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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

クラス委員の同級生。

2012年09月23日(Sun) 06:55:15

相川さん。青沼さん。市田さん。岩橋さん。有働さん。
出席番号の1番から5番のひとは、放課後職員室に来てください。

ホームルームのおわりぎわ。
表情を消した四十代のオールドミスの担任が、事務的な口調でそう告げると。
廊下に面した一列の子たちは、顔を見合わせて肩をすくめ合っていた。

有働ユリは、正確には出席番号6番である。
先月出席番号5番の鵜飼美恵子が、来校した吸血鬼を相手に処女を喪失すると、
美恵子の出席番号は抹消され、ユリが自動的に出席番号5番に繰り上がったのだ。
生徒手帳をぱらぱらとめくって、校則をもう一度読み直す。

本校の学生は、来校してくる賓客に対して、血液を提供する義務を持つ。
賓客には礼儀正しく接し、本校の品位を貶めないように努めること。

ヘンな校則!
そう口に出して言い切れるのは、だれもがその校則を真面目に順守しているからでもあった。


セーラー服の胸リボンを揺らしながら、五人の少女は職員室に向けて廊下を歩く。
彼女たちの足許はいずれも、黒のストッキングに包まれていた。
濃淡取り交ぜた墨色の脚たちは、肉づきたっぷりだったり、発育未了だったり、すらりとしていたり。
それぞれ違う趣きを漂わせているのだが、むろん彼女たちはそんな自覚は持っていない。
真面目な彼女たちのなかでは、これから喪われる血の量で、放課後の活動が制約されてしまうということだけが、意識にあった。

ねえ、あたしたちも処女を喪失すると、美恵子みたいに出席番号抹消されちゃうのかなあ。

血液提供に熱心過ぎて処女を喪失した女子生徒は、席も窓際のほうへと移されていた。
クラス替えになってから二学期のいまになるまでに、そうした子がすでに五人、席替えをしている。
そうね。さいごに一巡すると、席が元に戻るんですって。
岩橋香苗がそういって、露骨な事実をことさら明るい口調で告げていた。
「一巡する」ということは・・・
三学期がおわるまでに、すべての生徒が処女を汚される・・・ということにほかならないのだ。
お嫁に行けなくなっちゃうよ~。
だれかがおどけて、そう応えると。
しっ。そろそろ職員室ですよ。
クラス委員の市田貴子が、一同の浮きたった雰囲気を制していた。

みなさんいろいろご事情はおありだと思いますが、
さいごまで当学園の品位をそこなわないよう振る舞いましょうね?

整った控えめな目鼻立ちに知性と気品を滲ませて、貴子はクラスメイトたちを顧みて、
彼女たちもツヤツヤとした黒髪を揺らして、うなずき合っていた。


2年A組、市田貴子ほか四名、入ります。
みんなの先頭に立った少女の声には、まるで軍隊のような凛々しさがあった。
はい、どうぞ。
さっき無表情に「血を吸われにいらっしゃい」という意味の宣告をした女教諭の声が、扉の向こうから応えた。
職員室に入ると、彼女たちはそのまま、職員室のなかにだけ扉のある部屋に通された。
五人お揃いの制服姿を並べてその部屋に入ると、彼女たちと同数の賓客たちが、いっせいに視線をそそいでくる。
女子学生たちは黒髪の頭を垂れて、礼儀正しく挨拶をすると。
彼らのほうからも、ばらばらな会釈が帰ってきた。

いいわね?
市田貴子がクラスメイトたちをふり返ると。
彼女たちもいちように、唇を引き結んで頷き返す。
貴子は濃紺のプリーツスカートのまえに手を重ね、改まった口調で言った。

さいしょにわたくしが、クラス委員としてお手本を務めさせていただきます。

おぉ。
少女の潔さに対する無言の称賛が、小部屋に満ちた。
ほんとうは出席番号1番の相川尚子が務める役なのだが、
極度にあがり性の尚子の代役を貴子がさりげなく引き受けていた。
部屋の向こう半分は、一段高い畳になっている。
革靴を脱いだ貴子のつま先が、畳になまめかしく映えた。

ひとりひとり、名前を呼ばれて。
自分の名前を呼んだ賓客のまえ、礼儀正しく一礼して。
革靴を脱いで、畳のうえにあがってゆく。
そうして思い思いにのしかかってくる吸血鬼たちのため、
あるものは狙われた首すじにまつわりついたおさげ髪をはねのけてやり、
あるものは牙の切っ先を迫らされた胸元のリボンをほどいてやり、
あるものはふくらはぎに這わされた唇が黒のストッキングにヌルヌルとよだれをなすりつけるのを、息を詰めて見守った。

あっ・・・あっ・・・あっ・・・
声の主は、だれだかわからない。
血を抜かれて気を喪っていくまえに。
少女たちは半ば開いた唇から、切なげな声を洩らしてゆく。
なかにはふたたび気がつく前に、女にされてしまう女子生徒もいる。
その事実は、出席番号が抹消されたという表現で、担任の女教諭から告げられるのだ。

貴子はそれらのなかで、気丈にも。
さいごまで意識を喪うまいと、歯を食いしばった。
彼女を組み伏せている相手の吸血鬼は、父親よりも年上の白髪頭をふりたてて。
貴子の顔色を気遣い、手加減をしてくれながらも。
それでも、自分の本能には正直で。
ぬるり・・・ぬるり・・・と、華奢な身体つきから、暖かい血潮を容赦なく、引き抜いていく。

さいごの一人が絶息して、手足をだらりと伸ばしてしまうと。
貴子は何度目か首すじに唇を這わせてくる男を相手に、目を瞑った。
女学生の品位の証しだった黒のストッキングは、ひざ小僧がむき出しになるまで、むざんに噛み剥がれてしまっていた。
  見苦しい・・・ですわよね?
囁きかける少女の声を、吸い取った生き血に和んだ男の声色が包み込んだ。
  なによりの馳走じゃよ。
貴子はそれでも恥じ入るように、ストッキングの裂け目からあらわになった脛の白さに目を落としながら。
  まだ、娘のままでいさせてくださいね。
  処女の生き血をみなさんに、愉しんでいただきたいから・・・
男はククク…と、たちの悪そうな含み笑いをすると。
  娼婦のようなおなごだな。
貴子の意図とは裏腹なことをわざと言いながら。
さいごに唇を、貴子の唇に重ねてくる。
吸い取られたばかりの血潮のほろ苦い芳香が鼻腔に満ちてむせ返る貴子のことを、
かばうように背中を撫でながら、男はもういちど、女の胸元に牙を埋めた。
気絶した少女をねぎらうように、背中を、二の腕を、かばうように撫でさすりながら・・・

学園の放課後は、妖しい欲情に彩られている。
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