淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
あのひと
2012年06月16日(Sat) 06:17:12
一日休んだつぎの日。
出勤したわたしのところにやってきた同僚が、ひそひそ声で話しかける。
―――吸血鬼の訪問を受けたんだって?
よく知ってるね。
―――相手ははす向かいの、セイジさんだろ?
どうして知ってるの?
―――奥さんが血を吸われるところ、ちゃんと見たかい?
見たさ。いやでも。
―――そのあと侵されちゃったんだろう?
・・・。
―――羞ずかしがることはないさ。ここでは名誉なことだとされているんだもの。
いまごろまで、家にいるよ。
―――それはよかった。おめでとう。じつはね、ボクのところも・・・
同僚は言葉を一層ひそめて、こういった。
―――おんなじやつが、うちの女房を食べているんだ。
―――たぶんキミのところと、代わりばんこだろうね。
―――いっぺんに血を吸うと、身体に障るだろうからって、女房のスペアを探していたんだ。
―――そういうわけだから、まぁよろしくね。
・・・・・・。
・・・・・・。
以来、さして仲の良くなかったその彼とは、親しく行き来する間柄になっている。
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- 2012-06-19 Tue 21:52:32
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