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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

ある人妻と家族の記~本人・美智子の場合

2012年07月31日(Tue) 05:59:51

じゃあね。またね。
ああ、また声かけるから。
愛してるわ♪
俺もだよ♪

クサい科白は、はたからきいているといっそう、白々しいものだ。
ホテルから出てきたふたりが別れを惜しむのを、俺はじりじりしながら待ち焦がれた。
女が単独でそのホテルに来たのは、夕刻というにもまだ早い刻限だった。
法事帰りの女は、ブラックフォーマルに身を包んでいたが、
清楚な装いに隠された肢体は豊かで、そして淫らな血潮を秘めていた。
足許を蒼白く透きとおらせている墨色のストッキングが、まるで淫売が脚に通す商売道具の網タイツのようにふしだらに、俺の目には映っていた。
男がやはり単独でそのホテルの玄関先に消えたのは、午後六時を回ったころだった。
勤め帰りらしい彼は、ドブネズミ色のスーツを着ていた。
そして、夫を弔うための装いは、男を悦ばすための小道具になり下がった。

たがいに背を向けて足音を遠ざからせていくふたりのうち、俺は女のほうを選んでいた。
なにしろ―――こんかいのていたらくの依頼人は、女のほうだったから。

行く先を遮るように、ぬうっ・・・と現れた俺に、女は「ひっ!」と悲鳴を飲み込んで立ちすくむ。
俺だよ、俺だ。
なにもかもわけ知りなのだ・・・と言いたいのもあからさまに、俺は親しげに女に顔を近寄せた。
あっ、こんばんは。
女はぶきっちょによそよそしく、俺にむかって改まった会釈を返した。
このたびは。
俺がそらぞらしく、悔みをいうと。
どういたしまして。
さっきまで弔問客にそうしていたそのままに、女は儀礼的なお辞儀をしてくれた。
じゃあ、お礼をはずんでもらわなくちゃな。
俺のくだけた言い方に、女は息を呑んで立ちすくむ。

カッカッカッカッ・・・
ヒールが路面に響かせる硬質な足音に、俺は音も立てずに距離を詰めてゆく。
肩ひもを振り回すように提げつづけた黒革のショルダーバッグさえ投げ捨てて、女はその場を逃れようとしたけれど。
投げ捨てたバッグが路面に落ち着くころにはもう、黒の礼服の両肩を、俺に抱きすくめられてしまっていた。
漆黒のワンピースから覗く肩先に飢えた唇をしゃぶりつけると――――
俺はかねての予定通り、深夜の路上を吸血の場に変えていった。

あーっ。あーっ。あぁ~っ。
女は路面を這いずり回って逃れようとしながら、
肩を掴まれては首すじを噛まれ、
脚を掴まれてはふくらはぎを吸われ、
漆黒のワンピースがしとどに濡れそぼるほど、濃いバラ色に染めて。
黒のストッキングを脛が露わになるほど、噛み剥がれて。
低い声でなんども呻きながら、俺に生き血を吸い取られていった。
淫らな女の生き血は、旨い―――
俺は久しぶりにありつく女の生き血に、すこぶる満足を感じていた。

わ、わたくしを殺すとおっしゃるの?
上流夫人らしい女は、それでも礼儀正しい言葉づかいだけは、棄てずにいた。
あっぱれだと感じた俺は、称賛のしるしにもういちど女のうなじを噛んで、
飛び散る血潮の帯をワンピースに横切らせてやった。
淫らな芳香を放つ血潮は、俺を魅了するにじゅうぶんだった。
逆立ったペ〇スを目にした女は、それでもまだ自分のほうにも分があると心得たのだろう。
心にくいほど誘い上手なところを、見せていた。
路上で犯されちゃうのね?こんなの、初めてよ・・・

ワンピースの上半身を持ち主の血潮で彩ってやったのと同じくらい濃く、
下半身は白く濁った粘液で、しとどに濡れそぼっていた。
びゅうびゅうと勢いよくほとび散らせた精液は、女を骨の髄まで、汚し抜いていた。
寝静まった街の路上で、礼服を半裸になるまではぎ取られた女は、
ひーひーとあからさまな随喜の声を響かせて。
視られてたって構わない。もっとしようよ。
イタズラを愉しむ少女のように、白い歯をみせて俺を誘いつづけていた。
女が毒矢のような言葉を放ったのは、そのときだった。

あのひとの奥さんを、襲ってくれない?

あのひと・・・?
訊き返すまでもなかった。
自分の浮気相手の、奥さんのことだった。
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