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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

ある若手実業家の回想

2014年01月20日(Mon) 23:54:54

顔をあげると、ずり落ちかけたひし形もようのハイソックスの脚が立て膝をしているのが目に入った。
足首には脱がされたショーツがまだからみついていて、
大きく開いた太ももの間には、逞しい筋肉に覆われたむき出しの臀部がのしかかっていて、激しい上下動をまだくり返している。
そのうごきがようやく熄(や)みかけたのを見計らって、俺は自分の相手をつづけていた女体のうえから身を起こした。
腰が浸かりきるほどのめり込んだ女体は、半開きに弛んだ口許から、歯ならびの良い前歯をむき出していた。
あれほどしつように重ね合わせた唇は、鮮やかに刷いた紅が色落ちもせず、女の口許をむごいほど艶めかしく縁どっている。
別人のように弛みきった目鼻立ちから、取引先の社長夫人の秀でた容貌を見いだすのに、すこしばかり時間がかかった。

気がつくと、俺の相棒は、自分の相手の少女をまだ畳に抑えつけた格好のまま、ニヤニヤしながらこっちを窺っている。
「処女だった。ちょっと動きが硬いが、好い身体しているぜ」
やつは自慢げにそううそぶいたが、俺は応えなかった。
少女は真っ赤な顔をして、畳を背にしたままやつのことを睨みつけていたが、喪ってしまった事実を言葉にされたのがこたえたのか、ぐったりとなって身体から力を抜いた。
「交代するかね?」
男の言いなりに、俺は頷くと、初めて女を放した。
俺たちは即座に身体を入れ替わると、俺は娘のほうに、やつは母親のほうへと、やおらのしかかっていった。

気を抜いて寝そべったままの自分のうえにべつの男がのしかかってくるのをみると、少女は声をあげて制止しようとした。
却ってそのしぐさにそそられた俺は、思わず奮起してしまっている。
獣の昂ぶりは、稚さなすぎる肢体を支配することに対するわずかばかりのためらいを、いっともあっけなく吹き飛ばした。
抵抗しようとするか細い腕を力任せにねじ伏せると、はだけた胸にしゃぶりつくように舌をあてがっていった。
やつに穢された素肌はなま温かく、さっきまでの痴情の余韻を含んでいる。
どうせ汚れた身体―――そんな意識が、かけらほど残っていた俺の良心をかき消して、恥知らずに逆立った逸物を、少女の股間にあてがっていった。

人妻が抱ける。うまくすると、母娘丼ができるんだが―――
やつの怜悧な瞳の輝きから逃れることができずに、ついうかうかとやつの持ちかけてきた話にのってみたら。
獲物は・・・俺の取引先の社長の夫人と娘だった。
若いうちから事業なんて始めるものではない・・・と、今ならつくづくそう思える。
組しやすそうな外見に乗せられて、ひとりの取引先に俺が突っ込んだ資金は、致命的なほど巨額だった。
その金をくわえ込んだまま、相手が倒産寸前にまで追い込まれたという事実を聞かされて、俺は思わず頭に血がのぼっていた。
やつがもっともらしいしたり顔をして、俺の傍らに腰かけたのは。
そんな時分のことだった。


さいしょの相手に選ばれたのは、この母娘ではない。
ほかならぬ俺自身の、叔母夫婦だった。
どんなふうに話をつけたのか、やつは叔父をうまいこと言いくるめて、夫婦でホテルに呼び出した。
俺が部屋に入っていったときにはもう、叔父はぐるぐる巻きに縛られていて、恨めしそうな顔をして俺を見あげた。
けれども叔父はどう丸め込まれたものか、抵抗するつもりも、まして、よからぬくわだてに参加した甥のことを怒鳴りつけるでもなく、ただうっそりと憂鬱そうに、黙りこくっているだけだった。
「さきに姦らせてもらったぜ。遅く来たのがいけないんだぞ」
初めてのことにびびった俺が逡巡したことを、やつはさりげなく咎めると、ズボンのチャックを引上げて、自分のいた場所を俺に譲った。
見慣れたよそ行きのスーツを着崩れさせた、半裸の叔母を目にした瞬間―――俺は自分のなかに、悪魔が入り込んだのを感じた。


