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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

木乃伊―ミイラ―のような人妻

2015年03月02日(Mon) 05:24:59

木乃伊(ミイラ)のように、痩せこけた女だった。
濃い茶褐色の皮膚は、常人のものではない。
そいつがゆっくりと、俺のほうへと向かって這い寄ってくる。
四つん這いのまま伝い歩きするような腕もひどく痩せこけていて、まるでコオロギの四肢のようだった。
その場を逃れようにも、ロープでぐるぐる巻きにされた身体は、身じろぎひとつできない。
むき出しの二の腕をグイッと引かれ、女は俺の首すじに唇を寄せてくる。
カサカサの掌だった。
まるで爬虫類に喰いものにされるような、かすかな恐怖がよぎる。
ぬるりと首すじに這った唇は思いのほか、柔らかかった。

女は、俺の首すじに圧しつけた唇に力を籠めた。
唇の両端から、尖った異物がにじみ出た。
そいつは強く咬みついてきて・・・鈍い痛みとともに、生温かな血潮が肩先にこぼれるのを感じた。

ずず・・・っ。じゅるう・・・っ。

女はナマナマしい音を洩らしながら、俺の血を吸い取っていった―――


ものの十分ほどの間だろうか。三十分は経っただろうか。それとも、もっと?
女は見違えるほど眩い、白い皮膚に包まれていた。
胸と二の腕は豊かな柔肌におおわれて、腰のくびれはキュッとセクシーだ。
さいしょに見た通りの女が、そこにいた。
女は裸体の男のうえにまたがり、腰と腰とを結び合わせている。

はあっ、はあっ、はあ・・・ん。

切ない上下動を、時には激しく、時にはしつように腰をくねらせながらつづけていって。
男は寝そべりながら女の身体を支配して、欲情のほとびをなん度も吐き出しているらしかった。
なんの因果で、こんなモノを見せつけられるのか。
全裸で縛られたままの俺は、強烈な貧血にあえぎながらも、ただげんなりとなって、そのいちぶしじゅうを見届ける羽目になっている。

うちの女房と寝ませんか?お代なんか要りませんよ。
私、特殊な欲求の持ち主なので・・・女房がほかの男に抱かれるのを見ないと、昂奮できないんですよ。

女房の裸です、と、男が見せてくれた写真は、いま目の当たりにする蠱惑的なプロポーションそのものだった。

うちのやつ、縛りが好きなんですよ。
しょうしょう不自由でしょうが、縛らせてもらいますよ。

男の言うなりに体を任せたのが、すべてのことの始まりだった。

こんどはあなたが、奥さんを紹介してくれる番ですね。

男はいい気なことをいいながら、俺の前でベッドをきしませ続けていて。
俺は俺で、二日酔いのようにけだるい貧血から立ち直ることができないで、ただげんなりと床に転がっていた。


ぱしぃん!
ほうほうの態で帰宅した俺を見舞ったのは、妻の平手打ちだった。

ひと晩、どこにいたって言うのよ?
親切なかたがいらしてね。
あなたが人妻と逢っていた・・・って、教えてくれたわ。
あたし今から、その人と会って来ますから!

昔から気の強い女だった。
白いスーツをきちっと着こなした妻は、頬を抑えて見送る俺に尻を向けて、
背すじをキリッとさせて、家から出ていった。


どういうわけか、追いつけなかった。
バス停では間一髪で、妻の乗り込んだバスに乗り遅れ、
やっと追いついた駅のホームでも、電車は一本あとだった。
ようやくたどり着いたのは、夕べ一夜を過ごしたあの街の駅。
白いスーツ姿はスカートのすそを邪慳にさばきながら、前へ前へと進んでいく。
いつになく大またで、シャキシャキと歩く妻。
それにしても、手の届きそうな距離まで詰めながらも追いつけないというのは、どういうことだろう?
夕べのきつい貧血が、まだたたっているのだろうか?
バタンと閉ざされたドアのまえ、俺は所在なく1時間近くも、佇んでいるよりほかなかったのだった。

ドアを開けてくれたのは、ご主人だった。

夕べは、どうも。

ぶっきら棒だったが、どこかうっそりとしたさえない様子だった。
じっさいに、この男の女房を抱いたわけではない。
木乃伊かコオロギみたいに干からびた彼の女房は、俺の生き血を吸い取って白い膚の女に蘇り、
まるでわざと見せつけるように、夫婦のセックスに耽り込んでいた。
だから、べつだん俺はこの男になんの害ももたらしてはいない。
むしろこっちのほうが、文句を言いたいくらいだった。

