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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

来診/往診。

2012年08月24日(Fri) 07:48:58

ピンと伸ばした妻の首すじに、傍らから近寄せられる唇を。
わたしはじいっと、見つめていた。
すでに噛まれてしまった痕が、さっきからジンジンと疼いている。
血潮を引き抜かれていったあの心地よい感覚を、妻も覚え込んでしまったのだろうか?
彼女は蒼白な横顔から表情を消したまま、埋め込まれる牙をそのまま、受け容れていった。

きゅう・・・っ
吸いつけられた唇から、血潮を吸い上げるときの、押し殺すような音が洩れた。
それは何度もしつようにくり返されて、しなやかな三十代の女の肢体から、まだ若さを帯びた血潮を奪い取ってゆく。
きゅうっ。きゅうっ。きゅうっ・・・
横抱きに抱きついてくる吸血鬼に、思うさま生き血をむしり取られていきながら。
妻はさいごまで、無表情だった。

さて、もう少し愉しませていただこうかな?
黒衣の男はにんまりと唇を弛めて、初めて打ち解けた表情になっていた。
わたしがおずおずと、スラックスをたくし上げると。
紳士用の長靴下の、太めのリブのうえから、彼は唇を押し当ててきた。
わざとのように舐りまわす唇の下。
縦にしんなりと流れるように浮き彫りになったリブを、ぐねぐねと折り曲げていって。
さいごにカリリと噛み入れてきた疼痛の周りに、濡れる血潮のなま温かさが滲んできた。

わたしが身体の力を抜いて、ソファに倒れ込むのと。
やつが肌色のストッキングを履いた妻の足許ににじり寄るのとが、いっしょだった。
あなた・・・
さすがに耐えかねたように目で訴える妻に応えるように、わたしは身を起こすと。
どっちの肩を持つのかね?
人のよくない笑みに引き込まれるように、わたしは妻の両膝を、スカートのうえから抑えつけている。
透きとおる薄いナイロン生地ごしに吸いつけられた唇が、妻のふくらはぎをしつようになぞり始めて。
行儀よく脚に通されたストッキングを、くしゃくしゃになるほどいたぶりつづけていった。


ふたりとも、来週また来てください。
まるで医師が来診日を告げるときのような事務的な口調が、密室のなか冷ややかに響き渡った。
妻はやはり表情を消したままこくりと頷いて、わたしもそれに倣うように、ゆっくりと頷いていた。
わたしの足許は、スラックスの陰に隠れていたが。
肌色のストッキングをいいように食い剥かれた妻のふくらはぎは、紺のスカートの下でまる見えになっている。
妻はいつものように、臆面もなく。
ふしだらに堕とされた脚を、帰り道に行き会う人の目線に曝していくのだろう。

なに、いやらしい意図はありません。献血だと思ってください。
ただ、血液が欲しいだけなのですから―――
眼鏡の奥の目を、冷やかすように光らせながら。
夫婦の足許に代わる代わる屈み込んで、必要以上の辱めを加えてゆく。

こんな日常が続いて、もうどれくらいになるのだろう?
奥様の場合、今週は往診もさせてもらいましょうか?
眼鏡の奥の瞳に、冷ややかな輝きを宿しながら。
彼は念を押すように、わたしの顔を覗き込む。
そうですね。ぜひお願いします。
日取りが決まりましたら、お教えしますよ―――

その日妻は、きっといつもより着飾って、往診の医師を迎えるのだろう。
そこで犯されるであろう過ちを、たぶん正常な治療行為として受け止めてしまうであろうわたし―――
妻もまた、「献血ですよ」そういって、ことの本質にあえて触れようとはしないのだろう。
そうしておそらくは、わが身をめぐる血潮で、彼のけしからぬ劣情を、満たしていくのだろう。
脚にまとわれるストッキングに、妖艶な裂け目を滲ませながら・・・
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