俺の腕のなか、少女はほとんど抵抗らしい抵抗もせずに、若い肢体をゆだねきっていた。
初めて通り過ぎた嵐のあと、あろうことか初体験の相手とは別の男の相手までさせられて。
ただでさえ弱い彼女の頭脳は、完全に思考停止してしまったようだった。
太ももにぬるぬるとまとわりついた体液は、きっと紅いのだろう・・・そんなことをチラと思いはしたけれど。
俺はあえて少女の下半身を確かめずに、まだ生硬な股間を、むごいほど容赦なく、えぐり続けていった。
冒した回数は、やつより多かったかもしれなかった。
―――悪いが、娘の処女はおれがもらうよ。初体験だと、抵抗されたりとか、いろいろ不都合があるからな。
役得だ、といわんばかりにほくそ笑んだ横っ面に、勝手にしろよとほざいていた俺がいた。
ちょっとだけもったいなかったかな、という想いは、とっくに消えていた。
処女を奪うことには、さすがにしょうしょう、罪悪感めいたものを感じていたのかもしれない。


悲劇の主人公は、先日の叔父と同じくロープでぐるぐる巻きにされていた。
取引先の社長だった。
ふさふさとした白髪に囲われた、不健康に浅黒い頬は、ほとんど蒼白になりかけていたが。
充血した眼は獣のような輝きを秘めていて、汚されてゆく妻や娘に、いっしんに注がれていて。
抗い、戸惑い、やがて堕ちてゆくふたつの女体のあいだを、交互に行き交っていた。
やつは、すんでのこと俺から巻き上げたカネもろともドボンしようとした社長のまえに、茶封筒を突きつけた。
なかには少なからぬ万札が入っているのが、ほかのふたりの男にも、見て取れた。
「要らん!」
社長は目を剥いたが、強い語気を裏切って、目線は弱々しかった。
「服を破ってしまったのでね」
奪った貞操の見返りではない・・・ということを言外に含ませると、男はがっくりと肩を落とした。
女房と娘の身体を借金のかたに奪られた、という感覚だけは、さすがに受け入れがたかったのだろう。

「あくまでフェアな、男女の交際です。奥さんとお嬢さまにはお断りになる権利もありますが、あなたはよもやそんなことを勧めはしないでしょう。当方もそう信じてやまないものです。あなたはわたしどもの特殊な性癖を理解して、寛大に振る舞ってくださった。まったくありがたいことです。病んだ男ふたりを、ご家族ぐるみで救ってくださった。あくまでそういうことです。あなたはご家族が当方と交際するのを快諾された。交際期間は、この男との約束を履行するまで。そういうことですよね?」

立て板に水を流すような、口調だった。
もの慣れた相手にかなわないとみたのか、それとも自分の中になにか別の性癖を覗き見てしまったのか、男は拍子抜けするほどあっさりと、無言の頷きをかえしてきた。
男はズボンを脱がされ、パンツ一枚にされていた。
むき出しの股間に、透明な粘液がほとび散っているのがちらと見えたが、視てはならないものを視てしまったような気がして、わざと見ないふりをした。
ズボンを脱がされた理由を、男はじゅうぶん察知したのだろう。
裂かれたブラウスや精液でまだらもようのシミをつくったスカートは、父親が運転する高級車のおかげで衆目にさらされることはないはずだが、ズボンを台無しにしたらフロントから出ることもままならなかっただろうから。
男は最終的に、金を受け取った。
「全額、妻と娘の服代にする」
とまで、不思議と強い語気で、確約までしていた。

決着がついたのを見届けると、やつは俺のほうに向きなおって、言った。
「つぎは、きみの奥さんの番だね」
まるで、行きつけの飲み屋をもう一軒はしごするような、こともなげな調子だった。
緩慢な仕種で身づくろいを始めた女どものほうには、目もくれていなかった。



忌々しいほどスッキリしてしまった脳裡に、やつの言葉が刻印されるように灼きついていった。
さっきの社長夫婦と同じようにやるから。
自分の奥さんがイクのを見ると、始末に負えなくなるものらしいな。夫という人種は。
もしもどうしても気が進まないのなら・・・そうだな、借金のかたに奥さんに夜伽をさせる。そういうことにしようじゃないか。

