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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

婚礼前の儀式 2

2012年09月12日(Wed) 08:12:48

広い日本間の真ん中で。
わたしは荒縄で、五体をぐるぐる巻きにされて、転がされていた。
スーツのうえから、縄を巻いたのは。
これから、ひろ子を犯すと、定まった相手―――
処女喪失の営みは、花婿ならぬものに、ゆだねられることになったのだ。

縛られたわたしを挟んで、感情を消した白面で正座しているのは。
彼女の両親と、わたしの親たち―――
介添え役の村人数人も、ふた組の夫婦を挟むようにして、やはり無表情のまま胡坐をかいている。
正装した親たちとは対照的に、彼らのなりは粗末な野良着だった。


おもしろそうじゃない。

ひろ子をこの村に呼び寄せて。
ひなびた目抜き通りにただ一軒ある旅館に、彼女を泊めた晩―――
さすがに今夜は、家に帰るよ。
わたしがそう言って、帰りかけると。
あら・・・
長いまつ毛が、ふしんそうに影をひそめた。
なにも告げずに帰る・・・という選択肢もあったのに。
小首をかしげて視線を送ってくる面差しに、すべてを告げる気になっていた。


いまとなっては、なにをどう伝えたものか、言葉の端々などは記憶にもない。
とても彼女に直接訊きただす勇気など、いまでもないけれど。
村人経由で耳にしたところによると、
言葉を選んだつもりが却って、露骨に棘刺す表現になっていたという。
けれども彼女は、表情ひとつ変えないで。

聞かせてもらって、よかったわ。

いつになく正座して、神妙な面持ちですべてを聞いた後。
真顔になって、そういった。

面白そうじゃない。

そういって白い歯を覗かせた彼女の、朱の唇と白目とが。
気のせいか、淫蕩に輝いたような気がした。


間違いなく、生娘なのじゃな?
村の長老と呼ばれるその年配男は、ひろ子のおとがいをむぞうさに掴まえて、
丸ぽちゃの白い貌(かお)がよく見えるよう、荒々しくグイと仰のけた。
ひろ子は臆するふうもなく、男をまともに見返していた。
表情の消えた白い目に、男は満足げに頷くと。
天晴れなおなごを、嫁にするのう。
目じりに浮かべた好色そうな皺が、親しげに弛んでいた。

儀式は今夜の十時から。
場所は宿のあるじが案内してくれる。
親どもにはあんたから、そう伝えておいてくれ。

男はぞんざいに、そういうと。
わたしたち二人をまえに、そっけなく背中を向けて。
旅館の土間を大またにまたいで、立ち去って行った。



択ばれた場所は、村はずれの大きな寺だった。
祝言のさいも、ここが使われるという。
ぴかぴかに磨かれた濃い色の板の間に。
白のストッキングを穿いたひろ子のつま先が、寒々と映えた。
後ろにつづく母親たちは、それぞれの夫に伴われて。
彼女の母親は、肌色の。
わたしの母は、黒の。
薄い沓下に奥ゆかしく染めたふくらはぎを、しずしずと歩ませつづけていた。
老化に面した部屋々々から、好色な視線がそそがれると知りながら。
時おり露骨な気配に左右を振り返り、眉を顰めながらも。
無言であとを、尾(つ)いてくる。


幾久しく。
いくひさしく・・・

比較的ましな野良着に身を包んでいるのは、村の助役。
いつも仕事で親しくしている間柄だった。
助役が棒読みで、言葉を発すると。
ひろ子はかねて教えられたように、助役の言うがままに復唱をする。

夫婦の交わりを結ぶがために
めおとのまじわりを、むすぶがために

まず村の長老のお方の前に
まずむらのちょうろうの、おかたをまえに・・・

わが身をためらわず、開いてみせて
ががみをためらわず、ひらいてみせて

花婿となる、タカシさんのおん前にて
はなむことなる・・・

さすがにわたしの名前が出たときに、彼女はちょっとのあいだ、ためらったけれど。
凛とした透りのよい声が。
「たかしさん」のくだりを、はっきりとした声色で通り過ぎた。

逞しき男の肉を、お尻の穴に埋もれさせて
たくましきおとこのにくを、おしりのあなにうずもれさせて。

おごそかな顔つきの、両家の親たちをまえに。
経文でも祝詞でもない、卑猥な言葉を、どこまでも延々と綴らされたあと。
彼女は正座していた両膝を、わずかにずらせて、わたしのほうを振り向くと。
初めて、恋人の顔に戻っていた。

「タカシさん、ごめんなさいね」

感情の込められた低い声色で謝罪を口にすると。
ふふっ。
かすかによぎらせた微笑が、口許から白い歯を覗かせた。
今夜の儀式を告げたときとおなじ、淫蕩な色を。
朱の唇と、白い眼とによぎらせて。

