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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

叔父へのプレゼント ~みちるのハイソックス~

2013年11月20日(Wed) 08:00:13

ひどい貧血・・・
みちるは額を抑え、俯きつづけていた。
悲しい、というよりも。苦しい、というよりも。ただひたすら、悔しかった。
身体じゅうの血潮を、男ふたりに舐め尽くされてしまったのだから―――

ごめんよ。だいじょうぶかい・・・?
真沙雄がおずおずと、声をかけてくる。
額を抑えつづける彼女の傍らに、さっきからずうっとひかえていて、
気遣わしそうにじっと、こちらを見守っていた。

少年の、気遣いに満ちた視線を、
少女は、はげしい怒りの視線で、はね返していた。

だいじょうぶなわけ、ないじゃない。
ふたりして血を吸うなんて、ひどい!

腰が抜けるほど血を吸い取られて、へたり込んでしまっているのを感じながら。
無力だとわかり切っている悪罵を投げつけずにはいられなかった。
それくらい彼女は敏感で、生娘らしい潔癖さに満ちていたから。

身体の底が抜けてしまったような無力感を、腰周りにまとわりつかせながら。
少女は訊いた。
いつもこんなふうに、身動きできくなるくらい、女の子の血を吸うの?
二人がかりで、力づくで抑えつけながら・・・

ボク、女の子の血を吸ったの、きみが初めてなんだ。

息を詰めて口ごもりながら漏れた言葉を、少女は確かめるように、なん度も心のなかで反芻する。

母に言いつけてやる。

気の強い潔癖さは、悪罵を投げるのをやめない。

覚悟している。叱られるよね?もっとひどいこと、されちゃうのかな。

少年はそういいながら、外出用のジャケットを手にした。

家まで送るから。ひとりで歩けないだろ?

少女は忌々しそうに少年をにらみ、けれども口を尖らせながら、自分を起たせてくれようとする少年の手を取った。

(似合いの二人だぜ)
優はすこし離れたところから、そんなふたりのやり取りを、横っ面で窺っている。
モノにした少女の―――甥の嫁になるかも知れない生娘の―――柔らかな肢体から吸い取った血潮が。
いま、彼の体内を心地よく駆けめぐっている。
気分まで、若々しくなってきやがる。
少女を支配したはずの自分の猿臂が、少女の血液をめぐらせていて。
ピチピチとした生気に満ちた清冽な血潮が、男を内側から支配しようとしている。
姉さんのときも、こうだったっけ。
遠い昔、畳のうえに抑えつけたセーラー服の襟首をかきのけながらむさぼった血潮の記憶が、
なぜかありありと、いくばくかの哀しさを帯びながら、優の胸を甘苦しく浸した。


「イイエ、どういたしまして」
みちるの母親は、通学用の白いハイソックスを真っ赤に濡らした娘の帰宅を出迎えながら。
精いっぱいの気丈さを取り繕って、紋きりばったな会釈を、真沙雄に向けて返していた。
母鳥が雛をかばうように、傷つけられた娘を訪問者の視界から身をもって遮りながら、
女は心ばかりの怨みを込めて、吸血鬼の少年にばか丁寧な応接を試みた。
「あなたの心臓に杭を打たせていただくか、娘の交際相手としてお迎えしたものか、本人ともよく相談してみますので」
表向きだけは、どこまでも折り目正しい語調だった。
「もう、いいから。そんなに怒んないでも」
娘はぶっきら棒に、母親の庇う手をいかにも鬱陶しげに振り払うような言い方をして、
投げやりな足取りをバスルームのほうへと向けて、二人の前から姿を消した。
「ともかくきょうのところは、お引き取り下さいね」
少年のおどおどとした態度や、もどかしげになにかを言おうとするようすを一切無視して、
母親は娘の後を追って、そそくさと座を起った。

投げられた悪罵をとうぜんのものとして受け止めた少年は、
(つくづくボクも、吸血鬼になってしまったな・・・)
そう思わずには、いられなかった。
ひざ下丈のロングスカートのすそからチラチラと覗く、ねずみ色のストッキングに透きとおった彼女の脛が、ひどくなまめかしく真沙雄の網膜を染めていた。
みちるさんの血が美味だということは・・・
あらぬ想像をたくましくしてしまうところに、真沙雄は吸血鬼としての本性を、自覚せずにはいられなかった。


潔さが、真新しいハイソックスの白さにあらわれていた。
少女はピンと胸を張り、挑戦するように男ふたりと対峙している。

脚、咬まないことにしようか?
優が低い声色で少女を気遣うと。
ううん、いいんです。だれかに視られたからって、べつにかまわないから。
血に飢えた吸血鬼たちの慾情を、そそろうというのか。
白のハイソックスで覆った発育のよいふくらはぎを、むしろ見せびらかすように差し伸べてゆく。
女の子の生き血、欲しいんでしょ?遠慮なさらずにどうぞ。
無邪気に笑んだ唇から歯並びのよい前歯が、ニッとむき出しになった。

さきに手を出したのは、優のほうだった。
じゃあ手始めに・・・そう言いながら、少女の足許ににじり寄って。
革靴の足首をかかえ込むように抑えつけてしまうと。
たっぷりとしたふくらはぎに、にゅるっと舌をなすりつける。
しなやかなナイロン生地の表面に、唾液が粘っこく糸を引いた。
ふたたびふるいつけられた唇は、もっとしつようだった。
脚のラインに沿って整然と流れるリブの縦じまが、ぐねっとねじれた。
「あッ、もう・・・!」
思わず口にした小さな叫び声の下をかいくぐるように。
埋め込まれた二本の牙が、ハイソックスの生地のうえにバラ色のシミを滲ませていった。

行為のあいだ。
真沙雄はずうっと、濃紺のブレザーの両肩を、抱きかかえるようにして、支えていた。
まるで自分自身もが、叔父への献血に励むように。
少女とおなじ向きの視線が、チュウチュウと鳴る吸血の音を洩らす唇の蠢きを、見つめつづけていた。

ずううっと視られながらでも、照れたりしないんですね。
少女はあきれたように、優に言った。
夢中・・・だからね。
相手の唇を濡らした自分の血が、毛深い手の甲に拭われていくのを、少女は平然と見つめている。
あなたは吸わないの?
こいつ、オクテだからな。
ほんとに・・・
みちるはぽっちゃりとした掌で口許を隠して笑った。

ほら、いいのよ。噛んでも。
差し伸べられた無傷なほうの足許に。
少年はそろそろとかがみ込んでいって。
それでも心配らしく、傍らのベンチを指さして、座るようにといった。
いちおう心配してくれてるんだ。ありがと。
少女は遠慮なく、ベンチに腰かけた。
ほら、噛んでよ。叔父さまみたいに、あたしのことを夢中にさせて。

少女はきちんと結わえた胸元のリボンをもてあそびながら、
チクリと刺し込まれてくるほろ苦い疼きを、真正面から受け止めていく。
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