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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

献血家族 ~変態でも、生きているほうがずっといいわ。~

2012年10月22日(Mon) 04:46:22

目が覚めたときにはもう、喉がカラカラだった。
刻限はまだ、夜明け前―――
若い生き血を求めて、俺は身を起こしていた。

ここは、人間の棲む街。
人知れず吸血鬼と共存が許されているという、俺たちにとってはオアシスのようなところ。
招待を受けた俺は、ぶらりと紹介者のところを訪れて。
紹介者があてがってくれた宿は、ごくふつうの一般家庭だった。

生き血を求めて家のなかをさ迷った俺は、
二階で寝ている少年の、勉強部屋のまえに立っていた。
いっしょに晩御飯を食べながら、冗談を飛ばし合った快活な少年。
人としての愛着はあったが、喉の渇きには代えられなかった。

ギィ・・・
扉を開く音に、少年は敏感すぎる反応を示した。
「だれ?」
「俺だよ」
あらかじめ正体を知られていることに、かえって気安さを覚えていた。
「あぁ、吸血鬼さん。待っていたんだ」
「え?」
ベッドから起き出してきた少年は、まるで昼間みたいな、濃紺の半ズボンにおなじ色のハイソックス姿。
「待っていたんだよ。今夜は来ないのかと思った」
薄闇に透ける少年の横顔が、ひどく大人びてみえた。
「殺さないって約束してくれる?そうしたら暴れたりしないで、血をあげるよ」
「もちろんだ」
”商談”は、いともかんたんに、まとまった。

ふたたびベッドに戻った少年は、あお向けになって目を瞑る。
俺はその神妙な寝姿に覆いかぶさるようにして、少年の首のつけ根に、唇を吸いつけていた。
柔らかな皮膚を通してドクドクと伝わってくる脈動が、あらぬ欲情をそそる。
しみ込ませるようにして沈めていった牙に、
少年はとっさに仰け反り、「あっ」と声をあげ、そしてすぐに、静かになった。
ちゅ――――――・・・
啜り取ってゆく血潮の若いぬくもりが、干からびきっていた俺の胸の奥を、柔らかく染めた。

「小父さん、エッチだね」
少年は怜悧な上目づかいで、からかうように俺を見ている。
ふくらはぎの噛みごたえがまだ、歯のすき間にありありとのこっている。
濃紺のハイソックスにつけた噛み痕から、白い皮膚が覗いていた。
戯れのさいちゅうにずり落ちかけたもう片方のハイソックスをピンと引き伸ばすと、「こっちも噛んで」
彼はいとも、物分かりが良かった。
真新しい厚手のナイロンの、しっくりとした舌触りが、ひどく心地よかった。



「息子の血は、お口に合いました?」
階下に降りていくと、奥さんは気軽に、声をかけてきた。
まるで、「夕べのお食事お口に合いました?」といっているような、ごくさりげない口調だった。
「お口に合いました」
俺は照れ隠しに、エヘヘ・・・と笑いながら応えた。
奥さんは嬉しそうにうなずいて、「それはなによりでした」。
丁寧なお辞儀が、かえってきた。
どうやら俺の、負けらしい。

数年前までは、都会に住んでいたという。
どうしてこの街に移り住んできたのか。
どんなふうにして、吸血鬼の牙に素肌をなじませていったのか。
だれもが決して、語ろうとしない。
「まぁ、暗い話はよしましょうよ」
やんわりと諭すような口調だった。
「あなたはなにも考えないで、わたしの血を吸って、犯してくださればそれでいいんですよ」
あくまで、さりげない口調だった。

びっくりしたのは、夫婦の寝室にお邪魔した時だった。
気を利かして座をはずそうとしたご主人に、
「あなた、行かないでね。せめてドアから覗いてて頂戴ね」
戸惑いを隠せない男ふたりを見比べながら。
奥さんはゆったりと、ほほ笑んでいる。

スカートの奥は、すでに俺の吐き散らかした粘液で、べとべとになっている。
それでも奥さんは、「もっと・・・もっと・・・」と、せがみつづけた。
「主人のよりも、大きいわあ」
その声色は、じつに満足そうだった。
ドア越しに熱っぽく注がれてくるご主人の視線を、くすぐったそうに受け流しながら。
女はしなをつくって、「もっと」と、せがんでいた。

息子が庭先で、覗いていますのよ。
あなた、あの子に大人の男としての手本を見せてあげて頂戴。
主人は夫の手本を、息子に見せていますのよ。
あの子も・・・嫁を貰ったら、わたしと同じようにご馳走しなくちゃいけないんだから♪
俺の背中に、ゆうゆうと腕(かいな)をまわす奥さんは、軽く息をはずませていた。

ええ、そうなんです。
この街に来てから、わたしたち家族は、作りかえられちゃったんです。
気がついたらもう、変態になってしまいました。
でも・・・変態でも、生きているほうがずっといいわ。
あなたも、生きて。あたしたちも、生きるから。

ご主人は、奥さんの振る舞いにじゅうぶん、満足したらしい。
いつでもまた来てくださいと、言ってくれた。
少年は俺と目が合うと、エヘヘ・・・とイタズラっぽく笑って、
いつでも血を吸いに来てねと、言ってくれた。
俺はまた、来るだろう。
変態として生きようとする彼らのために。そして、俺自身が生きるために。
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