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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

立場を行き来。

2013年07月23日(Tue) 07:17:44

吸血鬼が、おなじ街に棲む一家を狙った。

さいしょに襲ったのは、跡取り息子。
半ズボンに紺のハイソックスの制服に夢中になって。
紺のハイソックスのふくらはぎに噛みついて、
全身の血を、チューッと吸い取ってしまった。

つぎに狙ったのは、奥さん。
息子を弔うために装った、黒の礼服に夢中になって。
脛が透ける黒のストッキングのふくらはぎに噛みついて、
全身の血を、チューッと吸い取ってしまった。

ひつぎ二つを前にして。
お父さんは抗議した。
わたしたち一家は、あなたになんの悪意も持たなかった。
それなのに、どうしてこういうことをするのだろうか?

ごもっとも。

吸血鬼はすこし、反省した。
ひつぎのふたが、開くたび。
彼の競争相手が、増えるだけのことではないか?
吸血鬼は母子の首すじを、代わる代わるチューッとやって。
吸い取った血を半分ずつ、戻してやった。

吸血鬼にされて、わかったことがあるよ。
息子はいった。
喉がすごく、渇くんだ。身体がとても、冷たいんだ。
それで切なくなって、道行く人に声をかけちゃうんだ。
せっかくもとの人間に戻れたのだから。
ボクは彼にお礼をしたいな。

奥さんもいった。
もう、だれかれ見境なく、襲いたくなっちゃうの。
お気づきにならなくて、あなたの血も飲んだのよ。
そういえば・・・さぐった首すじにはふたつ、綺麗な穴ぼこがあいていた。

妻と息子はかわるがわる、吸血鬼に血を与えるようになる。
息子は紺のハイソックスを履いて。
妻は肌の透けるストッキングを穿いて。
長靴下が咬み破られて、ふしだらに破け落ちてゆくのを、
それは面白そうに、見おろしながら。

何かが間違っている。
うなじに傷を抱えた父親は、いいことを思いつく。
そもそも順序が、間違っていたのだ。
妻と息子を呼んでいった。
お前たち、大事な言いつけを忘れていた。
わたしの留守中、吸血鬼が訪ねてきたら。
お前たちの身体をめぐる生き血で、もてなしてあげなさい。
これは家長からの厳命だ。

吸血鬼の日記は、書き換えられた。
息子を狙って血を吸い取って、妻を狙って血を吸い取った。
そう書かれたいたものに、二重線を引いて。
夫君のご厚意のもと、令息と令夫人をご紹介いただき、生き血をプレゼントしていただいた。
おふたかたとも気前よく、生き血を吸い取らせてくださった。
以後は、家族ぐるみの交際を願っている と。


あとがき
ひさびさに描きますと、どうにも調子が出ませんな・・・ (^^ゞ
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