俺はやつの車で自宅に乗りつけると、一目散に玄関に向かった。
借金で建てた豪邸のデラックスなたたずまいなど、当然目に入りはしなかった。

妻の美智子は、旧家の令嬢だった。
世間知らずでは人後に落ちないところがあったが、それでも俺の事業の状況が抜き差しならぬものになっていることは知っていたし、事業が破たんした場合、その家族にどういう運命が訪れるのか・・・ということについても、ある程度は覚悟していたようだった。
それでもそれは、あくまで頭のなかでの理解にすぎないのであって、実際そういう境地に陥った場合、どういうことになるのかはきっと、そのころの美智子には実感できてなかったに違いない。
新婚初夜のそのときまで、美智子は男を識らない身体だった。


「あの男と、ホテルまでいっしょに来てくれ。え?俺は部屋には入らない。送り迎えだけだから」
息せき切ってかいつまんだ話を、美智子は驚くべき理解力で洞察した。
俺の顔つきを見てはっと息を呑み、すこしうろたえたような戸惑いを見せ、サッと顔色を蒼ざめさせたが、ほとんど口も利かずに身支度をはじめ、小ぎれいなスーツに身を包むと、俺より先に男の車の後部座席へと乗り込んでいった。
隣に腰かけた俺は、なにも知らないような態度で傍らに座り背すじを伸ばす美智子のいでたちを盗み見て、はっとした。
白いジャケットを羽織ってわからないようにしていたけれど、漆黒のワンピースと黒のストッキングは・・・喪服だった。


ホテルのフロントでチェック・インをして。
そろそろここで・・・という目色をしたやつの顔つきなどまるで無視して。
俺は往生際わるく、部屋の廊下までいっしょだった。
やつはいやな顔ひとつせずに俺の同行を許し、美智子もまた感情を消した顔で、俺とつかず離れずの距離を保っていた。

初体験だと、いろいろ不都合があるからね。

いつかどこかで耳にした記憶のあるやつの囁きが、なぜか耳の奥によみがえった。


部屋に美智子を引き入れると、やつは俺を通せんぼするようにちょっとのあいだ、俺とドアのまえに立ちはだかった。
「紳士協定」
やつがひと言そういうと、俺はなにも言えなくなっていた。
「きみのために」
みじかく言葉を切って、やつはその場にちょっとかがんで、ドアストッパーをかけた。
「気が済んだら、これを外してドアを閉めてくれますね?」


部屋のなか、美智子は神妙に、背もたれのない椅子に腰を掛け、うつむいている。
やつは俺に背を向けて美智子のほうへと歩み寄ると、
背後から両肩を抑えて、おもむろに首すじを吸った。
左右に代わる代わる、熱っぽく重ねられる口づけに、妻は身を固くして、うつむき続けていた。
男はなおも美智子ににじり寄ると、足許にかがみ込んで、黒のストッキングのふくらはぎを吸った。
俺はジリジリしてくるのをこらえかねながら、それでも部屋のなかに踏み込むような無法をしてはいけないのだと、自分に言い聞かせていた。
やつの唇が、にゅるにゅる、にゅるにゅると、清楚な薄墨色に染まった妻のふくらはぎを、撫でつづける。
ヘビの生殺しのようだった。
これと同じ想いを、叔父やあの社長もしたというのか・・・
人妻をふたり、生娘をひとり、やつのために往生させた。
その手助けをした俺が、こんどは自分の妻を狙われる。
因果応報・・・そういわれても、おれはきっと「むごい!」と、自分勝手なことを口にしたに違いない。
そう、俺の美智子は、あの女たちとは、別格なのだ。
けれども、ああ、美智子は諦めきった表情をして、男のなすがまま、ワンピースの襟首をほどかれて、胸元に手を指し入れられてゆく。
ふと振り返った美智子の唇を、やつの唇がとらえた。
偶発的なものではない。お互いの息が合っていないと、ああはうまくいかないだろう。
ふたりは、唇をぶっつけ合うようにして、口づけを交わして・・・深くむさぼり合っていった。