どうぞ。

男はなおもぶっきら棒に、俺を二階へと促した―――


ふたたび俺は、まる裸にされて―――
夕べと同じように、床に転がされていた。
部屋で出迎えたのは、男の女房だった。
夕べと同じ、きらきらと眩い白い膚をしていて、目には蒼みがかった妖しい輝きを帯びていた。
その眼を見つめた途端、俺は理性を喪っていて。
ただぼう然と立ちすくんだまま、首すじに抱きついてくる女の牙を、自分の膚で受け止めていた。
ちくん、と走る、微かな痛み―――俺は陶然となって、生き血を吸い取られていった・・・
気がついたときには、夕べの再現となっていた。
ただし夕べと違って、セックスに耽る全裸の夫婦の反対側に、意識を喪った妻が横たわっていた。
白のスーツのジャケットは、肩先にべっとりと血のりを光らせていた。

威勢のよろしい奥さんをお持ちだね。
さいしょの平手打ちは、わしもよけ切れなかったよ。
いや、いや。奥さんの非礼をわびることなんて、ないから。
その見返りに、奥さんの身体から・・・
うら若い生き血をたっぷりと、頂戴したからね。

妻のスーツ姿にのしかかっている男は、木乃伊のように痩せこけていて。
まるでツタが絡みつくみたいにして、妻の四肢に手足を絡みつかせていた。
なん度目か、圧しつけられた唇は、真紅の輝きにまみれていて。
男は賞玩するように妻の首すじを舐めながら、トクッ、トクッ・・・とかすかな音を洩らしながら、妻の生き血を吸い取っていた。

心配めさるな。
ご夫婦とも生かしたまま、家に帰してあげよう。
この女(ひと)は、わしにとってもかけがえのない女になるのだから―――

男の言い草に予感した不穏なものは、まさに予感通りの正体をあらわにしてゆく。
意識をもつれさせた妻は、ブラウスを脱がそうとする男の手を振りはらうと・・・
両手でブラウスに爪を立てて、自分で引き裂いていった・・・
ブラジャーの吊り紐がはじける音を。
唇と唇がクチュクチュとせめぎ合う音を。
吐息と吐息とが、重なり合って。
ずり降ろされた肌色のストッキングをふしだらに弛ませた脚が、床を這いずりまわるのを。
俺はただ、呆気に取られて見つめていた。

彼の奥さんは、彼ひとすじのようらしいね。
だから、あちらの奥さんとはセックスを愉しんではいないのだ。
そのかわり、しょうしょう血を吸い過ぎて、あんな身体にしてしまった。
あちらの奥さんの肉体をよみがえらせるには、男の血が必要なのだ。
いい奥さんでね。
浮気相手の奥さんを紹介してあげる・・・って、言ってくれたのさ。
それが、あんたの奥さんというわけ。
あんた・・・自分の女房がほかの男に抱かれると、昂奮する男だろう?

否定することなど、できはしない。
不覚にも昂ぶった股間を、男に抑えつけられて。
生ぬるい唇に、根元まで含み込まれていたのだから。
妻はただぼう然と、男ふたりの葛藤を見つめるばかり。
はっきり視られた―――
そんな実感がなぜか、狂おしい開放感を生み出して。
俺は男の口のなかに、激しく射精してしまっている。
唇に着いた半透明の粘液を手の甲で拭いながら、男は言った。

やっとわかったよ、こんなに仲の良いご夫婦に、子宝が授からないのが。
あんた、種なしだね?

ひたかくしにしていた診断結果を、俺は認めないわけにはいかなかった。

けれども、後継ぎはどうしても、要りようなんだろう?あんた、旧家の一人息子なんだから。

これも、頷くしかなかった・・・

安心しなさい・・・わしが孕ませてやるから・・・・・・

い、いけない!いけない!い・け・な・い・・・っ・・・

ふたたび妻にむしゃぶりついた男への呼びかけは、虚しく壁に吸い込まれてゆく。
放恣に身体を開いた妻は、ひとつ屋根の下執拗なセックスに耽る夫婦と競うように、熱っぽい抱擁を重ねてゆく。
布団のうえ、行く先を失くした俺の一物は、なおも半透明の粘液を布団に散らしつづけていった。


追記
挿絵などを、 ↓ コチラに載せてみました。
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=49046838
「吸い取られてゆく妻」
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妻を伴い、女装をして・・・妻の浮気相手に逢う。
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