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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

夜道は必ず、懐中電灯をつけて歩くように。

2012年10月24日(Wed) 07:38:47

夜道は必ず、懐中電灯をつけて歩くように。

これは決して、安全のためばかりではなかった。
けれども村人たちは、今夜も灯りを掲げつづける。
その灯を目当てに、血が要りような吸血鬼たちが群がるために。



その少年が通りかかったのは、夕暮れのとばりが下りたころ。
サッカーの練習帰りらしい、白の短パン姿の彼の足許は。
薄灯りの下でも、白のストッキングが眩しく映えていた。
ユニフォームは泥だらけだったけど、この地区の少年たちは皆、帰りには真新しいストッキングを履いて帰ることになっていた。

あっ、吸血鬼だなっ!?
少年は声をあげ、自転車をとめる。
けれどもそこで予想されるような抵抗や揉み合いは、ついに実行されない。
わかったよ。血を吸いなよ。
もの分かりよく自転車を降りた彼は、正面と背後から忍び寄る影たちをまえに、観念したように目を瞑る。

あっ!痛てえっ!もっと手加減しろよなっ。
少年は非難をしたけれど。
それに応えるのは、キュウキュウ・・・ちゅうちゅう・・・という、あからさまな吸血の音ばかり。
あー・・・
つぎに洩れた声色は、どこか弛緩していて。
少年が感じているのが苦痛ばかりではないことを告げている。

もう気が済んだの?まだ足りないんだろ?
ところどころ紅く染まったストッキングを、ひざ小僧まで引き上げながら。
少年はじぶんを襲ったふたりの吸血鬼を、見比べる。
手加減してくれたお礼に、いいこと教えてやるよ。
あと30分、待ってみな。
俺の姉ちゃんが塾帰りに、ここ通るから。
今朝登校してったときには、黒のストッキング履いてたぜ?

ひと言余計よ・・・って、姉ちゃんがしかめ面をするのを予期しながら。
少年は「じゃあねっ」と言い捨てて、勢いよく自転車をこぎ始めた。
白のストッキングのふくらはぎをところどころ染めている紅い斑点が、サドルの両脇で上下をくり返していた。



時折揺らぎながら、ゆっくりと近寄ってくる灯りがひとつ。
それがさっきの少年の姉のものだと、吸血鬼どもは知っている。
ぺろりと舐めた口許には、少年から吸い取ったばかりの血潮が、まだテラテラと光っていた。
自分の体内をめぐる血液を求めて、セーラー服のすき間を侵されようとは、
来週のテストのことで頭がいっぱいの少女は、夢にも思っていない。

「ええーっ!?」
自転車をとめて、少女は叫び、立ちすくむ。
「見逃して・・・もらえるわけ・・・ないですよねっ?」
哀願を交えた問いかけにも、ふたつの影はかぶりを振るばかり。
弟さんがさっき、ここを通っていった。
その言いぐさにすべてを察した少女は、長いおさげをセーラー服の襟の向こうに追いやった。
薄暗いなかでも噛みやすいように、首すじをあらわにするために。

がぶっ。
ぶちり・・・
ひとりは正面から迫って少女のうなじに食いついて。
もうひとりは背後から這い寄って、ふくらはぎに噛みついた。
白のラインが三本走る襟首を、かきのけながら。
揺れるスカートのすそを、かいくぐるようにして。
牙を迫らされた白い膚は、みるもむざんに冒されてゆく。

ちゅうちゅう・・・キュウキュウ・・・
先刻弟を襲ったふた色の吸血の音が、いまセーラー服の少女におおいかぶさる。
ヒルのようにしつように這わされた唇の下。
ばら色のしずくはほとび、襟首を走る白のラインにしみ込んでいって。
黒のストッキングごし刺し込まれた牙に、薄手のナイロン生地は、じりじりと裂け目を拡げていった。

もう気が済んだ?いいこと教えてあげるから。
パート帰りの母さんが、このあと一時間ほどすると、帰ってくるの。
それから30分で、父よ。
父はきっと、母さんが襲われてるところ、見たがるわ。
やっぱ、心配みたいだから・・・
ふたりの血を吸えば、さすがにもう気が済むんじゃない?
きょうもお嫁入りまえの身体を汚さないでくれて、ありがとね。
お礼にまた明日・・・処女の血を愉しませてあげるから♪

おさげ髪をセーラー服の襟に揺らして。
細い肩をリズミカルに上下させながら、
少女は自転車でこぎ去っていった。



カツンカツンと響く、パンプスの足音に。
その背後にちょっと間隔を置いて伝わってくる、革靴の足音に。
ふたりの吸血鬼は顔を見合わせ、にんまりと笑みを交わし合う。

立ちどまったらすぐに、叢のなかに引き入れるだぞ。
だんなは勝手に、あとをついてくるだろうな。
そこで、キヒヒ・・・なに、あちらも心得ているさ。
夫婦で生き血を分け取りか。たまんねぇな。
奥さんは、まわしてもいいって話だぜ?脂の乗り切った、ええ身体しておるそうぢゃ。
だんなもきっと、いつもみたいに悦んで視よるぢゃろ。
ちげぇねぇ。くくくくくく・・・っ。

晩ご飯の食卓には、貧血で顔色の悪い四人が顔見合わせて、
なにごともなかったかのように、いつもの団らんの刻を過ごすのだろう。
勤め帰りを急ぐふたつの足音が、劣情を逆なでさせる男どものすぐ間近に、近寄ってきていた。
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残らず、召しあがっていかれましたわ。

コメント

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by -
2012-10-24 水 15:17:36
編集
>匿名希望さま。^^
芋づる路線は、柏木の好むところでございます。^^

なお、たまーにでもけっこうですので、ナイショじゃないコメをいただけると、さらに嬉しいです。^^
ご無理のないていどで、よろしいですヨ。^^
by 柏木
URL
2012-10-24 水 21:01:22
編集

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