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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

6時。

2015年02月15日(Sun) 08:01:20

目が覚めて、枕元の時計をみたら、朝の6時。
きょうは日曜。
もっと寝ていたってかまわない。
起きあがってカーテンをあけると、夜の闇が薄蒼いあけぼのの縁取りを帯びていた。
あたしは迷わず制服に、着替えていた。
学校がある日でもないのに。

ドアの外は、寒気に支配されている。
黒のストッキングの足許にも、容赦なくそれは肉薄してくる。
柔らかで薄いストッキングは、意外なくらい有効に、あのゆるっとした束縛感で、寒気を遮ってくれる。
あたしは肩をすぼめて、駐車場へと脚を向ける。
肩をすぼめるのは、人目を避けたいからなのか。たんに寒いからなのか。
たぶんきっと、その両方なのだろう。

まだ黒ずんでいる街なみは、全体が群青色に変わった空の下、まだ眠っているようだった。
通りかかる人もまれな、表通り。
たまさか行き過ぎるウォーキングの人も、黒や紺の防寒着を厳しく着込んで、俯きながら、寡黙に通り過ぎてゆく。
女子高生にしては背たけのある、ひと目みればそれとわかる女装姿に、関心を示すものはいない。
こちらも努めて、通り合わせた人たちに関心を投げずに、スルーしていく。

わざわざ遠出してまで来るほどの意味はない、なんの変哲のない街なみに、ただ埋没しながら。
ウィッグの髪をユサユサ揺らし、
胸のリボンをそよがせて。
穿きなれたスカートを、ふぁさふぁさとさばきながら。
黒のストッキングに染まった脚を、外気にさらしつづける。

無言のうちにすぎるそのひと刻は、満ち足りた瞬間。
夜よりも明るみがあるはずのこの時間帯は、
写真写りがひどく悪くて、
あとに残るものなど、ほとんど撮れないのだけれど。
そんなことは、さほどの問題でもない。
ひとしきり歩いて気が済むと、
あたしは脚を止め、来た道を引き返す。
今朝の登校は、これでおしまい。
本物の学校に登校するわけでは、もちろんない。
そんな日が、来るはずもない。

家に戻ると、窓の外はすっかり明るい。
きょうも一日が始まる。
そして、あっという間に、終わっていく。


あとがき
とある女装者のつぶやきです。^^
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約束どおり。 ~婚礼の帰り道~
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