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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

「お嫁に行けなくなる公園」。

2012年09月05日(Wed) 06:47:07

「お嫁に行けなくなる公園」。
公式にはふつうに、〇〇公園と呼ばれているその公園は、
僕の棲んでいるこの街の、ほぼど真ん中に位置していて。
昼間は豊かすぎるほど奥深い木立ちのために、市民の憩いの場として親しまれている。

上級生の女子生徒たちが、まことしやかに、男の子たちの耳に入れまいとして。
ひそひそ声で語りつづける、「お嫁に行けなくなる公園」。
そこには、街に棲みつく吸血鬼が、夜眠れなくなるとたむろすると言われていて。
それだのに、彼女たちのいくたりかは、そんな危険きわまりない公園で、深夜の散策を愉しんだりしている。
もちろん彼女たちは、納得ずく。
時にはセーラー服で、出かけて行って。
ほんのご愛嬌の悪戯か、ちょっとキケンな火遊びのスリルを経験するために。
吸血鬼に血を吸われる女学生を、自演してしまったりしているのだった。

この公園のうわさを、ひそひそ声で囁き合うのは。
なにも、女の子に限ったことではないらしい。
さいきんでは、ませてきた周囲の同級生の男子までもが、この公園の名前を口にする。
秋に結婚の決まった兄さんは、未来の花嫁の恵美さんをこの公園で食われちゃった・・・とうそぶいている。
照れくさそうに、それもちょっぴり、自慢げに。
彼女のできた悪友のMも、どうしても真夜中のお散歩を愉しみたいという彼女のおねだりに根負けをして。
いっしょに出歩いて、ふたりながら噛まれたと。
ユニフォームのストッキングをずり降ろして、ふくらはぎの咬み痕を見せてくれた。
彼女がおなじようにして、通学用のハイソックスを真っ赤にしてしまった・・・ということは、容易に想像できたけど。
さすがにそこまでは、語ってくれなかった。

僕の将来の結婚相手のみどりさんも。
公園の散策を経験してしまっている。
お母さんに連れられた、法事の帰り道。
進学塾の帰りに、ぐうぜんのように行き会った彼女は、
「視て」というように、自分の足許に目線をおろす。
みどりさんの履いていた白無地のハイソックスには、ところどころ血が撥ねていて。
黙ってそれを脱ぎ捨てて、僕のまえにぶら下げる華奢な手つきから、
僕は震える手つきで、それを受け取ってしまっていた。

さいきんは、母さんまでもが・・・
「お嫁に行けなくなる公園」って、知っている?
母さんもそこで、初体験済ませたのよ。
そんなことを誇らしげに、囁きかけてきた。

お前、そんなことを聞かされたのか?
びっくりして顔をあげた兄さんは。
ぜったい言うなよ・・と口止めしたうえで、こう囁いた。
それ聞いた翌週に、恵美は血を吸われるだけじゃ、なくなったんだ。

翌週が・・・怖い。
けれども、どうしてだろうか?
とても・・・愉しみにしている僕がいる。
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