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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

闇に響く吸血の音  ~ふたりの少年たちの語らい~

2013年06月18日(Tue) 02:37:42

はじめに。
多少同性愛ちっくな、お話です。


ぅ・・・ぁ・・・
ユウヤはウットリとしながら、自分を組み敷いている相手の意のままになっていた。
相手はユウヤのうなじを噛んで、血を啜り取っているというのに。

Tシャツの胸には、しま模様の柄が消えかかるほど赤黒い血に浸されていて、
少年の頬も、ひどく蒼ざめているというのに。
  吸って・・・もっと吸って・・・
ユウヤはうわ言のように、くり返している。
  ボクの血を、もっと愉しんで・・・キモチいいんだから。
口許には薄っすらと、恵美さえ漂わせながら。

相手は、おなじくらいの年かっこうの少年。
ユウヤの幼馴染だった。
吸血鬼と人間とが共存しているこの街では。
仲良しのふたりのあいだに多かれ少なかれ、こんな運命が待ち受けている。
片方がもう片方を襲うことで、新たな友情を確認し合うのだ。

いつもこんなふうに、父さんや母さんの血も吸っているの?
ユウヤの問いかけに、良太はみじかくこたえた。「ああ、まあね」
凄い・・・ユウヤは目を輝かせた。
ふつうの男の子なら忌まわしいと感じるような、親友と両親の関係に、
むしろ彼はよけいに、親友に対する依存心を高めたらしい。
なにしろ―――威厳たっぷりの父やしつけに厳しいしっかり者の母の血を、夫婦ながら吸っているというのだから。
自分のすべてに等しい存在であるはずの両親を、ふたりながら支配している。
それがえも言われない居心地の良さを、ユウヤにもたらしたようだった。

良太のこたえがやけにあっさりしていたのには、理由があった。
ユウヤの両親をほんとうに支配しているのは、彼自身ではなくて、ほかならぬ彼の父親だったから。
彼はユウヤの両親を、ユウヤが生まれるずっと以前、若夫婦のころから支配していた。
そうした縁で、ユウヤの血を吸うと決めた良太のために、この幼馴染の親たちはすすんで献血に応じたのだった。

  きみはだんだん、咬みかたがじょうずになってくるね。
何度めか、良太がユウヤの太ももを咬んだとき。ユウヤが呟くようにいった。
  そうかい?そんなことないと思うけど・・・
良太にはほんとうに、自覚症状がないらしかった。
  ううん、絶対上手くなってる。
  だってボク、こんなに血を吸われて具合が悪くなっているのに、
  まだきみに血を吸われたがっているんだぜ?
服に撥ねた血を気味悪がりもせずに、ユウヤはTシャツに滲んだ自分の血を指先ですくい取ると、その指先をチュッと吸った。
  美味しいだろう・・・?
  ああ、なんとなくわかるかな。
じっさいユウヤの口に残る血潮は、ほろ苦いばかりで、人間のユウヤにはちょっときつい風味がしたけれど。
―――良太といっしょなら、こんなことだって愉しい。
かれはしんそこ、そう感じているようだった。

  あと、きみに血を吸われていないのは、清美だけなんだね?
ユウヤが自分の妹の名前を口にするときだけは、ちょっとためらいがちになっている。
  うん、清美さんは、きみが手引きしてくれなくっちゃいけないな。
良太はユウヤのそんな態度に気づかないふりをしてこたえた。
  あんまり乱暴に、しないでくれよな。
  俺がきみに、乱暴にしているかね?
  ああ・・・乱暴だね。ショッキングなくらいにね。
瞬間、ふたりの少年は、互いの唇を重ね合い、吸いあっている。

無言のキスの応酬が、しばらくのあいだつづいた。
やがてどちらからともなく唇を離すと、荒くなった息を、無言のまま交し合っていた。
  わかっているよ。きみはボクのことを殺さないし、清美のことも悪くはあしらわないって。
  さきに言っておくけれど。
良太はいった。
  清美を襲うのは、俺じゃない。父さんなんだ。
  え・・・?
訝しげに見あげるユウヤの唇をふたたび吸うと、良太はつづけた。
きみの家族の中で唯一処女の血をもっているのは、清美だけだからね。
ひとの妹をあえて呼び捨てにしながら、良太はなおもユウヤの唇を吸い、また吸った。
吸血のときとおなじくらい、しつような吸いかただった。

  は、は、は・・・
虚ろな嗤いが、闇に響いた。
  きみは俺の恋人なんだ。ゆっくり逢瀬を愉しもうじゃないか・・・
良太はユウヤの肩に、本物の恋人のように腕を回し、自分の腕をユウヤの枕代わりに彼の頭をもたれかけさせると、
まだ咬んでいないほうの首すじに、唇を這わせた。
  咬んで。
ユウヤはためらいもなく、そういった。
返事の代わりに、鈍い疼痛が首のつけ根に食い入ってきた。
なま温かいしぶきがジュウッ・・・と不気味な音を立てて、Tシャツのえり首を濡らした。

自分が虐げられていること。その行為を相手が愉しんでいること。
相手は自分の身体のすべてを知り、気遣いながら、自分のことを侵しつづけていること。
それらのすべてが、ユウヤのなかで快感にすり替わっていた。

  きみの取り分が、減っちゃうね。
  きみは清美と、結婚してくれるんだろう?
  そんなたいせつな相手を、小父さんにあげちゃってもいいの?
ユウヤの言いぐさは、どこまでも良太に対して同情的だった。
良太の言いぐさは、そんなユウヤをぞくり!とさせるほど、刺激的だった。
  ああ。その代り・・・
  俺が処女の生き血を欲しくなったときには、きみの花嫁を襲うから。

良太は謡うように、囁きつづけた。
  自分が侵されることがキモチよくなっちゃったひとはね。
  自分の彼女や嫁さんが、おなじやつに侵されることで、もっとキモチよくなっちゃうんだよ。
  俺の血を全部吸い取って、吸血鬼にしてくれたのは、父さんなんだ。
  母さんは俺の小さいころ、父さんじゃない男のひとに血を吸われて、吸血鬼になったんだ。
  きみならきっと、信じてくれるだろう?
  父さんも俺も、母さんが身もだえしながら血を吸い取られてゆくのをみて、ゾクゾクしていたんだぜ?

ユウヤは重たい眩暈の向こうに良太を見つめながらこたえた。
  わかる、わかるさ・・・
  良太は侵される歓びを知ってしまったから、
  ボクをこんなふうにすることができるんだよね?
  きみがボクの血を吸い尽くさないつもりなら、約束するよ。
  新婚初夜に、ボクの花嫁をよろこんでプレゼントするって・・・ね。

チュウチュウ・・・キュウキュウ・・・
ふざけたような物音はそのあともつづき、二人の少年は組んずほぐれつ、上になり下になりして、戯れ合った。
クスクス・・・けらけら・・・と、時おり洩れてくる声色は、ふたりが愉しんでいることを告げていた。
ふたりが愉しんでいるのが吸血なのか、接吻なのか、それはふたり以外にはうかがい知ることはできなかった。
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