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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

ある人妻と家族の記~夫である、半吸血鬼ミチオの場合。

2012年07月31日(Tue) 07:00:43

あんたは、ひどい人だ。
歯ぎしりをして悔しそうに俯いているのは、あの女の夫だった。
すでに死んだはずの身―――それが帰宅を妨げているというのは、ミチオ自身の生まじめさのゆえだろう。
わたしは家内を、わたしだけのものにしておきたかった。
だから、わたしの血と引き換えに、家内も連れ去ってくれるよう、あなたに頼んだのだ。
いったいなんのために、こんな境遇に落ちたというのでしょう!?
一人の男としての怒りと悔しさを思い切りよくぶつけてくるミチオに、俺は初めて共感のようなものを感じていた。

あんたはえらいな。いや、冷やかしじゃなくて、そう思うよ。
けれどもあんた、美智子の浮気を止める気は、もうないんだろう?
面と向かって妻の名前を呼び捨てにされる気分は、どんなものだろう?
じぶんの妻の名前をわざと呼び捨てにしたとき、やつはちょっとだけ、頬をこわばらせた。
けれどもやつの言葉の勢いは、留まるところを知らなかった。

いったいどんなふうに、事態を収拾するというんです?
わたしは半吸血鬼になってしまった。家にも帰れない。
妻はあいつの公然たる情婦に堕ちてしまった。
そしてあいつの奥さんは、今や公然とあなたに抱かれている。
こんな関係が、許されるというのですか!?

男がいきり立てばたつほど、俺はのほほんとした顔つきになっていくのを、どうすることもできなかった。
しょうがねぇだろ。なるようになったんだから。
俺がぽつりと本音を漏らすと、男は言いつのった言葉を初めて、つんのめらせていた。
あとは、あんた次第だよ。
とどめを刺すように俺はそういうと、男に冷やかに背を向けていた。

夫を弔う法事の帰り。
妻が自身の清楚な喪服姿を、爛れた情事のるつぼに、ためらいもなく叩き込んでしまうのを。
まるで自分のことなど忘れ果てたような妻が、情夫と手に手を取り合うのを。
それほどに深い関係に堕ちた情夫をもちながら、吸血鬼相手の路上でのセックスに励んでしまうのを。
なにもかも視てしまった。
男はそう、訴えるのだった。
俺は小気味よげにそのありさまを観察して、そして最後につぶやいたのだ。
すべて・・・あんたの思い通りに、収まったんじゃないのかな?
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