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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

芋づる?

2014年03月25日(Tue) 07:03:32

小父さんたちが芋づる式に獲物をあさっていくって、本当?

ぼくの身体から吸い取った血で、頬ぺたを真っ赤にしている小父さんのまえ。
開き直った気分になっていたぼくは、臆面もなく訊ねていた。

芋づるしきか・・・ちょっとうれしくない言い方だな。

小父さんはちょっぴり困った顔をして、それでもぼくの質問に、まじめに答えてくれようとした。

きみと先生の関係だって、芋づる式といえるのかどうか・・・

小父さんに振り返られた担任の赤井先生は、ちょっときまり悪そうな顔をして、視線をそらしていった。
「放課後に相談があるから、きみと宝井君は444教室に来てくれる?」
先生の言うとおりにしたら、吸血鬼に襲われちゃっていたからだ。

この学校は、吸血鬼のたまり場だからねえ。

小父さんは気の毒そうな顔をして、ぼくと宝井君とを見比べた。
宝井君はやっぱり気まずそうな顔をして、彼の血を吸い取ったべつの小父さんをまえに、咬まれた首すじをしきりに気にしていた。
ぼくが相手をした小父さんが饒舌なのに対して、あちらの小父さんは無口な人のようで、やっぱりきまり悪そうに、黙りこくっていた。

芋づるっていわれりゃ、たしかにそうなのかな。
ぼくの相手の小父さんが、宝井君の血を吸った小父さんに話しかけた。
どうやらあちらの小父さんのほうが、吸血鬼としては先輩らしい。

きみの友達を吸った小父さんはね、わたしとわたしの家内の血も吸ったんだよ。
それからわたしを、この学校に誘ってくれたんだ。
若い人たちの血はおいしいから、ってね。

ぼくの血、おいしかったですか?

ついまじめな口調で、訊いていた。
言下に肯定の返事が、態度とともにかえってきた。
ちょっぴり誇らしいような、くすぐったいような、奇妙な満足をぼくはおぼえた。

ほんとうは、女子の血のほうが、よかったんじゃないですか?

それはおいおい、いただくのさ。

宝井君の小父さんが、初めて口をひらいてくれた。

たとえば、君たちの彼女とか。

残念でした。ぼく、彼女いません。

ぼくはあっけらかんと、笑った。
ぼくの小父さんも、宝井君たちも、声をあわせて笑った。
四人のあいだではじめて、明るい空気が広がっていた。
担任の赤井先生は、無責任にももう、いつの間にかいなくなっていた。
若い血をまだたっぷりと身体に宿したぼくたちを、飢えた吸血鬼のまえに置き去りにして。

きみは彼女、いるの?

ようやく口の軽くなったらしい宝井君の小父さんが、宝井君に訊いた。

はい、います。同じクラスの子です。

宝井君は悪びれもせず、そう答えた。

よかったなあ。

ぼくの小父さんは本音で、仲間の幸運を祝福した。

えっ、だれなの?

宝井君につきあっている女の子がいるなんて初耳だったぼくは、びっくりして訊いた。

佐野原ナツミだよ。って、クラスで一番気の強い子の名前を、宝井君は口にした。
いきなり血を吸おうとしたら、ひっぱたかれちゃうかも。
宝井君はまじめに、自分の小父さんのことを心配しているようだった。

まあ、おいおいトライするさ。

宝井君の小父さんは、すまないねえ、という顔で自分のパートナーの横顔を窺った。

でも母は、美人ですよ。

宝井君だけが災難に落ちるのは、なんだか気の毒な気がして、ぼくは思わず母のことを口にした。
家族を売るわけじゃない。仲良くなったひとを紹介するだけなんだ。
ぼくは自分に、そう言い聞かせた。

昔はミスコンに出たことも、あるんだって。
いまはちょっと太めだけど・・・でも血がいっぱい摂れれば、小父さん的にはいいんだよね?

もう、自分がなにを言ってんだか、よくわかっていなかった。

でも・・・ミセスの女性の血を吸うと、犯しちゃうんだよね?

