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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

斜めに降り注ぐ夕陽のなかで。 02

2013年06月30日(Sun) 21:24:25

斜めに降りそそぐ夕陽のなか。
あたしは独り佇んで、あの男を待っていた。
そう。人が吸血鬼と呼んで怖れる、あの男を。。。

待ったわよ。帰りが遅くなっちゃうじゃない。
下校途中の女学生になりきって、あたしは口を尖らせた。
すまないね。
男はさほどすまなさそうな顔もせずにあたしに近づいてきて・・・
もう何時間もまえからそうしているんだと言わんばかりに、
あたしのすぐ傍らに佇んでいた。

高台 佇む後ろ姿


ここは海の高台に面した、中学校の跡地。
あたしはこの廃校に通う女学生で、
男は通学途中の女子生徒の生き血を狙って学校にやってきた吸血鬼だった。
あたしの身体には、男の血が流れていたけれど。
男はあたしのことを、装いどおりの女学生として、遇してくれた。
ふたりのまえに広がる海の水面は、夕陽を映して、赤紫に輝いていた。
夕映えを映した彼の頬ぺたに塗りたくられたあたしの血は、そのとき間違いなく、女の子の血の色をしていた。

かちりと鳴らすライターの音に、
タバコは嫌。
あたしがいうと、男はもの分かりよく、ライターを懐中にしまい込んだ。

暗くならないと、姿をみせることができないの?
あたしがそういうと、
そういうわけでもないんだがね。
男の言いぐさは、どこかさびしげで、負け惜しみのような気がした。

ありがたがりなさいよ。
お気に入りのハイソ履いて待っていてあげたんだからね。
あたしは精いっぱい胸を逸らして、男の高い背丈と対峙しようとした。
紺ハイソの足許を、これ見よがしに見せびらかしながら。

ふふふ。弱みを握られたようだな。
男はあっさりと降参して、あたしにベンチに座るようにといった。
ベンチにくつろぐと、あたしは男のために、ハイソを目いっぱい、引っぱり上げていた。
あたしのハイソを咬み破りたいという、不埒な男を愉しませるために。

ハイソ伸ばし


咬んでも、いいよ。
そう言ったあと。あたしはあわてて、言い直した。
お願い、咬んで。あたしのハイソ、咬み破って・・・って。

クククククッ・・・
くぐもった嗤いを、拡がってくる薄闇に陰湿に響かせて、
男はあたしの足許に、かがみ込んできた。

ああ・・・もうダメ・・・っ。
咬み破られちゃう運命に堕ちたハイソは、真新しいやつで、
あたしのふくらはぎの輪郭を、ツヤツヤときわだたせていた。

ちゅう・・・っ。
男の唇が、いやらしい音をたてて、あたしのハイソをよだれで濡らした・・・

限られたお小遣いをはたいて買ったハイソだった。
たった一回履いただけで破らせちゃうのは、もちろん本意ではない。
けれども男は、あたしの足首をハイソのうえからくまなく舐めて、
ふくらはぎの輪郭をなぞるように、じわーっと舐めあげていった。
テクニックだけじゃない。
ハイソ破りなんて気が進まないあたしのことを百も承知で、
その代わり男は、あたしのハイソを目いっぱい、愉しんでいた。
そこまでされたら・・・され甲斐があるかな・・・って、ついほだされちゃうほどに。


手渡された封筒を、あたしは邪慳につき返していた。
そんなつもりじゃないから。
売春や援交しているみたいじゃん。
ほんとの女の子みたいに、蓮っ葉な言い方で。
あたしは、ふくれてみせていた。

そんなつもりじゃないから。
男は口真似のように、あたしの撥ねつけた言葉をおうむ返しに口にすると。
含み笑いを消さずに、囁いた。
その封筒に入っている金を使いきるまで、俺に破ってもらうためのハイソを買い込むんだな。
・・・。
あたしは淫売みたいな胡散くさい顔つきをして、けっきょく封筒を受け取ってしまっていた。


斜めに輝く夕陽の下。
あたしはふたたび、男に逢っていた。
家族の目を盗んで作った、わずかな時間。
仕事帰りの車は、人けのない舗装道路の路傍に、ひっそりと停まっていた。

ほほぅ・・・
男は感心したようにあたしの足許を見おろして、自分の顎を撫でた。
それが上機嫌のときの癖であるのを、あたしはとうに覚えていた。
服を汚したがる俺の趣味を、あんた憶えてくれていたんだな。
あたしの足許は、いつもと違う真っ白なハイソで、覆われていた。

白ハイソ

きょうは、倒れるまでは、吸わないでね。
ここにはベンチ、ないから。
あたしはそういって、男に背を向けると。
目のまえの電信柱を両手で掴まえて、片足で踏ん張った。
さきに咬ませてあげるほうの右足からは、わざと力を抜いていた。

車のなかにしようか?と遠慮する男に、あたしはいった。
見たいんでしょ?ハイソの白い生地に真っ赤なシミが拡がるところ。
車のなかじゃ暗くって、よく見えないわよ。
さっきから。あたしも彼も、気づいている。
あたしの言葉が、心の底から女言葉になっていることを。

やっ!やだっ!痛っ!!ひどいっ。ハイソ汚れちゃうっ!
くすぐったそうな声をはじけさせながら。
あたしは足許に刺し込まれる痛痒い疼きに、胸をズキズキと昂ぶらせていた。

なん回、咬まれたことだろう?
ひとつひとつの刺し傷は浅く、咬まれる度に痕を消していった。
消えない痕は、ハイソの白い生地のうえに、派手なバラ色を、点々と色づけていった。
さいごに、くらあっ・・・とするほど、あたしの血を引き抜くと。
ひざ小僧から力が抜けて、危うくその場にくずおれそうになるあたしのことを、
がっしりとした腕で、支えてくれた。
男はあたしを電信柱にもたれかけさせると。
男はあたしの身体から吸い取った血潮を輝かせたまま、口許をにんまりと弛めて見せた。
美味しかった・・・?
いつかもおなじ問いを、投げたような気がする。
美味しい。
男の応えは、またもや現在形だった。
まだ、吸うの?帰れなくなっちゃうよ・・・
帰れなくてもいいかも?あたしはそんな不吉な衝動を、すぐさま闇の彼方へと追いやった。
ふふ・・・
男は含み笑いを、消していない。
吸うには吸うが・・・
男の息遣いは、かすかな熱気を帯びていた。
かすかだが、ひどくしつような熱さを秘めていた―――
だしぬけに重ねられた唇を。
あたしは唇で受け止めていて。
女と男のする接吻を、交し合っていた。
熱く、激しく、そして際限もなく・・・・・・

夕陽はとっくに、落ちていた。
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