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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

取り持つ男

2012年11月12日(Mon) 04:18:04

吸血鬼が街を、襲いはじめたころ。
むしろ協力者になって、女を取り持つ男がいた。
男は某名門女学校の教諭で、若い女の心当たりには、こと欠かなかったから。

さいしょに襲わせたのは、教え娘とその母親。
誘い込んだ空き教室の窓から。
キャーッ!
ひいいいいッ・・・!
ふた色の叫びがあがるのを、男はくすぐったそうに聞き惚れていた。
扉を開けてなかから出てきた吸血鬼が、ワイシャツのボタンが取れたと愚痴をいうと。
男は器用に、縫い物をはじめている。
―――奥さんが堕ちると、娘のほうは羊みたいにおとなしくなった。
自慢半分の報告を口にしながら。
代わる代わる唇を摺り寄せた首すじの感覚を思い出すように。
吸血鬼は下品な手つきで、自分の唇を撫でていた。

つぎに襲わせたのは、自分の母親。
くうううううう・・・っ。
夫のいなくなったあと独り身を守ってきた初老の婦人までも。
吸血鬼は狂わせて、憚らなかった。
半開きのままのふすまの向こう。
肌色のストッキングを派手に伝線させた脚が、大の字になっているのがこちらからも窺える。
平手打ちを食ったよ。
そう愚痴る吸血鬼に。
わたしも子供のころ、よくやられましたよ。
男はこともなげにそういうと、母を再び女にした相手の頬を、軽くぴんぴんと、引っ叩いた。

まだお前の妻を、襲っていないぞ。
吸血鬼の要求は、端的だった。
さすがに自分の妻となると、躊躇するものらしい。
男はちょっとのあいだ、ためらっていたけれど。
やっぱり相方を、自分の家に引き入れてしまっていた。
あっ!あなたあ―――ッ!
鼓膜をつんざく悲鳴に、さすがに男は耳をふさぐ。
派手に引っ掻かれたぞ。こんど逢うときには、爪を切っておくようにいうんだな。
そう愚痴る吸血鬼の横顔に、男は慣れた手つきで、膏薬を塗ってゆく。
妻が貞節を守るために抗って、相手の男につけた傷を癒すために。

つぎは娘の番ですね・・・?
恐る恐る顔色を窺う男に、吸血鬼が頷くまえに。
娘の介添えは、わたくしがいたします。
夫のまえ、乱れ髪も隠さずにそういったのは、妻のほうだった。
お、お母さまあ―――っ。
自分のことを呼びつづけるまな娘を抑えつけた掌に。
彼女は娘の純潔が喪われるまで、力を込めつづけていた。
夫がするよりも、適切だっただろう。
気絶した娘を介抱する手は、いたわりに満ちていて。
傍らで見守る夫の教え娘が、自分の着ているセーラー服を黙って脱ぎ与えたのを、そっと娘に着せかけていた。
闇夜に下着姿を惜しげもなくさらしながら、夜道の彼方に立ち去った娘の同級生のことは、振り返りもせずに。
自分と同じ道に堕ちたまな娘を、ひしと抱き寄せて涙を流す。
おずおずと近寄る夫に、似たもの夫婦―――と、
投げつけた罵り声は、半分は自分自身にも、向けていた。
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