淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
献血の風景 ~下校のときにつかまえて~
2014年01月30日(Thu) 07:48:41
きゃ~、血を吸うの?
タカシが一定の距離までまっすぐ近寄ってくると、敦美は口許を手でふさいで怯えたふりをした。
悪い。ごめんね。
少年はうっそりと低い声でそういうと、やおら敦美の肩を掴まえて、早くも首すじを吸っている。
あっ、もぉ・・・
いきなり恋人にキスを奪われたみたいに、甘えた声色になって。
敦美はそのまま、同級生の吸血を許していた。
貧血?
うぅん、だいじょうぶ。
敦美が軽くかぶりを振って笑うと、少年はそろそろと身をかがめ、敦美の足許に唇を吸いつけようとする。
きゃっ。ダメだよ~、ハイソックス破かれちゃう~。
声では嫌がりながらも、敦美はまんざらでもなさそうだった。
きょうのハイソックス、履き古しなんだよ~。恥ずかしいなぁ~
履き古しのハイソックスを観察されるのは本心から恥ずかしいらしく、敦美は脚をすくめたままいやいやをくり返す。
履き古しも味があって、なかなかいいよね。
少女との応接に慣れた少年も、いつかからかい口調になっていた。
ハイソックス越しに感じるべろの感触と、じわじわとしみ込んでくる唾液のなま温かさに、少女は潔癖そうに眉をしかめ、それでも少年が自分の脚を吸いやすいようにと、くまなく舐められてしまうまで、脚の角度を変え続けてやっている。
あー、もお・・・
ひときわつよく吸いつけられた唇の下、真っ白なハイソックスに赤いシミが拡がっていった。
頭上から少女の、だれかと話す声がした。
どうやら敦美は、血を吸われながら友だちに携帯をかけているらしい。
ああ、昌枝?いまどこにいるの?よかった、近くだね。
いま血を吸われてるんだ。タカシくんに。
こいつ、きょうは喉渇いてるみたいで、しつこいの。
ごめーん。応援に来て~、
呼ばないで。だれも。
少年は顔をあげて、彼女に訴えた。
えっ、だって・・・血がたくさん欲しいんでしょ?
よかったら、マキと美也子にも声かけてあげるよ。
うぅん・・・
少年はきまり悪げに、かぶりを振った。
きょうは、二人だけでいたいんだけど。
血の気が失せかかった少女の頬に、ほんのりと赤みが戻っていた。
ごめーん、やっぱいいわ。あたしひとりでなんとかするから。
その代わり、あしたのおそうじ当番よろしくねっ。
敦美は携帯を切ると、貧血によろめきながら、傍らのベンチに腰を落ち着けた。
しょうがないなー。もうっ。
表向きふくれながら、恋人の気遣いが嬉しかったのだろう。
隣に腰かけた少年に抱き寄せられるままになって、
さっき咬まれたのとは反対側の首すじに、ヒルのように貪欲な唇を、吸いつけられていった。
はにかみながら。甘えながら・・・
貧血になっちゃうよ・・・って、顔しかめながら。照れながら。
あとがき
描くともなしにキーを叩いていたら、お話ができあがりました。(#^.^#)
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