ベッドに投げ込まれた美智子のうえに、やつの身体がなだれこんだのをしおに、俺はドアストッパーを外した。
バタンと音を立てて閉ざされたドアは、もう開かれることはなかった。
視たらきっと、興ざめする。そんな直感が脳裏をかすめた。たぶんその直感は、ただしいものなのだろう。
それでもちょっとのあいだ、俺はドア越しの気配を窺おうとして、硬いスチールドアとにらめっこをしていたが、なんの気配も伝わってこないのがわかると、肩をそびやかして立ち去った。
俺が紹介した三人目の人妻に、やつは大いに満足を覚えるだろう。


一時間の約束が、二時間半にもなっていた。
フロントに控えるホテル従業員たちの怪訝そうな視線を無視して長時間、ホテルのロビーでで待ちかねていた俺は、エレベーターが開くたびに腰を浮かして降りてくる人間を確かめつづけていたが、何十回目かに開扉されたドアの向こうにふたりの姿をみとめて、ほっと安堵を覚えた。
ふたりの距離は、あからさまに縮まっていた。
心細げに佇む美智子のすぐ傍らに、護るように寄り添うやつの姿があった。
小柄な美智子に覆いかぶさるような巨躯は、きっと俺よりも逞しいに違いない。

やつは俺に余裕たっぷりに会釈を投げて来、俺も負けずに余裕をとりつくろって、顔を上向けて応えてやった。
ひと呼吸おくれて、美智子が謝罪するように深々と、俺のまえに頭を垂れた。
頭を垂れなければいけないのは、俺のほうだったかも知れないのに。
「お約束どおり、美智子さんをお返ししますよ。早くうちに帰って、奥さんにおれのことを忘れさせてあげてください」
やつが俺の妻を名前で呼んだのは、この時が初めてだったが。
美智子はそのことにさして違和感も不審感も持たなかったらしく、ひと言「すみませんでした」と、もういちど俺に頭を垂れた。
後ろめたさがつよかったのだろう。いつも控えめな美智子の声は、いっそうくぐもって耳に響いた。
後ろめたい?本来後ろめたいのは、俺のほうのはずなのに。
ではなにがいったい、後ろめたい?もしかしてお前は、俺以外の男に感じてしまったのか?
かたくなに表情を消した横顔からは、なにもうかがい知ることはできなかった。
「ご苦労さま」
どうこたえていいかわからない俺は、ひと言そういうと、「帰ろうか」そう言葉を継いだ。
帰る・・・そうはいっても、ここは自宅から車で30分も離れたところだった。
「行きましょう」
当然のように男の車に乗ろうとする美智子に、逆に促されていた。
先頭に立ったやつの足許を視て、ぎょっとした。
スラックスから覗いた足首が、透けて見える。
やつが穿いていたのは、女もののストッキングだった。
ふと美智子の足許をみると、おなじ色合いのストッキングが、彼女の足許を染めている。
美智子がまとっていた黒のストッキングは、情夫の手で脚から引き抜かれて、情夫のごつごつとした脚を包んでいて。
美智子はそれとおそろいのストッキングで、自身の足許を染めている。
おそろいということなのか。
俺はやつの悪趣味をなじる以前に、妻のストッキングを脚に通しているのを認めることによって、美智子を完全にモノにされてしまったことをいやというほど思い知らされていた。

「ちょっと、見せつけ過ぎたかな?」
後日そんなふうに持ちかけてきたやつに。
「そんなことはない。あれでいいのじゃないか」
俺はそう、応えてやっていた。


車内ではお互い、ほとんど無言だった。
それぞれがそれぞれの胸の奥に抱いた想いを、反芻するのに余念がなかったのだろう。
ものの30分もそうしていたはずなのに、不思議なことに、気詰まりな沈黙では、決してなかった。
遠くからもよく見える俺の家の大造りなたたずまいは、どこか作り物めいて見えた。

