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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

魔性の少年

2012年12月30日(Sun) 09:08:28

暗くなった公園のベンチに腰かけて、人影がふたつ、恋人同士のように寄り添っている。
影の主は、この間の”解禁日”で馴れ初めたトオルと、四十男の吸血鬼である肥田だった。
トオルは、学校の運動サークルのユニフォーム姿。
もちろん、短パンの下に履いたライン入りの折り返しの入ったリブハイソックスが目当ての肥田のために、家を抜け出してきたのだった。

肥田はいま、独り身だった。
もともとは既婚者として、夫婦でこの街に移り住んできたのだが、
妻を吸血鬼に襲われてしまったのだ。
生命の保証と引き換えに血液を提供する義務を負った妻は、相手の男にぞっこんに惚れ込んでしまっていた。
初めての経験だったのだから、無理はなかった。
吸血鬼もまた、彼の妻に夢中なのを察した肥田は、いっときでいいから奥さんを貸してくれ・・・そうせがまれるままに、いまはやもめ暮らしをしているのだった。
よその街から来たのに、優しいばかりに寂しい暮らしをしている・・・
そんな肥田の身の上に同情したトオルは、”解禁日”に打ち解けて以来しばしばこうして、彼と逢う時間を作っていた。

肥田はさっきから、少年の首すじに唇を圧しつけて、渇いた本能のままに、清冽な血潮をゴクゴクと飲み耽っている。
「ちょっと・・・今夜はしつこいな」
トオルは、気の強そうな頬をプッとふくれさせて、のしかかってくる吸血鬼にちょっとだけ抗った。
その抗いが、新たな欲情を生んだらしい。
男はトオルの首すじから牙を引き抜くと、、こんどは短パンからむき出しになった太ももに、がぶりと食いついていく。
柔らかい筋肉に埋め込まれてくる疼きに、少年はキリキリと奥歯を鳴らして、快感に耐えた。
「待って・・・待ってよ・・・そんなに勢いよく血を吸ったら、ボク死んじゃうよ・・・」
少年の声色は震え、力を喪ってきた。
「これだけは許せ」
肥田はそういうと、鮮やかなブルーのサッカーストッキングのうえから、少年のふくらはぎに唇を這わせてゆく。

なれ初めの時、制服の一部だった紺のハイソックスを、欲情まみれのよだれでしつように濡らしたときとおなじ仕打ちに、少年は妖しい昂ぶりをかんじた。
いちどは引っ込めた脚を、足首を握り締められるままにおずおずと差し伸べて、
ヌラヌラとしみ込まされてくるよだれに、足許をすくめながら応じていって、
しまいにはなん度も、真新しいハイソックスを惜しげもなく、びりびりと噛み破らせて、
若い血潮をどん欲に求める牙を、根元まで埋め込まれてしまったのだった。

ちゅー・・・

静かで重たい響きをたてて吸い取られてゆく血潮が、傷口を通り抜けてゆく感触に、
少年はくすぐったそうに、白い歯を見せていた。


ただいま。
玄関に佇む少年を出迎えたのは、母親の華絵と伯母の紀美子だった。
赤黒いシミをユニフォーム姿のそこかしこに散らした息子の姿に息を呑む母親とは裏腹に、
「あら、あら。がんばったわねえ」
太っちょの伯母はあっけらかんと笑って、若い甥に称賛を投げていた。
まだ乾ききっていない血のりを赤黒く光らせたサッカーストッキングをむぞうさに洗濯機に投げ込むと、
華絵はおずおずと息子に訊いた。
「洗った後は捨てるのね?」
「ううん、小父さんにあげるんだ。・・・欲しがってたから」
答えの内容に含まれた淫靡な意図を、本人は必ずしも理解し切っていなかったが、母親のほうはもちろん、敏感に感じ取っていた。
思わず顔をしかめる華絵に、伯母は開けっ広げに笑った。
「いいじゃないのお。若いうちだけよ、相手にしてもらえるのは」
そうはいいながらこの伯母は、目下失業中の伯父に代わって一家を切り盛りしているのだった。
街に出没する吸血鬼相手の娼婦として。
そうしたビジネスに身を染める主婦たちは意外に多く、隠語で「献血のお仕事」と呼ばれていた。
生命の保証と引き換えに貞操まで要求されるこのアルバイトに、
伯父も薄々はそれと察しながらも、反対しようとはしないらしい。
「理解あるのよ、うちのだんな」
夫の男らしからぬ身の処しかたに、伯母は一定の理解を示しているようだった。
「華絵さんもこんどお招き受けたら、お上手にするといいわよ。愉しんじゃえ愉しんじゃえ」
伯母のあまりの開けっ広げさに、さすがのトオルも決まり悪そうにしていたけれど、
やがて「シャワー浴びてくる」といって、その場を逃れたのだった。


