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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

録画をまえに ~無罪です。~

2012年09月01日(Sat) 11:20:27

映し出された画面のまえで。
おそろいのセーラー服の少女ふたりは、寄り添うように腰かけていた。
それはあの夏の日に、ふたりを襲った吸血魔の記録―――
白髪交じりの髪を振り立ててつぎつぎと少女を襲う“魔”をまえに、
少女たちはツヤツヤと輝く黒髪をふり乱しながら、欲情に満ちたその唇を、素肌に這わされてゆく・・・

えっ?えっ?若代ちゃんあのときあたしの肩つかまえていたの?
若代のクラスメイトのゆかりは、びっくりして親友の横顔を見つめた。
映し出された画面のなか。
襲いかかってくる吸血鬼を相手に、セーラー服姿のゆかりは、けんめいにいやいやをして、首すじに近寄せられてくる唇から、なんとか逃れようとしていた。
そんなゆかりの抵抗を封じ込めるように、背後から近寄った若代はゆかりの両肩を抑えつけて、おとがいに手をかけると、強引にグイと引き上げたのだ。
あ、あ~っ!
少女の叫びが、画面と本人の唇から同時に洩れて、交錯した。
画面のなかで。そして現実の目のまえで。
少女は首すじを噛まれ、生き血を吸い取られはじめていた。

先に襲われた若代のほうは、すでに吸血鬼にすっかりたぶらかされていて。
―――あたしに彼氏ができたって、だれも信用しないのよ。
吸血鬼とふたりで逢った公園で、白のハイソックが真っ赤に濡れるほど、しつような吸血を許しながら。
―――信じさせてあげてほしいの。
世にも恐ろしいことを、囁いていた。
そうして初めて連れて来られた少女が、若代の親友のゆかりだったのだ。

父親よりも齢が上の吸血鬼に迫られて、ゆかりは厭そうに顔をしかめながら、うら若い血を吸い上げられてゆく。
ゾクゾクするぅ~♪
いつも気丈で強気なはずの若代が、親友の受難のシーンを目のまえに、別人のようにはしゃいでいる。
画面のなかの若代がはしゃぎ、息を詰めて画面を見守るクラスメイトの傍らで、いまの若代もはしゃいでいた。

画面のなかで怯えきっているゆかりの前。
若代はお姉さんぶった優越感を満面に滲ませて。
自分から脚を差し伸べて、白のハイソックスのふくらはぎに、彼の唇を這わされていた。
ねっ、怖くはないでしょ?
どうやらそんなことを、話しかけているらしい。
しぶしぶ頷く親友をまえに、若代はくすぐったそうに笑いこけながら、ハイソックスのふくらはぎをあちこちと、噛ませてしまっている。

手ほどき、してくれてたんだねー。
そうよ、だってゆかりったら、すごく怖がっているんだもの。

ほら、ゆかりのハイソックスも、噛み破られちゃうんだよ。
あたしと一緒・・・
画面のなか、クラスメイトに両肩を抑えつけられたゆかりは、白のハイソックスに覆われたふくらはぎを、かわるがわる噛まれていって。
圧しつけられた唇の下、真っ白な生地にバラ色のシミをしみ込ませていった。
ほら~、見てるだけでもドキドキしちゃうでしょ?
画面に夢中になってしまった若代の傍らで。
じっさいの吸血まで体験させられる羽目になった少女は、もううわの空になって、頷きつづけていた。

若代さんは、有罪?それとも、無罪・・・?
もちろん、無罪です。
ゆかりは無表情でそう答えると。
親友のほうを振り返って、初めて笑った。
きょうのために履いてきた真っ白なハイソックスは、老吸血鬼の腕のなか。
真新しい生地には、早くも卑猥なよだれをしみ込まされて。
脚のラインに沿って流れる太めのリブも、お行儀のわるい性急さでねじ曲げられていった。

無罪です。
無罪です。
無罪だわ。

日を変えて、各々映写室に呼び入れられた少女たちは、
だれもが異口同音に、若代の無罪を主張した。
お気に入りのワンピースを。
真新しい夏用の白のセーラー服を。
露出度満点のピンクのタンクトップを。
吸い取った血潮をぼたぼたとほとび散らされて、汚されていった少女たち。
ふふ。小気味いいわね。
自分やクラスメイトの受難のシーンに白い歯をみせていた。
画面のなか、吸血鬼に迫られて悲鳴をあげ、泣きじゃくりながら、噛まれていく自分自身のありさまに、無邪気な瞳を輝かせていて。
よそ行きのブラウスやセーラー服の肩先に血が撥ねるたびに、歓声があがった。

お友達を連れてくるわ。
放映がおわると、だれもが席を起つときにそう言い残して・・・そして実際に、同級生や妹を連れて、ふたたび現れるのだった。
あなたも・・・あたしと同じ目に遭うんだよ。
イタズラっぽく笑んだ口許から、白い歯を覗かせながら・・・


あとがき
前作のつづきです。^^

このふたつのお話は、どういうわけか春先に思い浮かびまして。
けれどもあまりにも季節ちがいなので、描きかけで放置してしまっていたのです。
たまたま思い出すことができたので、ちょうどな時期にあっぷすることができました。
よかった♪よかった♪
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