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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

窮余の誠

2013年05月08日(Wed) 06:10:14

~はじめに~
ちょっぴり童話風に、まとめてみました。^^



夜道で吸血鬼が、女学生の御嬢さんとランデブーします。
もとより御嬢さんのほうから望んでそうなったわけではなく、本当に不幸な偶然が重なってこうした不幸が生じたのですが。
いちど出逢ってしまった吸血鬼には、礼儀を尽くして血を吸わせなければばらないというこの街のルールをよく弁えている御嬢さんは、戸惑い、わが身の不幸を嘆きながらも、吸血鬼の意に従うことに同意します。
彼女はちかくの公園に入ると、できるだけ目だたない場所にしつらえられたベンチを選んで腰を下ろし、観念したように目を瞑ります。

吸血鬼は舌なめずりをして、御嬢さんの背後に近寄ります。
「ウフフ。従順なよい娘だ。わしの牙に隠した毒で夢中にさせて、淫らに堕としてやろう」
彼はそんなけしからぬ画策を、御嬢さんに対して抱くのです。
柔らかな白いうなじに、彼の邪悪な牙が食い込むと、御嬢さんは痛そうに顔をしかめます。
ひきつったおとがいの下、乳色の素肌に深紅の血潮が滴りはじめます。

ところが、あにはからんや、吸血鬼があの手この手・・・と御嬢さんをいたぶりにかかり、さんざんに辱しめ、淫らな誘惑に駆りたてるのですが、どういうわけか御嬢さんは、期待するような反応を示しません。
ますます困ったような顔をして、ひたすら申し訳なさそうに身をすくめるばかり。

小父さま、ごめんなさい。
わたくしが居心地よくなるようにって、いろいろしてくださるお気持ちはわかるんですけれど、どういうわけか気分が乗らないの。
遠慮なさらなくてよろしいですから、どうぞ気の済むまで、わたくしの血を吸ってください。
わたくし、我慢して、あなたが終わるのをお待ちしていますから。

そんな情けないお言葉まで、頂戴してしまったのです。


吸血鬼は困り果ててしまいます。
彼の持ち手はすっかり使い果たしてしまい、御嬢さんを淫らな歓びに導くことのできそうな手練手管は、もうこれ以上なにも残されていなかったのです。

彼は初めて、激しい悔恨に襲われます。

ああ、俺はなんということをしてしまったのだろう?
この娘を堕として、ひと晩いけない夜の愉しみを、共にしようと願ったのに。
彼女は真心から俺の献血に応じてくれて、咬まれる苦痛や淫らなあしらいをされる屈辱を、苦痛や屈辱のままに受け止めようとしている・・・

清楚な濃紺の制服姿に装われた彼女は、血の気の失せた蒼白い頬を月の光りに浮き上がらせて、いっそうか細く、頼りなげにうつります。

ああ、俺たちはなんと悲しいカップルなのだろう?
もう長いこと若い娘たちの血を吸って、淫らに堕とすことには長けていたはずなのに、年端もいかぬ小娘をたぶらかすことさえできないなんて・・・

吸血鬼は、御嬢さんへの同情でいっぱいになりました。
不埒な愉しみを獲たいがために近づいたこの男に、彼女は真心をもって接してくれていたからです。

「さ、どうぞ・・・お好きなだけ召し上がれ」
御嬢さんは目にいっぱい涙をためながら、それでもけなげにも無理にほほ笑んでさえみせるのです。
「貴女のために、なにもしてやることはできないのがとても残念だ。せめて心からの敬意をもって、貴女と過ごしたい」
吸血鬼はそう呟くと、御嬢さんの傍らに腰かけて、彼女の肌の冷えが伝わるほどぴったりと身を寄り添わせ、心からのいたわりを込めて抱きしめながら、御嬢さんの首すじを吸ったのです。

ああ・・・

どちらからともなく洩らされたうめき声は、闇の彼方へと溶けていきました。
なんとしたことか、御嬢さんは息をはずませ、初めて夢中になっていたのです。
「小父さま、愉しいですわ。
 ほんとうに、いけないこと、わたくしに対してなさっておいでですけれど・・・
 わたくしの、黒のストッキングを破いて、脚まで咬んでおしまいになりたいのでしょう?
 そうしたいけないこと、肚の底からお望みなのでしょう?
 どうぞ、お好きなようになさってください。
 ストッキングを破かれるのは、辱しめを受けるようで気が進まないのだけど。
 貴男が愉しんでくださるのなら、我慢してあげてもいいわ・・・」
御嬢さんは黒のストッキングになまめかしく染めた脚をすらりと差し伸べると、吸血鬼は彼女の足許に跪くようにしてかがみ込み、彼女の両脚を代わる代わる、吸いはじめました。
いやらしいよだれが薄手のナイロンの生地を淫らに染めるのを、御嬢さんは眉をひそめながらも、むしろ面白そうに見入っていったのです。

窮余の誠、無欲の気遣いが、二人を心から結びつけました。
うふふ・・・ふふふ・・・
セーラー服の肩先に三つ編みのおさげを揺らして、お嬢さんはくすぐったそうに笑います。
気を許し合ったふたりは初めて真心を込めて抱き合って、口づけを交わしました。
まだ口づけを体験したことのない可愛らしい唇に、吸い取った血潮の芳香をよぎらせた唇が、心からのいたわりと気遣いを交し合っていったのです。

薄闇に包まれた人っ子一人いない公園の片隅で。
御嬢さんの愉しげな含み笑いが、いつまでもつづいていくのでした。


あとがき
副題は案外、「正しい男女交際の心得」だったりして。^^
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