「母さんのよそ行きの服、一着用意してくれない?こんどの木曜、着てくから・・・」
伯母が帰ってしまった後、洗い髪を拭くバスタオルで顔を隠しながら、トオルが言った。
「わかった」
つとめて平静に応えた華絵は、「貴方のたんすのなかに入れておくから」というと、そのまま逃げるようにそそくさと座を起った。

”解禁日”の記憶が生々しく、華絵の脳裏によみがえった。
濃紺の制服の足許に、紺のハイソックスを足首までずり降ろして帰宅した息子。
その後ろには、息子の身体から吸い取った血を口許に散らしたままの男の姿。
ひっ…、と声をあげたときにはもう、すべてが遅かった。
吸血鬼はその家の人間の招きを受けない限り、他人の家にあがり込むことはできないというのに、
息子はいともやすやすと、それをかなえてしまっていたからだ。
通学用のリブハイソックスのふくらはぎに吸いつけられた唇が、
その母親の、肌色のストッキングのふくらはぎの周りを這いまわったのは、そのわずかに数分後のことだった。
しつようないたぶりの末に、やっと解放されたとき―――
華絵は放心状態になって、破けたストッキングを脚にまとったまま、ほかに身にまとうものはなにもなく、
ブラウスもスカートも剥ぎ取られて、
もちろんその下に秘めていたスリップやショーツさえ、裂き捨てられて。
裸体のうえにはたっぷりと、白く濁った粘液をふりかけられた後だった。
「お邪魔しますよ、奥さん・・・」
男はくすぐったそうにそういうと、
まだまっとうな主婦の装いに身を包んでいた華絵のスカートの奥深く侵入を試みて、
結婚十数年にして初めてほかの男を味わう羽目になった貞淑な理性を、こともなげに狂わせたのだ。
あのあと・・・
息子が視ているのもかまわずに、不覚にも乱れてしまった刻一刻。
あのときのことを息子はなにも口にしようとはしないけれど、却ってそうであることで、とろ火に炙られるような責め苦を、彼女は辛辣に味わっていた。


暗くなった公園の街灯の下。
よそ行きに着飾った人影に、飢えた人影がのしかかった。
クリーム色のブラウスに、花柄のスカート。
足許は濡れるような光沢を帯びた、肌色のストッキング。
押し倒された華奢な身体は、フェミニンな装いもろとも草の切れ端と泥にまみれていった。
母さんが、犯される。
母さんが、汚される。
歯を食いしばって吸血に耐えながら、
華絵の身代わりに装ったトオルは、華絵の服もろとも凌辱されてゆくこの行為に、妖しい欲情に眩惑された。
吸い取った血しおを、ぼとぼとと。
ブラウスの胸に、重たい音をたてて、わざとほとばせてくるのを、むしろ愉しげに、受け止めて。
もっと汚して。もっと引き裂いて。
チャッ・・・、チャッ・・・、と、悲鳴のような音をたてながらブラウスを引き裂かれてゆくのを、
共犯者として愉しんでいた。

息子が忌むべき欲望に身をゆだねているころ。
母親はその夫のまえ、三つ指をついていた。
「トオルを迎えに行ってまいります」
「ああ・・・気をつけて・・・」
義姉の紀美子の夫どうよう、夫はすべてを察しているのだろう。
吸血鬼に血液を提供するとき、既婚の婦人はほとんど例外なく犯される・・・というこの街のしきたりを、
夫だけが知らないということは、ないはずだから。


