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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

母さんの情夫ふたりに、分け取りされる。

2014年04月07日(Mon) 07:15:00

相性がいいんだろうねって、よくいわれる。
たぶんそうなんだろうなって、ぼくもそう思う。
だって、こんなに毎日のように血を吸われながら、ぼくは一日もめげないで、学校に通い続けているのだから。
土日があるだろうって?
たしかに土日は、学校は休みだけれど。
小父さんに誘われない日があったとは、とても思えない。
もちろん小父さんのほうで、手かげんして吸ってくれたことは、多々あったと思うけど。
父さんも母さんも、やっぱり小父さんに誘わていたけれど。
「どうやら若い子がお好みのようだね」って、母さんがいうように。
ぼくが誘われる頻度が、いちばん高かった。
なのに、父さんは貧血で時々欠勤したし、母さんもぐったりとなっちゃって一日部屋から出てこないこともあったけど。
ぼくだけは・・・いつもふつうどおりに学校に行ったり部活を楽しんだりしていたのだ。
「不死身のアキ」なんて呼ばれ始めたのは、このころのことだった。


初めて女の人の服を着た、つぎの日のこと。
ぼくはいつものように、小父さんに呼び出されていた。
「私は、オードブルだね」
小父さんを出迎えた父さんは、珍しく軽口をたたいて小父さんの相手を務めたし、
母さんも迷惑そうに顔をしかめながら、首すじを咬まれていった。
「ちょっとだけ、遠慮しなさい」
父さんが厳粛な顔つきをして、ぼくにこう告げるとき。
なにが起きるのかとうに察しをつけていたぼくは、だまって素直に二階に上がる。
ふたたびリビングに降りてきたとき、夫婦の寝室に通じるふすまが半開きになっていて、
母さんが大の字に仰向けになっているのが、脚だけ見えた。
穿いている肌色のパンストは片方だけ脱がされていて、
もう片方の脚には、派手な伝線が走って、脛がまる見えになっていた。
小父さんは満足そうな顔をして、ぼくの手を引いて家を出る。
意気揚々としている感じが、伝わってきた。
ぼくは母さんを犯した男に連れられて、自分の生き血を吸わせるための小旅行に出発する。

通されたのは、昨日お邪魔した洋館だった。
奥さんは出かけていて、その人のご主人という人が一人でいた。
「お前の血を吸いたいっていうんだ。かまわないだろ?」
そう、ぼくは初めて、小父さん以外の吸血鬼を相手にした。
応接の方法は、慣れたものだった。
あいさつの接吻よろしくぼくの足許にかがみ込んでくるご主人のまえ、紺のハイソックスの脚を差し伸べた。
かすかに滲んだ唾液が、ご主人もまた飢えていることを伝えてきた。
「お好きなだけどうぞ」
いつも小父さんに応えるときに口にする言葉をご主人に投げると、
ご主人はびっくりしたようにぼくを見あげ、小父さんに促されるとさもうれしそうに、ぼくの脚にむしゃぶりついた。
ハイソックスごしに初めて受け入れる牙は、小父さんのそれよりも軽いタッチの咬みだった。

貧血~・・・
額に手を当ててぼくがうわ言みたいに呟くと、ご主人は申し訳なさそうに顔をしかめてみせた。
「あっ、だいじょうぶです。すぐに気を取り直しますから」
ぼくは自分で自分のことをそういうと、えへへ・・・と、笑ってみせた。
安心していいですよ、と伝えたつもりだった。
「痛くなかったかい?」
気遣うご主人に、
「エエ、だいじょうぶです、慣れてますから」
ふつうにそんなことを、こたえていた。
「きみは強いんだね」
「みんなにそういわれます。初めて血を吸われてもう二週間になるのに、皆勤賞なんですよ」
「ご指導がいいからだろうね」
「そうですね。それもあると思います」
ぼくの顔色見ながら、手かげんしてくれますから・・・って、ぼくがいうと、
ご主人は、妻のときもそうなんだよ、って、ぼくに告げた。

いいこと教えてやろうか?
小父さんが人のわるい笑みを泛べた。
こういうときにはたいがい、ろくなことを言わないのだ。
そうとわかっていながら、ぼくは、なあに?って、促していた。
小父さんのいけないはなしは、いつも面白かったから。
ふふふ・・・
小父さんはほくそ笑みながら、こんなことをいった。
このひとはね、あんたの母さんの浮気相手なんだぜ?
え?
小父さんだって、ぼくの母さんのことを抱いているじゃないか。
その一言はあまりにも重大過ぎて、とても口にできなかったけど。
そうなんだね。
ぼくは自分でもびっくりするくらい、淡々と応じていた。
いつからなんですか。
ご主人は申し訳なさそうに、ぼくにこたえた。
小父さんのご紹介でね。つい先週からの仲なんだ。
父さんは、知っているの。
まだだね。たぶん。
そうなんだ。
きみなら、わかってくれるだろうって、小父さんがいうものだから。
ご主人の言い草は、どこか弁解じみえていたけれど。
ふつうなら母親の情夫に感じるはずの反撥とか、嫌悪とか、そうしたものはまったく、感じていなかった。
ご主人もたぶん、自分の奥さんを小父さんに手籠めにされているはずだったから。

犯した女の息子の血は、うまいぞって、そそのかしたんだ。
小父さんがまたも、人のわるいことをいった。
ふうん、そうなんだ。
ぼくは感情を忘れた人みたいに淡々と、小父さんに応じていた。
よかったら、もう少しぼくの血を愉しみませんか?まだ大丈夫だと思うので。
ぼくはご主人に、吸血を促していた。
え?いいの?
ご主人はちょっとびっくりしたようにぼくを見た。
ぼくはゆっくりと、じゅうたんの上に仰向けになった。
ぼくが身体を横たえるのと動きを合わせて、ご主人が上からおおいかぶさってきた。
ちゅうっ・・・
初めて首すじを吸われたとき
ちょっとだけ、どきどきした。
母さんの情夫に、生き血を吸わせる。
その事実に昂奮したのは、偽りのない事実―――
ご主人はぼくの血を飲みふけり、ぼくはそんなご主人のために、ぼくの生き血をめいっぱいご馳走してあげた。


※3月31日ころ構想。
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学校生活のなかでの吸血鬼の風景。
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