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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

紅白戦の帰り道

2013年07月02日(Tue) 06:33:44

ゴメンッ!いまは見逃してっ!!
立ちはだかった吸血鬼のまえ、ユウタは手を合わせて懇願していた。
そんなことができたのは、彼が顔見知りだったから。
両親とも親しい彼は、もう何か月かまえからユウタの血も吸うようになっていた。

脚フェチなどといういかがわしい言葉を覚えたのは、彼のせいだった。

紺のポロシャツに、真っ白な短パン。
その下からにょっきり伸びた脚をふくらはぎまで覆っている、白いラインの入った濃紺のストッキング。
その濃紺のストッキングに欲情しては、しばしばユウタのことを芝生や畳やベッドのうえに転がして、ひとしきり舐めぬいていくのだから。
脚の輪郭に沿ってゆるやかなカーブを描く太めのリブが、たまらないのだという。
忌々しいことに、リブがぐねぐねによじれるほど舐めた後、牙をぐさりと埋めて赤黒いシミをつけてゆくのも、こいつにとってはこたえられない愉しみらしいのだ。
ほんとうは同じストッキングでも、母さんの履いているもっと薄々のやつとか、同じ濃紺でも、姉さんが通学用に履いているやつとかのほうが、気に入りに違いないはずなのに。
ユウタを襲うときは襲うときで、すごくコアに舐め抜くのは・・・じつは、口で言うほど悪い気はしていない。
彼の足もとに執着してストッキングを舐め抜いてよだれでぐしょぐしょになるまで濡らしたり、がっつりと貧血になるほど血を抜かれるのは、それだけユウタのことが気に入っているという証拠なのだから。
もちろん、こんなことをついでのようにやられたんでは、それこそたまったものではなかったけれど。
けれども今朝は、それどころじゃなかった。

母さんに聞かなかった?
今日はこれから、大事な試合なんだ。
レギュラーを決める、紅白戦。絶対勝たなくっちゃ。
帰りにいつもの公園に、必ず寄るから・・・と言って、彼は連れのアキラを促して、どうやら見逃してくれる気になったらしい彼の脇を、そそくさとすり抜けていった。

約束、守るの?
試合の後、アキラに言われたユウタは、ちょっと考えて、「違う道で帰ろう」と言っていた。
けれども、悪いことはできないものだ。

ご・・・ご・・・ごめんよ・・・っ!
もう、言い訳はきかなかった。
だって、約束を破るのを見越した吸血鬼は、ユウタ達が選んだ道のほうで、待ち受けていたから。

仲直りしよ。お詫びにさ、ストッキング新しいやつに履き替えてやるから。
おずおずと切り出したユウタに、吸血鬼は明かに怒りを納めかけていた。
おっ、それいいアイデアじゃん!
連れのアキラも、うまいタイミングで同調してくれた。
彼らの足許は、きょうの試合の激戦のあとを物語るように、どろどろに汚れていた。
公園の水道の蛇口からほとばしる水を浸した素足が、ひどく気持ちよかった。

買ったばかりの真新しいストッキングのつま先を足の指先に合わせて、グッとかかとまで突っ込んで、それから脛のうえまでぐーんと引っ張りあげる。
ツヤツヤとしたリブが、すんなり伸びた少年たちのふくらはぎの周りで、ゆるやかなカーブを描いた。
吸血鬼がよだれをたらさんばかりにして、その様子に見入っているのが、あからさまなくらいによくわかった。

ちくっ。
あー・・・
先に声をあげたのは、ユウタだった。
かりり。
ウー・・・
巻き添えのアキラも、顔をしかめていた。

吸いつけられた唇の下、ストッキングの生地に赤黒いシミが、じわじわと拡がっていった。
しつように這いまわる唇のあとを、唾液が白い糸を引いて追いかけていった。

アキラのやつ、すっかり誘い上手になっちゃって。
ユニフォームの一部である濃紺のストッキングを嫌々咬ませているように見せかけて、
アキラは悩ましげにかぶりを振りながら、サッカーストッキングの脚を激しくくねらせては、吸血鬼が吸いやすいようにさりげなく脚の向きをやっている。
ストッキングがよじれてずり落ちるたび、ひざ小僧のあたりまで引き伸ばしては、ツヤツヤとしたリブを見せつけて、挑発しているのだ。
咬まれる部位が多い分、アキラの履いているストッキングに撥ねた赤黒の水玉もようは、ユウタのそれよりも多いみたいにみえた。
あーあ、あんなにハデに撥ねかしちゃって・・・小母さんになんて、言い訳するんだろ?
アキラよりも先にさんざん血を抜かれてしまったユウタの身体は、中身が空っぽになったみたいだった。
あー。またまた、がっつり貧血だよ~。
ぶつぶつと恨み言を呟きながら、頭を抱えて芝生の上に寝転がった。

さいしょのころは、ユニフォームの一部を汚されるこの忌まわしい遊戯に、ユウタはあからさまな嫌悪感を覚えていた。
だって、チームメイトを裏切るような気がしたのだから。
ところがその点は、なぜかアキラのほうがわけ知りだった。
ヘイキだって。たいがいのやつが、あいつにストッキング履いた脚咬ませちゃってるらしいから。
へええ・・・驚きに目を見開くユウタのことを、背後から忍び寄った吸血鬼が羽交い絞めにして、飢えた牙を首すじに突き立ててきたものだった。
初めてポロシャツの肩先まで血に浸すはめになったのに、アキラのひと言に自己嫌悪をみごとに拭い去られたユウタは、もっと・・・もっと・・・と、牙のおねだりさえしていたのだった。

草地に顔を半ばまで埋めてアキラが寝入ってしまうと。
吸血鬼はふたたび、ユウタの足許にかがみ込んできた。
獣じみた性急な息遣いが、厚手のナイロン生地ごしにも、熱くおおいかぶさってくる。
あー、まだやるの・・・?
口では嫌がりながらも、ユウタは受け入れる牙のもたらすあの痛痒い疼きを予感して、ふくらはぎをピンと伸ばしている。

きょうの試合に履いたストッキングは、記念に大事にとっておくつもりだった。
だって、手ごわいライバルに勝ってレギュラーの座を射止めた大事な試合に履いたやつだったから。
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