恐る恐るぼくが言うと、ぼくの小父さんはぼくの両肩に手を置いて、そんなことは気にかけなくても平気だよ、って言った。
あの小父さんはぼくの女房の血、吸ったんだけどね。
小父さんは低い声でそういうと、陰気に笑った。
でもそんなに、気分のわるいものじゃない。
小父さんの言い草は深くて、ぼくはまだまだ、ついていけそうになかった。

脚も咬みたいんだったよね。

宝井君は、話題を変えたいみたいだった。
そうだったっけ。そうだよね。じゃあぼくたちも、協力しなくちゃ。

ぼくたちは思い思いに椅子に腰かけ、足許をくつろげて、半ズボンの下にはいていた紺のハイソックスをずり降ろしていった。
小父さんはぼくの足許にかがみ込むと、軽くかぶりを振って、ハイソックスきちんと伸ばしてくれる?といった。
え?と小首を傾げるぼくに、咬み破って愉しむから、といって、小父さんはちらりと笑う。
なんだかわかんないけど、まあいいや、と、ぼくは小父さんのために、紺のハイソックスをきちっと引き伸ばしていた。
厚手のナイロン生地ごしに、小父さんの唇が吸いつけられるのを感じながら。
なんとなしのいやらしさが伝わってくるのを、自覚しないわけにはいかなかった。
ハイソックスのうえから吸い付いた小父さんの唇が、なま温かい唾液を、じわりとしみ込ませてきた。

かりり。きゅうっ。

さっきとおなじ経緯で、ぼくたちは肩を並べて、小父さんたちに生き血を吸われた。
さっきとおなじじゃなかったのは、もう追いかけっこも力比べもぬきにして、ハイソックスの脚を素直に並べていることだった。
つのる失血に息をはずませながら、けれどもぼくたちは、小父さんが満足するまで、くり返し咬みついてくる小父さんたちのために、ふくらはぎを吸いやすいようにと、脚のくねらせつづけていた。

ぼーっとなってしまったぼくの耳もとに、小父さんは小声で囁きかけてくる。

ありがとう。こんどはきみの母さん、紹介してくれ。

ウン、よろこんで。いつがいい?

なんならきょう、これからはどうだい?
学校で気分の悪くなった子を送っていくんだ。母さんも、お紅茶の一杯くらい淹れてくれるつもりはあるだろう?

お紅茶にしては、濃すぎるよ。

そういうぼくに、気の利いたことをいうんだねって、小父さんは笑った。
ぼくのかたわらでも、相談はまとまっていくようだった。
彼らはぼくたちのハイソックスを咬み破ったみたいにして、母さんたちの穿いている薄々のストッキングを狙ってるみたいだった。

あのひとたちの穿いてるやつは薄々だから、すぐ破けちゃうよー。

ハイソックスの生地にふたつ並べて綺麗につけられた噛み痕に小指を突っ込みながら、ぼくは小父さんをからかうように、ひとりごちた。

いい眺めだと、思わない?

そういう小父さんに、思わなくもないけど・・・なんて、応えちゃっているぼくがいた。
自分でもびっくりするようなことが次々と、本音の願望になって、ぼくの口から洩れた。

ぼくも女の子の格好をして、血を吸われてみたいな・・・

思わず口にして赤面してしまったそんな願望に、小父さんは真顔で応えてくれた。

それって、べつにヘンなことじゃない。
きみが思っているほど、ヘンなことじゃない。
そうだね、こんど都合してあげよう。
その代わり、きみに服を着られる女のひとには、きちんと挨拶してくれるよね?

頑是ない子供にマナーを教え込む親みたいな顔をして、小父さんはぼくの顔を覗き込んだ

わかってるって。

ちょっぴりうるさそうにそう答えたぼくは、ひそかな予感に胸を震わせた。
服を貸してくれる女の子のなかには、ぼくの彼女になる子がいる―――

思わず黙りこくったぼくの気持ちを見透かすように、小父さんはぼくの肩をぽんと叩いた。

さあ、どっちが芋づるか、わかんなくなってきた。

ぼくは照れ隠しに笑いながら、そうだね、って答えて。
ぼく、まだ平気だよ・・・って、小父さんのためにもういちど、ハイソックスを引っ張り上げていた。
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