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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

妻を侵されたあくる朝。

2013年12月05日(Thu) 08:05:35

夕べ遅くに、帰宅したとき。
妻の静江はなぜか、いつもPTAに着て行く一張羅のスーツをまだ、身にまとっていた。

おかえりなさい。

いつになくよそよそしくて他人行儀で。疲れ切ったような声色だった。
よく見ると、顔色がひどく、蒼白かった。
娘も息子の真澄も、ひどく白い顔をしていた。
自分のいない自宅でなにが起きたのか。
一瞬にして、悟らざるを得なかった。
妻はまだ、派手に裂け目を拡げて破れ落ちた肌色のストッキングを、まだ身に着けていた。

落ち着かない気分のまま夕食を終え、子供たちも部屋に引き上げてしまうと。
妻は改まった口調で、夫に告げる。

久しぶりに、お目にかかってしまったの。

え・・・?

真澄のお相手の吸血鬼さんって、あのひとのことだったんですよ。

ああ、そういうことか。

長年連れ添うと。相手の言いたいことが、一言半句でわかってしまうものらしい。
そのあとなにが起こったのか・・・そこはもう、訊くのも野暮な話だろう。

これからどうするんだ?

真澄の彼氏になるんですって。
彼氏なんですもの、うちにもきっと、よく見えられますわ。

しぶしぶだったけれど。
口を開かずには、いられなかった。

あいつにも、女子の制服を買ってやらなくちゃならないみたいだな。

そうですね。

妻はまだ、俯いたままだった。

それにあのかた、真澄ばかりがお目当てじゃないんですのよ。

罪悪感とは無縁の居直りが、女の顔に描かれてあった。
どうしても夫としての体面を保ちたいのならば・・・寛大な夫になるしか、手はなさそうだった。

さいしょは自分の彼氏だった。
男は彼に、ストッキング地の長靴下を履くようにねだり、希望通りにすると、ふくらはぎを吸われつづけた。
きっとそのころから。すでに静江のことがお目当てで。
静江が勤めに出るときに履いているストッキングを噛み破る予行演習を、その婚約者の足許で実践していたに違いなかった。
薄手のナイロン生地の擦れる感覚が妙に妖しく、気づいた時にはもう、虜になっていた。
男は彼に、婚約者の純潔までねだり、彼は願いをかなえてやると、約束させられていた。
約束は「させられた」のか。「してしまった」のか。
いまでもそのあたりは、ひどく記憶が妖しかった。

あなたのいらっしゃらない時間に済ませますから・・・
気を使わせてしまうね。
イイエ、わたくしのほうこそ、申し訳ありません。
珠代のこともきっと、犯してしまうんだろうな。
あの子の結婚が決まりでもしたら、きっと・・・

ふふふ。
夫婦どちらからともなく、含み笑いをして。
お互い表情を改めて、身を近寄せあっていく。
嫉妬までもスパイスにする夫婦の夜は、きっととても長いのだろう。
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