相手の男の言いぐさは、もっと露骨でぞんざいだった。

「じゃあ、花嫁さんをいただくぜ。たっぷり狂わせてやっからよ」

周囲の空気がくすぐったそうに揺らぎ、村人たちはいちように、面をほころばせていた。
なれなれしく腰に腕を回された、ピンクのスーツ姿が。
淡々とした歩みを、閉ざされたふすまの向こうへと消えた。
ふすまのあいだからわずかに覗いたのは、彼女の新床にはふさわしくない、古びたせんべいぶとんだった。


あっ・・・・あっ・・・うっ・・・あうっ・・・

悲痛なうめき声が洩れるなか。
両親も村人たちも、わたしを覗くだれもが、感情を消したまま端座して。
花嫁のあられもない声に、聞き入っている。

いまごろなにを、されているのだ?
純白のブラウスの、あの百合のように清楚なリボンを、荒々しくほどかれて。
すその広がったピンクのフレアスカートのなか、節くれだった指を突っ込まれて。
白のパンストに、ふしだらな皺をよじらせながら。
あの栗色の長い髪を、ユサユサと揺らしながら。
ひそめた長いまつ毛を濡らす潤いは、涙?それとも、随喜の熱情?
ブラウスごと揉みくちゃにされてゆく、豊かなバストは。
ほんらいはわたしが、獲るはずだったもの。
わたしはどうして・・・こんなところで縛られて・・・
親たちに見つめられながら、嫉妬に身を折っているのだろう?

ああ―――ッ!
魂切るような絶叫が、ふすまの向こうから響き渡ると。
村人どもはいちように、黒やごま塩の頭を揺らがせて。
「おめでとうございまする」
親たちに対して、慇懃、丁重に最敬礼をした。

いえ、いえ。どういたしまして。

穏やかな声色で応えたのは、彼女の父親。
このたびは娘ひろ子が、けっこうなご指導を賜り、親として篤く御礼もうしあげます。

あなた。
わたしの父は、母に背広の袖を引っ張られて。
おくれまいとして、あとをつづける。

今夜の記憶は、当家の誉として、永く記憶することになるでしょう。

父のほうは多少声を上ずらせていて、渡された紙切れの棒読みになっていた。


先々週。
村人たちの魔手が、母の身に迫った夜。

あなたがそこまでの覚悟なら、母さん協力しますよ。

母は気丈にも、ほほ笑んで。
縛られた父が顔をこわばらせるまえで、自分からブラウスのボタンをはずしていった。

社会的に高い地位を得ていた父は、その晩の出来事をなかったものと見なして、
だれにも訴えず、ただ理性を喪っていたのだ・・・と、
ぶきっちょに位置づけるつもりらしい。

先週。
すべてを打ち明けられた、ひろ子の母親は。

あらぁ。娘がきれいなのは、わたくしのせいだろう?ですって。

夫のまえで村人に迫られながら、照れ笑いさえ浮かべて。
花柄のワンピースのすそを、古びたたたみのうえに乱していった。

「娘を抱きたいのだろう?それならば奥さんに、いうことをきいてもらうぞ」

弱みを握られた彼女の夫は、さすがに顔をこわばらせながら。
幾人も折り重なってくる村人どもを相手に、妻が気丈に相手を続ける有様を。
ただ目を血走らせて、見続けていたという。

翌晩のこと。
娘の不始末を詫びるおしるしに・・・と、わたしのまえで身を開いた彼女は。
白い目と朱の唇に、娘と生き写しの淫蕩さを、ありありと滲ませていた。


たしかに、生娘じゃった。

いまひろ子を犯したばかりの長老は。
あとを別の村人どもに譲り渡すと。
縛られて転がされたままのわたしの傍らに、胡坐をかいた。
まるで世間話でもするように、言ったのだった。

さすがに都会のおなごは、ええ身体しておるの。
母ご譲りの床上手になるじゃろうよ。
あすの祝言は、派手になるのう。

ひろ子の純潔を首尾よく奪い取った村の長老は。
嫉妬に身体をほてらせたわたしのことを、うちわでゆうゆうと仰ぎながら。
まるで明日の陽気でも話題にするように。
わたしに親しげに語るのだった。


親たちまでもが、村人どもに迫られて。
縛られる夫に、侵される妻。
そんな淫らな絵巻物を、わたしのまえに見せつける。

この世の終わりのようなお顔を、なさいますな。
これこそ、この世の極楽というものじゃろうて。

きっと・・・男の言う通りなのだろう。
こらえかねた股間の疼きは、どろどろと濁った白い液体になって。
自由を奪われた太ももを、じわりじわりと濡らしていった。

ひろ子はふとんの上、剥ぎ取られた衣装をまだ半ばは身に着けたまま。
わたしのまえで誇るように、息遣い荒くのしかかってくる男どもを相手に。
目にも眩しい白い肢体を、惜しげもなく拡げていったのだった。
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