「トオルくん、きみのお母さん、モテモテだよ~♪」
肥田の妻は、派手な真っ赤なワンピース姿で、トオルをベッドに抑えつけていた。
隣室では母の華絵が、肥田の相手をしている最中だった。
母親の血をせがむ吸血鬼の小父さんを宥めるために、身代わりに母親の服を着て相手をしてやったけれど。
けっきょく彼の血だけでは、足りなくって。
見かねた母親が、「代わりに妾(わたし)の血を」と申し出て、ことに及ぶ・・・そんな筋書きだった。
いまごろ隣の部屋で、華絵はスリップ一枚にひん剥かれ、無防備になった貞操を情夫のまえにさらしているに違いない。
「悪い子。お母さんの浮気想像して、勃っちゃったのね?」
肥田の妻は、ほっそりとした指をトオルの股間にさ迷わせ、くすぐるような手つきで若い茎をそばだてた。
「さっ、小母さんにも血を頂戴ね」
つねるような痛みが首のつけ根に走り、トオルはかすかに声をたてた。
吸血鬼のもとから帰宅した肥田の妻は、半吸血鬼になっていた。
小気味よいほどの勢いで吸い出される血潮に、クラクラとした昂ぶりを覚えたトオルは、
すっかり慣れ親しんだ小母さんに、「隣の部屋の様子を視たい」と、おねだりをくり返していた。


「お邪魔いたしました」
じゅうたんの上、三つ指をついて頭を下げる華絵に、
「こちらこそ、お邪魔をいたしました」
肥田が人のわるい笑みで、応えていった。
いっさい、なにも起きなかったていを、取り繕っていた。だれもがすべてを察しているのに。
華絵は此処を訪れたときとはちがうスーツに着替えていて、
すきひとつ見せないキリッとした佇まいで、「なにも起きなかった」ことを強調しているようだった。
息子とふたり、玄関先に立って、黒革のエナメルのハイヒールが、ぴかぴかと硬質な輝きを過ぎらせた。
そのときだった。
無遠慮な手が、華絵の腕をわしづかみにしたのは。

「ちょ・・・ちょっと!息子がおりますのに・・・」
戸惑う華絵はよろけ、かろうじて息子に支えられて、その場に転倒するのを免れた。
けれども息子の腕には、別の意図から力が籠められていた。
「アッ、なにを・・・っ!?」
華絵の両手を後ろ手にねじりあげたトオルは、大人のような薄嗤いを浮かべたまま、
迫ってくる肥田のまえに華絵を立ちすくませていた。
「お行儀のよろしい立ち姿が、なんともそそられるね・・・」
肥田は舌なめずりせんばかりにして、華絵の足許にかがみ込んで。
黒のストッキングに蒼白く透けるふくらはぎを侵すように、唇を這わせてゆく。
肥田の妻は、夫の不埒をとがめるでもなく、むしろ興味津々に、三人の様子を見守った。
場合によっては自分もなかに加わって、華絵の凌辱に手を貸したげなそぶりさえみせている。

「あっ・・・あっ・・・」
そむけたうなじに唇が迫り、むき出された牙が皮膚に埋め込まれる。
息子の肌を幾度も侵した牙が、唇が。
母親の華絵の柔肌にも食い入って、侵蝕してゆく。

「さあ、部屋に戻ろう。母さん」
息子は母親を促すと、ハイヒールの脱げ落ちた黒のストッキングのつま先が、ふたたび敷居をまたいでいた。

「こんどはボク、姉さんの制服を着てみたいんだ。母さんも・・・協力してくれるよね?」
この子が身代わりに着る衣装の持ち主が、どういう運命をたどるのか・・・それを知らない華絵ではなかったはずなのに。
「え・・・ええ・・・」
あいまいに頷く華絵の唇を奪いいたぶりながら。
肥田はトオルのまえ、我が物顔にその母親を抱きすくめる。
「だいじょうぶだよ。この人、結婚前の女の子は、犯したりしないから。犯すのは人妻って、決めてるみたいだから」
暗証するように抑揚のない科白を、愉しげに口にする少年に。
肥田の妻は肩に手を置いていた。
「小母さんにももう少し、血を頂戴ね。それから・・・彼女ができたらぜひ、主人に紹介してあげてね」
「ウン、彼女ができたらやっぱり、小父さんに血を吸ってもらいたいね」
なにもかもを別世界に置き忘れてきたような顔つきで、少年はあっけらかんと笑い、身もだえする母親を縛める手に、いっそう力を込めるのだった。
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