車を降りるとき。
やつは後部座席にいる俺を振り返っていった。
「おれとの友情の証しに、きみは自慢の愛妻である美智子さんを、俺にプレゼントしてくれた。もちろん無償でね。おれは美智子さんの身体だけが目的の男だから、きみの家庭を壊すつもりはない。あとはふたりで、うまくやってくれ。交際期間は・・・どうしようか?無期限というのは、虫が良すぎるかな」
「それでもよろしいんじゃないですか?」
俺よりもさきに、美智子が応えていた。
美智子は行きとは違って、帰り道はやつの隣の助手席に腰を下ろしていた。
「そのたびに、俺がお前の間違いを忘れさせてやるよ」
俺はいったい、なにを言っているのだろう?
美智子は俺のほうを振り返ると、いった。
「そうね。早く忘れさせてくださいね」
え?
美智子の顔をもういちど見返すと、口許だけに泛べた含み笑いに、はっとするほどの華やぎがよぎった。
いやな予感がした。


社長の娘の塾は、月、水、金だった。
それ以外の火、木、土には、俺たちが社長宅で、帰りを待っていた。
華やいだワンピースの妻に、制服姿の娘。
そのふたりがふたりながら、凌辱されるありさまに、社長は戸惑い、おろおろとして、さいごに惑溺してしまっていた。
叔父の家でも、おなじことだった。
年齢的に子どものできる危険のないはずの老妻が、ひどく若やいだまなざしを若い情夫たちに注いでいって、スカートの裏側を精液まみれにさせてしまうのを、なんども目の当たりにするうちに。
「すっかり若返ったわね」妻にそうからかわれながらも、叔父は彼女に対する凌辱の儀式への招待を、いちども欠かさずに受けつづけたのだった。


愛煙家だったやつの訪問が、重なると。
どちらの家に満ちるようになった、煙草の芳香が。
我が家にもやはり、満ちるようになっていた。
それはたいがい、俺のいないときに行なわれるようだった。
どんなふうに乱れるのか。どんな声で喘ぐのか。
美智子は俺に、聞かれたくなかったらしい。
それでもおおむねその経緯を承知しているのは。
俺自身がやつに頼み込んで、密会の場を垣間見させてもらっているから。

初体験はいろいろ面倒。

やつにそう言われないようになるには、かなりの忍耐と熟練が必要だったけれど。
興ざめなものにちがいない。そう思い込んでいたその光景は・・・いや、それ以上はもう、なにも言うまい。


数年後。
妻と娘を取り戻すべく奮起した社長は、俺への借財を全額返済した。
それ以前に、俺は資産家だった叔父の援助のおかげで、事業の業績を完全に立て直していた。

正確にいえば、社長の借財は数万円だけ、残されていた。
そのわずかに残った“借財”のため、男は自分の妻と娘とを凌辱されつづけていたし、
それと引き替えに、自身もその儀式に招待される権利を獲得していた。
叔父もまた、迷惑だ迷惑だと愚痴をこぼしながら。
なぜか自分の妻目当てに訪れる獣たちのことを、拒み通すことはなかった。
法事帰りの喪服のまま乱れる妻をまえに、老い先短かい自分の供養はこんなふうにやってほしい・・・などと、言い出す始末だった。
俺の所はもちろん、訪問がもっとも頻繁だった。
美智子は時折、やつの出席する結婚式に妻役として同行して、宿泊するときにはやつの苗字で名前を書き入れるようになっていた。
やがて美智子は、妊娠した。
父親がどちらであるのかは・・・想像に任せたい。
やつは、「きみの場合も娘さんを征服したいね。それにはまず、美智子に娘を生んでもらわなければ」と主張していた。
近親相姦がもとより彼のなかでタブーでないことは、今さら言うまでもないだろう。
「家庭を壊さない」そういったやつの公約は、いまのところまだ守られている。
なにかが造り変えられてしまっている・・・そんな想いが度々よぎりはするのだが。
以前にまして尽くしてくれる妻のお腹には、ふたりの愛の結晶―――ということになっていた―――が、日増しにその存在感を高めてくるのだった。


あとがき
朝ざっと描いたものを見直してからあっぷしたのですが・・・
うーん、いままでになく、ダーク?いまいち? ^^;
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