紋付を着込んできたし。
すっかりここの風習になれた妻は、まえもって約束していたあいつのために、ピンクのスーツ姿をさらしていたし。
紫のじゅうたんには、黒の紋付もピンクのスーツも映えるらしい。
わざと白のセーラーを着てきた妻の妹は。
太もも丈の黒のストッキングの脚をばたつかせながら。
まくりあげられたスカートから覗く白い太ももを、紫の敷物に映えさせていった。

花を眺める女たち。
華を愉しむ吸血の衆。
そして、散らされる花びらに興じる、その夫や息子たち。
頭のうえを吹きすぎるのは、眠りを誘うほどゆったりとした、春の風―――
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キミ。来月から転勤だよ。^^
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まとめteみた.【山奥の花見】
山奥の村の、そのまたさらに奥は。吸血鬼の棲まう、桃源郷。春ともなると、村よりもさらに一段時期の遅れた桜が、それは見映えよろしく、咲き誇る。彼らに受け入れられた、限られた人たちは。赤、青、緑、紫と。色とりどりの敷物をかついで、花見に訪れる。うららかな好天...
2012-04-25 Wed 06:12:05
まとめwoネタ速suru