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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

帰宅。

2015年02月09日(Mon) 08:05:13

ただ~いま。
丸芝が間抜けな声をつくって、玄関口に立つと。
・・・はぁい・・・
インタホンの向こうから、妻の弓枝の声が華やいで響いた。
ふつうの声でインタホンに応えるときは、なにもないとき。
間抜けな声色で戻った時は、吸血鬼つきで帰宅したとき。
夫婦の間でいつの間にか始まったそんな決めごとを、同伴の赤桑もよく心得ていた。
腕の良い職人だった赤桑が、吸血鬼になったのは。
女房の浮気相手がたまたま吸血鬼だったからだった。
都会の事務所から仕事を請け負うことが多かった赤桑は、すでになん人か、社員の妻を襲っている。
仕事の窓口の部署にたまたま居合わせたのが、丸芝とのご縁だった。
十五歳年下の丸芝の女房と睦み合うようになったのは、ごく自然ななりゆきというわけ。
丸芝こそいい迷惑だったが、もうこの年輩になるとあまりそういうことは気にならなくなるものか、
あるいは女房が生き血を吸い取られながらウットリするのを見て昂奮してしまっている丸芝がただの変態なだけなのか。
そんなことはもう、彼らの間ではどうでもいいことになっていた。
いちど汚された貞操は、最早もとには戻らないのである。

あら、あら、まあ、まあ・・・
スラックスを脱いだ夫が履いている靴下の破け具合に目をやった弓枝は、大仰な声をあげて夫を揶揄している。
泥んこで帰ってきた男の子を、「まあしょうがないわねえ」と言って迎える母親のような口調だった。
娘の結花が、二階から降りてきた。
中学二年生の結花は、まだブレザーの制服のままだった。
「こんばんは、小父さん」
生気に満ちた結花の声色に、赤桑は眩しそうに会釈でこたえた。
「母さんね、用意がまだなんだって。父さんもこれからお着替えだし、結花が相手してあげるよ」
早くも濃紺のプリーツスカートの下から、紺のハイソックスの脚を見せびらかしている。
誘惑に弱い赤桑が腰を浮かせるのと、「結花、いいかげんになさい!」と母親の叱声が飛ぶのとが同時だった。
「んもう~、母さんだけズルイ」
ふくれる結花の両肩に、赤桑は手を置いて囁いた。
「母さんには母さんの役目があるのさ」
どういうこと?結花の白目が後ろを仰ぎ見たが、男はその視線をかいくぐるようにして、結花の首すじに顔を埋めた。
リボンで結わえたおさげ髪と白のブラウスのすき間から覗いたうなじに、赤黒い唇がヒルのように吸いついた。

きゃー。
ふすま越しに聞こえる娘の声には耳も貸さずに、弓枝はパンツを脱いだ夫の一物を咥えている。
はずした口許から、白い粘液がぼとぼととこぼれた。
「もう、汚れるじゃない」
奥さんはそつなく夫の処理を済ませると、「はい、貴男も結花の代わりに血を吸われていらっしゃい」
夫の肩をポンとたたいていた。

丸芝が応接間に戻ると、ちょうど、
紺のハイソックスのふくらはぎを侵された娘が、白目を剥いてその場にくずおれるところだった。
あーあー。
丸芝は嘆かわしそうに声をあげ、男は横倒しになった娘の身体になおものしかかって、首すじを吸いつづける。
うちの娘の血は、そんなにいけてますかね?
「だいじょうぶ。あたし保健委員だから。具合が悪くなった子の面倒見るのが役目だから」
寝ぼけた声で呟く娘の髪を、丸芝は優しく撫でてやった。
「将来は世話女房になりそうだねえ。お母さんに似て。」
赤桑は傍らから、揶揄交じりの口調でそういった。
もっともそれが本音からの言葉だと、お互いに通じ合っていたけれど。


首すじの疼きが、じんじんと響く。
事務所の広い応接室で、ストッキング地のハイソックスを咬み破らせてしまったときから。
「女房のパンストもこんなふうに破かれちまうのかなあ・・・」と呟いていた丸芝だった。
予想通り・・・布団の上に寝かされた妻は、肌色のストッキングをチリチリに喰い剥かれてしまっている。
夫婦の寝室の布団のうえでは。
赤桑と丸芝の妻とが素肌を合わせ、セックスに熱中して、急いた息を交わし合っている。
ワンピースを着たまま犯されるのが好き。それも、ダンナのまえで。
そんな不敵なことをうそぶいていた妻は、赤桑の腕のなかで、可愛い女になりきってしまっている。

あーあ。
ため息をつきながらも丸芝は、自分の首すじに咬みつく直前囁かれた赤桑の言葉が忘れられない。
――こぎれいなかっこをしたおなごを襲うのが好きでなあ。あんたも奥さんの服着て、儂の相手してみるかね?


2月12日6:18脱稿。
2月14日0:05あっぷ☆
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