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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

二泊三日のフル・コース

2014年06月25日(Wed) 07:38:57

あごひげをピンと逆立てた、その老齢の男は。
野良着のようなざっくばらんな身なりで、早田夫妻のまえに現れた。
この村に早田が赴任してきて、三日目の土曜のことだった。

「奥さんには、フル・コース、体験してもらうえべな」
田舎ことばまる出しの老爺は、人懐こくわらったけれど。
フル・コースの意味をじゅうぶん理解していた夫妻は一瞬息を呑んで、
特に妻の素子は、白い頬を引きつらせた。
「フル・コース」という言葉は。
村じゅうの男と交わりを遂げる。
そう言う意味だと、言い聞かされていたから。

人事課の人間が、表情を消した顔でおごそかに朗読した社則の一説を、早田はいまでも覚えている。
「当事務所は、当社と生産地を結ぶための重要な拠点である。
当事務所に赴任する社員は、夫人の帯同をを必須とし、
地域に密着した経営を実現するべく、当地の住民と家族ぐるみの懇親を深めるよう努められたい。
そのための一手段として、社員の妻は必ず当地の男性と性的関係を結ぶことを義務づけられる」
・・・・・・。
夫人同伴のうえ告げられた条件に、ふたりはこのときも息を呑んだけれど・・・
都会に居られない事情を負った彼らに、選択の余地はなかった。
「身体の浮気はせざるを得ないみたいだけど・・・心の浮気はしませんからね」
気丈にもそう告げた夫人の言葉も、早田にはあまりなぐさめにはならなかった。

「だんなさん、ご自分のこと甲斐性無しだなんて、間違っても思わんことですぞ」
あごひげの老爺は、早田の心のなかを見通したようなことをいった。
「大事なご令室さまを、わしらにくださるんじゃ。そのお志、決して無駄にはなりませんでの」
妻の素子は、この村の長老である老爺の屋敷に三泊する。
そのあいだ、夫である早田の行動は自由である。
自宅から通勤をつづけるもよし。
村にいたたまれないようであれば、都会に残したマンションにひっそりと戻っているもよし。
「屋敷に覗きにこられても、よござんしょ」
老爺は好色そうな頬を、陽気にゆがめた。
「そいから、奥さんの最初の相手は、わしがつとめることになっておるでの。当日はよろしゅう」
あっけにとられた夫婦を背にして、老爺はそそくさと起ちあがった。


当日、早田はいつものように、午前九時に出勤していった。
この事務所では朝が遅く、夕方が早い。
そう言う意味では、非常に安気な職場であった。
妻の素子もはやり、よそ行きのスーツに着替えていて、
感情を消した顔つきで、朝餉の給仕をしてくれた。
「しばらく留守になりますから」といって買い置きをされた食料が、まだ台所のすみに山積みになっている。
整理はわたしがやるから・・・早田は事務的に、そう応じていた。
素子が着ているのは、もうなん年もまえに、娘の小学校の入学式のために買ったスーツだった。
まだ二十代だったときのそのスーツは淡いピンク色で、齢を重ねた素子の輪郭にはあまり、しっくりきていなかった。
なにか言いかけてやめた夫を、素子が促すと、
夫は言いにくそうに、言った。
「そのスーツ、ちょっと派手すぎないか?」
妻もまた、こたえにくそうに、こたえた。
「なるべく若作りして来いって言われたの・・・」
夫は複雑な気分で、妻に背を向けて自宅をあとにした。


無音の三日間が過ぎた。
三日目の夕方、定時の五時に退勤した早田が帰宅すると、素子はすでに先に戻っていた。
すでによそ行きのスーツではなくて、ふだん着ている地味な色合いのワンピース姿だった。
「おかえりなさい」
いつになく深々と、謝罪するようなお辞儀をしたのがとってつけたようだったが、
それ以外はなにも変わりない、ふだんどおりの素子だった。
あるいはそう振舞うように、言い含められてきたのか―――
そう思わせるほど、素子の態度はふだんどおりで、
三泊したもののなにも起らなかったのでは?とさえ思わせるほどだった。

