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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

妻と吸血鬼。  ~かつての仇敵は、今夜の友~

2015年01月26日(Mon) 07:34:41

だいじょうぶ。だんなはすっかり、手なずけてあるから。
ああ、もっとも奥さんは、まだ納得してないかもね・・・
先に熟練者の貴方がヤッたほうが、うちの主人も楽に愉しめるかもね。

妻の千佳子は饒舌に、男にそう伝えていた。
口を開くたびに頭の後ろで結わえた黒髪が上下するのを、わたしはぼんやりと見つめている。
相手の男は、吸血鬼。
つい半月ほど前に、夫婦ながら血を吸い取られてしまっていた。

血を欲しがるわたしのために、二人は示し合わせて獲物を見つけてくれている。
もちろん――やつのためでもあるのだが。

わたしの目のまえで、悶えながら血を吸い取られていった妻。
それがいまでは、自分や夫の血を吸い取った男と、打ち解けて言葉を交わし合っている。
それに・・・

あなた、ちょっと失礼するわね。
妻はサバサバと、そう言うと。
吸血鬼を手招きして、部屋の外に出ていった。
そのあとどうするのかは、わかっている。
廊下の月当たりの物陰で。
妻はピチピチとした肢体を男に預け、首すじを吸わせていた。

ちゅう・・・っ。ぐびっ。

ナマナマしい音が、忍びやかに。
廊下のこちらのほうまで、洩れてくる。

・・・・ったく、もう。しつこいんだから。

表向き尖った妻の声色も、語尾は甘く弛められている。
男はなおも飽き足らないらしく、妻の足許にかがみ込んで・・・
肌色のストッキングを穿いたふくらはぎに、意地汚いべろを忍ばせてゆく。

主人来ないうちに、早く済ませちゃって。

そんなことを言いながら。
わたしが陰から盗み見していることを、妻も知っているし、いまいましいことにやつも知っている。
ブチチ・・・ッ。
ストッキングの生地が弾ける、かすかな音。
太い裂け目がスカートのすその奥にまですべり込むのを苦笑いしながら、
妻はピンクのスカートを、抑えつづけていた。

それだけではむろん、済むわけがない。

あ・・・

みじかい叫びを残して、妻はお姫様抱っこされて、夫婦の寝室へと消えていった。

青春の日々には、彼女と膚を接するたびに息弾ませていたはずが。
いまはそのおなじ女が、夫の仇敵であるはずの男を相手に息弾ませているのを、夢中になって聞き入っていた。
恥を忘れて。
ただの男になって。
妻主演のアダルトなドラマを、ただただ昂ぶりながら、見守ってゆく・・・


妻の言っていたお宅にお邪魔をしたのは、その翌日の晩のことだった。
すみません、お邪魔しますね。
すっかり慣れてしまったわたしは、相手のご主人に、悪びれもせずに声をかけている。
ああ・・・ええ・・・
ご主人、どうやら妻を抱かれるのは初めてらしい。
要領を得ない受け答えに、落ち着きなく泳いでいる目線。
すでに奥さんを咬んでしまった口許に散った血のりを、やつはにまにまと笑みながら手の甲で拭っている。

早く行きなよ。
遠慮することはないんだぜ。
なにしろ相手は・・・自分の女房の浮気相手の奥さんなんだから。
女房がたらし込んだのは、パート先の上司だった。

夫婦の寝室と呼ばれる薄闇のなかで、くゆらぐ熟した芳香に。
わたしはわれを忘れて這い寄って、スリップ一枚にひん剥かれた奥さんに、のしかかっていった。

吸血鬼のおっさんは、すでにもっと旨みのある果実を手中にしている。
この家の娘らしい。いやもちろん、さいしょから娘目当てにその父親に対して、妻にモーションをかけさせたのだろう。

安心をし。
いい子にしていれば、すぐ終わるからね。
見え透いた作り声に怯えながら、ブレザー制服の少女は声を失って。
紺のハイソックスのうえに忍ばされた牙を、埋め込まれてしまっていた。

ご主人は侵されてゆく妻と娘を交互に見やりながら、後ろからにじり寄った妻に、頭を撫でられている。
わたしもあんなふうだったのかな・・・
憐憫と共感と、ぎらつき始めた支配欲を抑えかねながら。
息弾ませる奥さんのうえに、わたしは昂ぶる一物を押しつけていった・・・
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コメント

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2015-01-29 木 21:16:36
編集
匿名希望さまへ
管理人限定で愉しませていただくにはもったいないくらいの名文をありがとうございます。
柏木ワールドにおけるNTR(寝取られ)は、和姦的な要素がとても濃いです。もっと本格的?なNTRを期待してこちらにお越しになられた方には、もしかすると食い足りないかもしれません。
あくまでココでの話に限定させていただくならば、コメントの御主旨はまさに仰る通りです。

柏木ワールドでは、夫婦愛は不可欠です。
どうでもいい相手がだれと寝ようと、気にならないはずですからね。

肉体的に愉しまれてしまっている妻を目にして、精神的に愉しんでしまっている夫たち。
病的、倒錯的といってしまえばそれまでですが、愛情の形はカップルの数ほど異なるはず。
なにかを尊重することはあっても、別のなにかを貶める必要はないことと思います。
たぶんそうした夫婦愛があるからこそ、害悪であったはずのものさえ夫婦の愉しみに化けてしまうのでしょうね。
恐るべし、夫婦愛。^^
by 柏木
URL
2015-01-30 金 07:14:16
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