風呂からあがってくつろいだ気分になった早田は、うっかり口をすべらせていた。
「どうだったの?」
「ええ・・・まあ・・・」
ちょっと言いよどんだ素子は、意外な言葉を口にした。
「そこそこ、愉しかったわよ」
え・・・?
ぎくりとする夫の気持ちなど、斟酌なしに。
「お昼前に三人。夕方までに三人。夜通しかけて三人。二泊三日でしたから・・・」
相手をした男の頭数を指折り数える妻の横顔が、どこか自慢げに見える。
「えぇと、全部で24人のかたと関係したわ」
夫を振り向いた素子はその瞬間目を見開くと、襲いかかって来る夫を、意思をなくしたように受け止めていった。


どうですじゃ。
あごひげの老爺がふたたび自宅に現れたのは、その翌日のことだった。
上司に会社を休むように言われた早田は、会社の指示のままに老爺を家にあげていた。
妻を真っ先にモノにしたという、いまわしい男だったが、会社の指示には逆らえなかった。
老爺はざっくばらんな態度で、鍵の閉まっていないドアをあけて、「もぅし、ごめんくだされ」と、訪いをいれてきた。
素子に案内されるままにひょこひょことあがりこんでくる老爺のようすは、人懐こいようにも、ふてぶてしいようにも感じられたが、
「いらっしゃい」
と、あくまで紳士的に迎え入れざるを得なかった。

「きょうはね、奥さんの感想を拝聴しに来たとですよ」
老爺は禿げあがって広くなった血色のよいおでこをてかてかとさせながら、そういった。
感想・・・?
いぶかしげに首を傾げる早田の傍らで、素子はなにもかもわかったという素振りをする。
いつの間にか妻は、よそ行きのモスグリーンのスーツに着替えていた。
三泊した妻のところに毎日夕方に着替えを届けさせられたけれど。
そのいずれとも違う、見慣れない柄のスーツだった。

そうですね。さいしょの方はやっぱり、印象的でした。
ほほぅ、そいつはどうも。
自分のことをよそよそしく「さいしょの方」と言われた老爺は、照れ臭そうに得意げに、頭に手をやった。

それからはもう夢中で・・・あまり記憶はないのですけれど。
素子は眉を寄せて、記憶をたどろうとしている。
その小さな頭のなかに、どんな記憶が封印されているのか・・・
いま妻の脳裏には、目に見えない忌まわしいものが渦巻いている・・・
消すことができないほどはっきりと刻印されたものが・・・
妻が帰宅した晩、ひと晩じゅうまぐわいつづけた妻の身体は、
淫らな務めをつづけさせられた疲れを全く見せることなく、ひどく若やいでいた。

そうですね。二日目のお昼の直前にお相手したかたは、とてもお上手でした。
淑やかな口許に、たくまず浮かぶかすかな笑みに、早田は淫らなものを嗅ぎつけていた。
あれ以来、いままでと変わらない日常をつづけてきた妻。
けれどもそれは、もしかしたらそっくり偽りだったのか・・・?
「愉しかった」という記憶を、もしかしたらひたすら押し隠していただけなのか・・・?

あー、あいつですかな。
あれは村一番の好きもんでしてな。だれもがあいつはええと申しますでの。
老爺は呵々と笑った。
わしの女房も、あれにはいちころだったんですぞ、とまでつけ加えて。
寝取ったほうが上だとか、寝取られたものが甲斐性がないとか、わしらはそんなこと気にしませんのでな。
何気なく口にしたその言葉は、間違いなく自分に向けられたものだと・・・早田は虚を突かれたような気分だった。
ほんとうに・・・この老人は彼の気分を手に取るように見抜いている。

そのほかにはだれぞ、お覚えよろしき殿御はおりましたかの?
さいしょの浮気相手。村一番の床上手。どちらもがいかにももっともな存在だった。
けれども素子は、なおも記憶をたどるように、もうひとりの男を指名した。
お暇する日の、朝いちばんのかたでした。
齢は主人より、すこし年上のお方でしょうか・・・?

58歳独身。職工をなりわいとしている、いかにもみすぼらしい男だった。
老爺に伴われて現れたその男は、自分がまぐわった女の夫をまえに、ひどくおどおどしていた。
まったくもって・・・あいすまんことで・・・
あっしがお邪魔したんは、おっしゃるとおり最後の日ですだ・・・
なんちゅうか、ほんにもったいないことで・・・
たどたどしい言葉が気の利かないタイミングで、ぽつりぽつりとつぶやかれる。
無学でもあるらしいこんな男のどこに、素子は惹かれたというのだろう・・・?
怒りや嫉妬よりも、むしろいぶかしさのほうが先に立っていた。

そういうのがご縁ちゅうもんですだでの。
老爺がまたもや、早田の胸中を見抜いたようなことをいう。
しどろもどろの弁明?をつづける男は、なにやらわけのわからない言葉をだらだらと口にし続けていたが。

奥さまは、へぇ・・・たいそうえぇ身体しておりやして・・・
そう言いさして、にたーりと、笑った。
早田の顔を、まともに見つめて。

俺はこんなとき、どんな態度を取ればいいんだ・・・?
思わずひっぱたいてやろうとした手を、妻がいち早く封じていた。
そうだ、社則では、「地域に密着」をうたっているのだった―――

ちぃとそのへんを、ひと廻りして来ませんかの・・・?
なぞをかけるように老爺が早田にそういうと。
五十男は強くかぶりを振っていた。
いんにゃ、だんなにゃあいちど、見せつけといてやりてぇのぉ。

素子、手ぇ貸せ。
男はぞんざいに早田夫人にそう指図をし、素子は男のいうなりに、夫の片腕を封じていた。
背後にまわった老爺は早田のことを羽交い絞めにし、身じろぎしようと懸命な早田に、男は手早く荒縄を巻いていく。

ああっ・・・ああっ。。。ああ~っ。 あ・な・た・あっ。

サテンのブラウスから片方だけあらわにされた乳首を、チロチロと舐められて。
派手なショッキングピンクのスカートをたくし上げられて。
ひざ小僧の下までずり降ろされたパンストを、まだ片方だけ脚に通したまま。
くしゃくしゃになったスカートの奥に沈み込んだ、逞しい臀部をまともに受け入れて。
ずっこん。ずっこん。
そんな音さえ聞こえるのではというほどの、すさまじい吶喊だった。
そのたびに、素子は細越を上下させて、あえぎ声をあげつづけた。

あ、な、た、あ・・・・ ごめんなさいっ!

目のまえで組み敷かれてゆく素子が張り上げる声は、いったいどこまで本気なのだろう?
二人してぐるになって、おれに見せつけようとしている―――
たぶんそんな直感も、間違っていないはず。

老爺もまた、ギラギラした目つきでまぐわう二人を見つめつづけて。
まだズボンを着けてはいたが、合間に相伴にあずかろうとしているこんたんは見え見えで、
ズボンのうえから露骨な手つきで、せんずりをこいている。
うひひひひ・・・やっぱり人妻は、えぇのお・・・

うーん、うーん・・・と、唸りながら。
早田ですらが、妻の痴態を悦びはじめていた。
荒縄を巻かれた早田の裸体は、かくしようもないほど火照っていた。
むくむくとひとりでに鎌首をもたげたペ〇スが、恥ずかしいほどピンとそそりたっている。
奥さんよう、あんたのダンナ、勃っちまってるぞお。
老爺が卑猥な声を、素子に投げると。
さすがに素子は羞ずかしそうに、目をそむけた。

老爺が素子に好みの男性を訊いたあの日さえも。
自分の目のまえで素子に挑みかかってゆくのを、とめることができなかった。
あのときのモスグリーンのスーツが、老爺からの贈り物だとは、あとで素子本人から聞かされたことだった。
では、きょうの派手で下品な身なりは、この五十男の趣味なのか?
貞淑だった都会妻には不釣り合いな、まるで娼婦のような服が、妙に似合ってみえた。

似合っている・・・
ふとしたつぶやきを、だれもが聞き逃さなかった。
そうじゃそうじゃ、女房の浮気は、亭主にも愉しむ権利があるんじゃよ・・・
老爺の囁きが、まるで毒液のように、早田の鼓膜を浸していた。

夫までもが加わった、輪姦の席。
素子はうわ言のように、呟き続ける。
あなた・・・・あなた・・・許して・・・っ。
早田もうわ言のように、くり返す。
ちく生・・・ちく生・・・こんちく生・・・っ。
自分の科白とは裏腹に、彼が昂奮し切っていることを。
妻は咎めもせず・・・
妻の情夫たちも、からかいもせず・・・
ひたすら、肉と肉とをすり合わせることに、熱中しきっている。

早田邸の畳が、多くの男の精液に濡れた夜―――
地域に密着した家族ぐるみの懇親が、新たに生まれていた。
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